June 2020

PATEK PHILIPPE WATCH ART GRAND EXHIBITION

歴史的価値を知る、過去最大級の展示

text tetsuo shinoda

 今回のもうひとつの見所は、シンガポールや東南アジア近隣諸国へのオマージュを込めた特別なタイムピースの展示である。中継貿易地として栄えたシンガポールには高級時計の愛好家が多く、独自の文化を反映させた美しいオーダーウォッチを依頼してきた。そういった希少なプライベートコレクションが展示されており、この地とパテック フィリップの深い関係性も垣間見ることができた。

 さらには今回のために製作された特別限定の「ミニット・リピーター・トゥールビヨン」や「ワールドタイム・クロノグラフ」、希少なハンドクラフトを駆使したスペシャルウォッチも登場。パテック フィリップの世界とは、これほどまでに深く、豊潤で美しいのだと、改めて知らしめた。

展示を彩る“希少なハンドクラフト”シンガポールと周辺諸国の文化や世界遺産などをモチーフとした、希少なハンドクラフトを採用した新作も多数発表。芸術的な装飾が施され、アートピースとしての価値も高い。左:腕時計「カラトラバ 5089」は、木の象嵌細工で、龍の姿を描いた。中:懐中時計「997/118」は、霧の中を帆船が進む様子を描いたもので、こちらも木の象嵌細工を用いている。右:ドームクロック「20091M」は、美しいエナメル技法で、東南アジアの特産品であるバティック(ジャワ更紗)をイメージした装飾を施した。

本記事は2019年11月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 31

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