Breguet Tourbillon 220th Anniversary
ブレゲがトゥールビヨン
220周年記念イベントを開催
November 2021
今年2021年は、時計師アブラアン-ルイ・ブレゲがトゥールビヨンの特許を取得してから220周年となる年である。スイス時計ブランドのブレゲはこれを記念し、京都・清水寺を舞台に一夜限りのメディア向けイベントを開催。特別な新作も発表された。
イベントのディナー後に特別にライトアップされた「本堂(清水の舞台)」と「奥之院」を見学。半世紀ぶりとなる大改修が行われた後であり、その美しさは格別であった。
1801年6月26日、アブラアン-ルイ・ブレゲはトゥールビヨンの特許を取得──それから220年。今やトゥールビヨンはさまざまなブランドが挑戦する複雑機構であり、超高級時計の代名詞となっている。
トゥールビヨンとは、回転するキャリッジに特定の部品を格納することで部品同士の差異が相殺され、重力による影響を克服して精度を高める機構である。伝説の時計師ブレゲが発明し、1801年に特許を取得。懐中時計にその機構を搭載すると、やがて知識人たちの間でたちまち評判となった。
ブレゲは生涯で35個のトゥールビヨンを製作しているが、彼の没後はその製作の難易度ゆえ、ほとんど製作されることはなかった。しかし21世紀に入ると、精度の維持という目的以上に、その美しい動きや表現力に人々が魅了され、多くのブランドがトゥールビヨン搭載モデルを発表するようになる。もちろん、その人気はますます高まる一方である。
このイベントのために来日した特別出展ピース「No.2567」。200年以上の時を経たとは思えないほど状態が良い。トゥールビヨン・クロノメーター(ギャルド・タン)、ゴールド製のギヨシェ彫りを施したハンターケース、クリスタル製の内蓋、ローマ数字のシルバー製ダイヤル、6時位置にスモールセコンド、1分間トゥールビヨン・レギュレーターレバー脱進機、自己補正テンプ、ブレゲひげゼンマイ。ブレゲ・ミュージアム所蔵。
現代にこのトゥールビヨンの匠を継承するブレゲは、創業者の偉大な発明に多大な敬意を払っている。特許取得220周年を記念したイベントの開催場所として選んだのは、京都の音羽山・清水寺。1994年にユネスコ世界文化遺産の「古都京都の文化遺産」のひとつに登録され、昨年には50年ぶりとなる本堂大改修を終えてますます注目を集めている場所である。
今回は、普段一般には公開されていない建物や施設の見学や、清水寺執事補・僧侶 大西英玄氏による説法、そしてブレゲ・トゥールビヨンの歴史と魅力を堪能できるプログラムが用意された。
「西門」から愛宕山に沈む夕日を鑑賞後、隣接する「経堂」にて北法相宗 清水寺執事補 大西英玄氏による説法が行われた。「経堂」内では、釈迦三尊像とともにブレゲの新旧のトゥールビヨンピースが展示された。
境内の「経堂」にてお披露目となったのは、ブレゲの新旧のトゥールビヨンモデルの数々。ひとつひとつが芸術作品といえるタイムピースの数々が、一堂に集まる光景は圧巻である。現行モデルはもちろんのこと、普段はパリのブレゲ・ミュージアムに展示されている貴重な懐中時計「No.2567」、そしてこの日に発表された新作「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365」が展示された(詳細は後述)。
まさにこの日にグローバルで発表された新作「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365」。スイス本社からはCEOよりムービーが届き、その特別な魅力が丁寧に解説された。
メディア関係者の多くにとって久しぶりとなったイベントでの着席ディナー。会場となったのは清水寺の境内にある、美しい日本庭園「月の庭」を臨む「成就院」。飛沫防止の扇子が用意されるなど感染対策もとられた上で、芸妓舞妓による伝統伎芸が披露された。
着席ディナー会場となった「成就院」では、芸妓舞妓による伝統伎芸が披露された。
また、若くしてフランスの人間国宝に選ばれた扇作家のシルヴァン・ル・グエン氏(現在は日本にて活動中)が登場。これまでの彼の扇作品が展示されたほか、ブレゲのトゥールビヨンをテーマとして今回のイベントのために制作された作品を発表した。ダイヤルの素材としても用いられるマザーオブパールを扇の持ち手部分に採用するなど、機構の立体感や繊細な美学が見事に融合し、伝統的な美を追求するブレゲらしい、ユニークなアートコラボレーションとなった。この扇作品はブレゲ直営4ブティックにて、巡回展示される予定だ。
2015年、38歳の若さでフランス人間国宝に認定された扇作家のシルヴァン・ル・グエン氏。ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』や、ケネス・ブラナーが監督を務めた実写版映画『シンデレラ』などに作品を提供。2020年にアトリエを京都に移して活動中の彼が、今回ブレゲのトゥールビヨンをテーマにアートピースを制作。世界にひとつだけの作品が展示された。
1200年以上の歴史を持つ京都・清水寺を会場とし、新旧モデルの展示、そして類をみないアートコラボレーションを行ったのは、歴史と伝統を持ちながらも常に革新に挑み続けるブレゲならでは。220周年を祝うにふさわしい、特別なイベントとなった。
クラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365
アニバーサリーモデルでありながら華美にすることなく、エレガントかつオーセンティックなスタイルを貫いているのがブレゲらしい。大きな特徴は、ダイヤル中央部を占めるギヨシェ。手彫りのクル・ド・パリ模様は、わずか0.25㎜間隔で交錯する非常に繊細なもので、マット仕上げのような質感を生み出している。60秒で1周の秒表示も兼ねるトゥールビヨンには、ブルースティールによる特別なアッパーブリッジを備える。そのすぐ上部には「特許第157号」を表す、”Brevet No 157″の文字が配される。ケースバックから見えるムーブメントにも特別な刻印のほか、1801年にアブラアン-ルイ・ブレゲがトゥールビヨン特許登録に際して用いた機構図の原画が彫金にょって再現されている。アブラアン-ルイ・ブレゲが存命中に製作したトゥールビヨンの個数に合わせ、世界限定35本。自動巻き、18KRGケース、41mm。¥19,272,000 Breguet
ブレゲ ブティック銀座
東京都中央区銀座7-9-18 ニコラス・G・ハイエックセンター3階
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