A RAKISH GUIDE TO BOOTS
足元は、ブーツで行こう
March 2022
都会でも田舎でも活躍する本格的なブーツを手に入れよう。
足元を固めるのに、これ以上のアイテムはない。
知っておくべき基本のスタイルを紹介する。
text charlie thomas
冬になったら必ずブーツを履かなければならないというルールはないが、9月になると早くもブーツを履きたくなるのは、私だけではないだろう。その利点は何だろうか?
高さのあるブーツは足首を保護し、サポートしてくれる。多くの場合、丈夫で耐候性のあるレザーが使用されており、ラバーソールが使われていることも多いため、雨天に強く、グリップ力を発揮する。
THE RAKE の読者の皆さんは、スタイルに関心があり、足首のサポートや爪先を保護するためのスチールキャップは必要としていないだろう。
ブーツは、ミリタリー、バイカー、スキンヘッズ、ミュージシャン、肉体労働者、カウボーイといった人々を彷彿とさせる。いずれもハードな仕事であり、それゆえに丈夫で耐久性のあるブーツが求められたのだ。
しかし、その形はさまざまで、最もフォーマルな靴のようにシャープなシルエットを持つものもある。しかも、普通のドレスシューズより存在感があるのだ。テーラーリングに合わせれば、TVドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』(2013年〜)の主人公トミー・シェルビーのように、スーツに瞬時にエッジを効かせることができる。
ラフなワークブーツから、シルクのように滑らかなドレスブーツまで、注目すべきスタイルを紹介しよう。
URBAN COMMANDO BOOTS(アーバン・コマンドー・ブーツ)
英国ガジアーノ ガーリングがTHE RAKEと共同でプロデュースしたアーバン・コマンドー・ブーツのようなデザインは他にはない。G&Gは、彫刻的なフットウェア作りで知られており、絞り込んだウエストと、スクエアトウを特徴とした、すらりとスマートなシューズを得意としている。このブーツは、これらすべての要素を備えている。しかし、大きな違いがある。それはソールだ。野戦用ブーツに使用されるカスタム・コマンドー・ソールを採用し、グリップ力と堅牢性を実現している。エレガンスとワイルドさを併せ持っているのだ。マホガニー色のペブル・グレイン・アルパインレザー アーバン・コマンドー・ブーツ US$1,675 Gaziano & Girling / The Rake
DERBY BOOTS(ダービーブーツ)
ダービーブーツやシューズはどのように定義されるのだろうか?簡単にいえば、靴ひものアイレットが、ヴァンプ(甲部分)の上部に縫い付けられているもののことだ。ダービーは最も一般的なブーツの形で、ほとんどのクラシックな靴メーカーが独自のモデルをリリースしている。写真はトウキャップ・ダービー。シンプルなデザインで、ブローギングもほとんどない。このようなデザインは、第二次世界大戦中にイギリス軍やアメリカ軍の兵士が履いていたものとあまり変わらない。素早く靴ひもを締めることができる“スピードフック”が付いている。バーガンディ色のコードバン “Jumper”ブーツ US$950 Carmina / The Rake
MILITARY BOOTS(ミリタリーブーツ)
第二次世界大戦では、丈夫で機能的な服が必要とされ、数多くの優れたデザインが誕生した。数々の戦闘の結果、ミリタリーブーツもより実用的なものに進化した。代表的なモデルは、アメリカ陸軍のM- 1943コンバットブーツである。英国の靴メーカー、エドワード・グリーンは、このブーツからインスピレーションを得て、より洗練された“Kentmere”モデルを作り上げた。足首に大きなツインバックルが付いており、ホールド感を高め、パンツの裾が中にしっかり収まるようになっている。柔らかいワックス仕上げのユタ・ドラプレ・レザーを使用し、ストームウェルトと頑丈なラバーソールを備えている。Kentmere ユタ・レザー・フィールド・ブーツ US$1,640 Edward Green / The Rake
M-43ミリタリーブーツを履きオートバイにまたがるスティーブ・マックィーン。映画『大脱走』(1963年)より。
CHELSEA BOOTS(チェルシーブーツ)
ドレススタイルにも似合うブーツといえば、チェルシーブーツが挙げられる。その名前は、1950年代から60年代にかけて最もスタイリッシュだった、ロンドン西部の富裕層エリアにちなんだものだ。シルエットはすっきりとしており、足にぴったりとフィットする。伸縮性のあるゴム製のサイドパネルが特徴だ。ヴィクトリア女王専属の靴職人がこのデザインを考案したといわれており、流行に敏感な貴族たちがロングウォークや乗馬の際に愛用していた。このブーツは早くから馬術と結びついていたのだ。しかし第二次世界大戦が終わると、チェルシーブーツのイメージは、華々しくステージに登場したミュージシャンたちによって変えられた。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディランなど、多くのアーティストがこのブーツを愛用した。 ブラックのカーフレザー “Robert”チェルシーブーツ US$770 George Cleverley / The Rake
英国TVドラマ『The Avengers』(1961〜1969年)のパトリック・マクニー(右)。
CHUKKA BOOTS(チャッカブーツ)
よりカジュアルなスタイルとして、チャッカブーツが挙げられる。裏地のないスエードやソフトなワックスレザーが使われ、シングルレザーまたはラバーソール(クレープソールのものはデザートブーツとして知られている)で、最大三つのシューレースアイレットが付いている。オフの日の定番アイテムである。伝統を重んじる人たちは眉をひそめそうだが、チャッカブーツはテーラード・クローズのお供としても最適だ。トラウザーズの裾は少し短めにカットし、ブーツの上にスマートに乗るようにするとよい。イタリアのシューメーカー、ステファノ・ベーメルは、スエードを使って、無駄のない流れるようなシルエット、両サイドのレザーパイピング、アーモンド型のつま先を持つ典型的な一足を作っている。 ライトブラウンのスエード チャッカブーツ US$855 Stefano Bemer / The Rake
本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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