FINEST ENGLISH CLOTH
英国の名作生地を選べば半世紀着られる
October 2019
text yuko fujita
今なお古びない40年代製ハンツマン映画『キングスマン』で話題の名門ハンツマンが1946年に仕立てたスーツ。一流のテーラー、一流の英国生地で仕立てられた服は、今なお凜とし、古びない。
スーツ 参考商品(ヴィンテージ)Huntsman
ビスポークシャツ¥30,000 ~(オーダー価格) Batak Nakadera
タイ¥13,000 Batak House Cut
バタク中寺氏が厳選! 世代を超えて着られる英国生地 今日、一般的にはライトウェイトの生地が人気を集めているが、RAKISHなウェルドレッサーたちに愛されているスーツ生地は、圧倒的に英国製だ。それらの生地は経糸・緯糸ともに双糸(イタリアは基本的に緯糸が単糸)で織られ、ハリ・コシ、耐久性に富み、ときにヘビーウェイトであるが、大変仕立て映えがする。華のあるイタリア生地と比して、柄ものでも代わり映えがせず地味に映るかもしれないが、長い目で見ればいつの時代もスタンダードとして残り続ける生地であり、そのポジションは半世紀後も変わらないだろう。
スーツは1946年にサヴィル・ロウの名門ヘンリー・プールで仕立てられたものだが、70年以上の時を経ているにもかかわらず、古臭さを感じさせないし、服も凜とした表情を保っている。一流のテーラーにはハウススタイルがあり、彼らはそれを守り続けているからだ。
「時代性のあるクラシック」という言葉がもてはやされているが、クラシックにおいて、ときに時代性は邪魔をする。クラシックを愛する人たちは、変わらないスタイルに価値を見いだしているのである。
ちなみに一流のテーラーで仕立てられるスーツは縫い代を多くとっている。将来、体型が大きくなっても生地を出して着続けることができる。サイズが近ければ息子に譲り渡すことだって可能だ。
英国の名作生地を使って一流のテーラーによって仕立てられた服は、半世紀後も輝きを失わない。むしろ、馴染んでいい味が出ているはずだ。
JOHN COOPER DOBCROSS
今に残る伝説のドブクロス ルーム製19世紀末に生まれたドブクロス ルームで織られた「ドブクロス」。スーパー140’s のウールに、カシミアとシルバーミンクを1%ずつ混紡した60番双糸で織られ品のある光沢を備えている。340g/m。
マシンメイドオーダースーツ¥233,000~ Batak House Cut
ビスポークスーツ¥420,000~ Batak Nakadera
WILLIAM HALSTEAD BRITISH CLASSIC
世界最高クラスの名作モヘアウール経糸に30番のメリノウール、緯糸に23番のモヘアウールを用いた、320-340g/m、ウール70%、モヘア30%の平織りウールモヘア。抜群の通気性とハリ感を備え、大変仕立て映えのする名作生地だ。
マシンメイドオーダースーツ¥120,000~ Batak House Cut
ビスポークスーツ¥360,000~ Batak Nakadera
LOVAT MILL THE KIRKTON TWEED
スーツも可なスコティッシュツイードスコティッシュツイードの名門ラヴァット ミルの、チェヴィオット種による7.2番手の単糸で織られたエステートチェック。500g/mの生地は大変丈夫で、ジャケットだけでなくスーツでも仕立てられる。
マシンメイドオーダースーツ¥143,000~ Batak House Cut
ビスポークスーツ¥365,000~ Batak Nakadera
FOX BROTHERS CLASSIC
キング・オブ・フランネルフォックス ブラザーズの「クラシック」は、経糸・緯糸とも40番双糸を使用し、370g/m。黄がかったグレイはここ独特の色合いだ。しっかりしたタッチで、柔らかな触り心地と滑らかなドレープを備える。
マシンメイドオーダースーツ¥170,000~ Batak House Cut
ビスポークスーツ¥390,000~ Batak Nakadera
DUGDALE BROS&CO ENGLISH CLASSICS & TOWN CLASSICS
半世紀以上変わっていない名作バンチダグデール ブラザーズの「クラシックス」は、経緯とも36番手の双糸で織られた435g/mのドライタッチのミルドウーステッド。サヴィル・ロウ ウェイトと呼ばれ、50年以上何も変わらない大定番コレクション。
マシンメイドオーダースーツ¥138,000~ Batak House Cut
ビスポークスーツ¥365,000~ Batak Nakadera
Hiroyoshi Nakadera / 中寺広吉1965年生まれ。ビスポークテーラーのバタク代表取締役兼モデリスト。94年に工房を構え、99年にビスポークの商標をバタクに。着用の服は、ラヴァット ミルのカークトンで仕立てたばかりのスーツ。「新品の状態では未完成。2年、3年と着て徐々に自分の体に馴染ませていくのが、英国生地で仕立てた服の楽しみなのです」
本記事は2018年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 20