覚醒したティファニー 中身も本気のクロノグラフ
June 2026
text Nobuhiko Takagi
映美なブルーのダイヤルに、思わず目を奪われる。これは、宝飾時計の枠を鮮やかに飛び越えたティファニーの新作。そのルーツは1866年、米国初のストップウォッチとして誕生した「ティファニー タイミング ウォッチ」にある。160年の時を経て名を継承したこの「ティファニー タイマー」は、ブランドの輝かしい遺産と美学が見事に凝縮されている。端正なヴィンテージ・クロノグラフの相貌に、バゲットダイヤモンドのインデックス、「6本爪」を彷彿させるリューズ、そしてローターに施された「バード オン ア ロック」と、その審美性は完璧としか言いようがない。
だが真価は「静」の美しさだけではない。「動」を司る心臓部に宿るのは、ゼニスが誇る「エル・プリメロ」。つまり、ハイジュエラーの気品を纏いながら、中身は毎時36,000振動を刻む名クロノグラフを積んでいるのだ。この二面性こそ、本質を知る時計愛好家が待ち望んだ「本気」。まさしく覚醒の一本である。
ケースの輪郭に沿う曲線のプッシャーが、リューズガードも兼ねる設計。白眉はやはり、計50時間以上を要する美しいダイヤルの製作工程だ。8層のニスと15層の透明ラッカーを重ね、焼成を繰り返すことで、“ティファニー ブルー”は比類なき奥行きを宿す。そしてバゲットダイヤモンドのインデックスが、ブランドの卓越した技と審美性を饒舌に物語る。世界限定60本。自動巻き、Ptケース、40mm。価格は要問い合わせ Tiffany & Co.
エル・プリメロ 400 クロノグラフ ムーブメントのローターに手彫りで施された、ティファニーを象徴するモチーフ「バード オン ア ロック」。[Limited edition of 60]の刻印とともに優雅に時を刻む。
本記事は2026年5月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 70より抜粋













