MARQUESS BESPOKE

本家英国の靴名人に心酔された男

February 2015

究極のフォーマルシューズ左:大変貴重なベビーカーフのパテントレザーで仕立てたサイドエラスティックシューズ。プレーンだからこそ美しさがより際立つ、この上なくフォーマルな一足。スリッポンは2足目からの対応となる。¥348,000~ Marquess Bespoke

息をのむ美しさの“マーキスラウンド”右:上から見るとラウンドトウ、横から見るとチゼルトウという、スぺシャルなトウフォルム“マーキスラウンド”のフルブローグ。縫製の美しさ、ピンキングの繊細さも目を見張るものがある。¥318,000~ Marquess Bespoke

 いつもニコニコ、笑顔が最高だ。周囲からは“ショージ”の愛称で親しまれている。2002年に渡英し、靴職業訓練学校卒業後はジョージ クレバリー、ジョン ロブパリなどのビスポーク靴職人であったポール・ウィルソン氏に師事。その後数々のビスポークシューメーカーのアウトワーカーとして働き、2008年に帰国した。

 が、その腕があまりによかったこともあり、2011年に自身のブランドを始めるまで、日本にいながら英国ビスポークシューメーカーのアウトワーカーを頼まれ続けていた。郵送のコストを考えるとかなり割高になるにもかかわらず、だ。なかなかのエピソードである。

 2011年に自身のブランドを始動すると、マーキス ビスポークの靴は瞬時に注目を集めた。満を持してのデビューだったこともあり、新人とは思えない別格のクオリティを誇っていた。彼が当時から一貫して好んでいるのは、20世紀初頭に作られた、英国のハンドソーンウェルテッドシューズだという。そこにあるのは、靴としての究極の作りと、シンプルさを突き詰めたことから生まれるエレガンス。華美な色気ではなく、日本の侘び寂びに通じる世界に惹かれたのだという。そしてそれは、マーキスの靴を言い表すのにもぴったりの表現だ。

本記事は2015年1月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 02

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