RAKISH STYLE SPECIAL: BARBA NAPOLI

メイド・イン・ナポリの世界的リーダーへと躍進したバルバの“インダストリアル サルトリアーレ”という哲学

October 2023

シャツから始まったナポリの「バルバ」は、なぜここまで人気のブランドとなり得たのか。ナポリ・アルツァーノの本社を訪ね、彼らのルーツであるシャツを通し、その理由を探ってきた。

 

 

text and photography yuko fujita

 

 

 

6000㎡を誇る、広大なバルバのアルツァーノ本社工場は非常に清潔だ。2フロアからなり、2Fが縫製ラインとなっている。1日におよそ500枚が生産されている。

 

 

 

 バルバのシャツに初めて袖を通したときの感動、高揚感は、今でもはっきりと覚えている。ナポリの職人が作ったそのシャツは、英国のそれともアメリカのそれとも、さらには北イタリアのそれともまるで違った。私にとって初めてのナポリ製シャツだった「バルバ」は、立体的で、官能的で、それの虜になるには十分だった。価格と品質のバランスのよさはとても高い満足度を与えてくれた。そんなバルバというブランドを着る喜びはひとしおだった。

 

 今回久しぶりに会ったCOOのラファエレ・バルバ氏は、「バルバのブランドの立ち位置は“インダストリアル サルトリアーレ”にある」と語り、そのことは創業以来、常に念頭に置いてきたことだとも。「ナポリには私たちよりも3倍も高価なシャツもありますが、私たちはずっと良心的な価格で、それに負けない高品質のシャツを作っています。バルバが大切にしてきたのは常に品質と価格のバランスであり、両者の間にあるブランドの価値を高めていくことでした。袖を通したときに高揚感を感じていただけることは、とても大切なことだからです」

 

 

製品洗いによる人気ライン「ダンディライフ」。バルバのシャツはすべてここ本社工場で生産される。

 

 

柄ものの生地はすべて手裁断。

 

 

検品も入念。少しのシミや汚れ、糸のホツレも見逃さない。染み抜きの“ズマッキアトーレ”の機械も導入。

 

 

 

 1962年、ラファエレ氏の父アントニオ・バルバ(妻のアンナはキートンの創始者チロ・パオーネの妹)がナポリのセコンディリアーノに“コンフェツィオーネ ロンドン”を設立し、パジャマ作りを始めたのが前身だ。ラファエレ氏が会社に加わってから81年にシャツ作りを始め、その数年後にはナポリの富裕層に向けたス ミズーラのシャツで人気を博した。飛躍を遂げたのは、初めてピッティウォモに出展した90年頃。世界中のエージェントやバイヤーが列を成すくらいその存在が知れ渡ったバルバは、一気に人気に火が付いた。2001年にはアルツァーノのキートン本社のすぐ隣に6000㎡の新社屋を建て、手作業と機械化を組み合わせた従来のシャツ作りをさらに上のレベルへと押し上げた。シャツ以外もネクタイからスタートし、ジャケット、トラウザーズと増やしていき、今やナポリ発のトータルブランドとして、確固たる地位を築くまでになった。

 

「私たちはデザイナーズブランドではありません。ベストのメンズクラシックでありながら、ちょっぴり新しい。ナポリの血が流れていながら、ビジョンはインターナショナル。そんな私たちの服に袖を通すことで、世界中の人々にちょっとした新鮮な気分を味わってもらいたい。それがバルバというブランドなんです」

 

 

手縫いは内職で行われることが多いが、本社工場内でも手がけている。

 

 

手縫い以上に職人技に差が出るミシン縫いは9割が女性。感覚で手を動かし、立体的なシャツへと縫い上げる。

 

 

6月のミラノファッションウィーク中にジェズ通りからモンフォルテ通りに移転オープンした、広々とした新ミラノショールームにて。向かって左から、ラファエレ氏の息子でセールス担当のアントニオ・バルバ氏、COOのラファエレ・バルバ氏、ラファエレ氏の弟でCEOのマリオ・バルバ氏。

 

 

左:大定番のドレスシャツ¥42,900、右:製品洗いの「ダンディライフ」シリーズ¥40,700 both by Barba(コロネット TEL. 03-5216-6518)

 

 

完璧に柄合わせされている。襟の合わせも1ミリとてずれていない。このこだわりがバルバのシャツの端正な顔を生むのだ。