BACK IN BLACK
ブラックに帰ろう
June 2020
ブラックを上手く着ることはそう簡単なことではない。ファッションのエキスパートたちに、
サルトリアルスタイルにおけるブラックの着こなしについて、アドバイスを求めた。
text christian barker
ラルフ・ローレン氏が愛する全身ブラックで固めるスタイリングは、オレンジカラーの「マクラーレンF1 LM」など、スーパーカーにも完璧に似合っている。©Photo by Richard Corman
ブラック同士ならどんなものでも合わせられると考えてしまうのは誤りだ。生地が生み出すブラックは、さまざまな色が織り合わさって作られたもの。自然光の下では、物によって異なって見える。光の影響といえば、フォーマルの世界では長い間ミッドナイト・ブルーがタキシードの色として優れているとされてきた。しかし、アーモリーのマーク・チョー氏はこう語る。
「屋内照明に白熱電球が使われていた頃は、ブラックは黄味がかって見えたため、ミッドナイト・ブルーを着用する意味がありました。しかし今はLED照明が主流。ブラックのほうがより黒く見えます。とはいえフォーマル以外でのブラックは、難しい色だと思います」
アーモリーの共同設立者アレン・シー氏も、テーラードスタイルにおいてブラックは複雑で難しい色だと同意する。
「コーデュロイやベルベットのようにリッチで質感のある生地であれば見栄えがしますが、フランネルやリネンなどは魅力を失ってしまうことがあります。シルク製のブラックのニットタイはコーディネイトを引き締めるのに最適です。ニュートラルな色のアウターと合わせると、Vゾーンにコントラストを加えます。ブラックのオックスフォード・シューズもマストアイテムです。ダークデニムやグレイフランネルのトラウザーズ、ネイビーのジャケットと合わせるといいですね。全体を暗く保てば、悪目立ちすることはありません」