CHOPARD “ALPINE EAGLE”

完璧なる新コレクションの全貌

October 2019

text mitsuru shibata
photography hiromasa sasaki(AVGVST)
styling akihiro shikata
grooming hiroki kitada

左から、ショパールの会長カール・ショイフレ氏、共同社長を務めるカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏。息子のカール-フリッツ・ショイフレ氏。アルプスの大自然に育まれた親子三代の思いは、新作「アルパイン イーグル」へと注がれる。

ショイフレ家の情熱を継承した“飛翔する鷲” スイスの高級リゾート地グシュタードは、想像していた以上に落ち着きと静けさに包まれた場所だった。

 当初ショパールが新作をこの地で発表すると聞いたときには首を傾げた。マニュファクチュールであり、ハイジュエラーであるショパールのワールドプレミアともなれば、大都市ジュネーブや本社ファクトリーのあるフルリエがふさわしいだろう。しかも招かれるのは世界から40名程度のジャーナリストのみ。まるでホームパーティではないか。だがやがてその地を選んだ真意、そこでなければならなかった理由に気づくのである。

 プレゼンテーションの前には大自然を満喫するショートハイキングが組まれ、その到着地に待っていたのは、ショパールの会長カール・ショイフレ氏、共同社長を務めるカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏、息子のカール-フリッツ・ショイフレ氏という親子三代のショイフレ一族だったのだ。そしてその腕に一羽の鷲が舞い降り、いよいよ新作「アルパイン イーグル」がベールを脱いだ。

 だが誕生には、時計の針を40年ほど戻す必要があるだろう。当時22歳で家業に就いていたカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏は、父カール・ショイフレ氏にある提案をした。それはステンレススティールのスポーツウォッチを作りたいというものだった。それまでゴールドのドレスウォッチに絞ってきたブランドイメージを崩しかねない大胆な進言に、カール・ショイフレ氏は躊躇したという。しかし我が子のセンスを認め、確固としたビジョンと企業家としての未来を信じて英断を下した。それが1980年に誕生した「サンモリッツ」である。

 はたしてブランド初のステンレススティールのスポーツウォッチは大ヒットし、新たなシンボルとなった。そしてその成功が、後の「ミッレミリア」や自社キャリバーL.U.Cへとつながり、独自のウォッチメイキングの礎になったのだ。

1980年に発表された「サンモリッツ」(写真上)は、ショパール初のステンレススティールを採用したスポーツウォッチであり、そのネーミングの通り、アルペンスポーツの精悍さとエレガントな山岳リゾートの世界観を両立。「アルパイン イーグル」(スケッチ画)はそのスタイルを継承しつつ、より力強く、デジタルテイストを感じさせるモダニティを加えた。それはアルプスの山々を越えて飛翔する鷲をイメージさせる。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 30
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