APPETITE FOR CONSTRUCTION: LE CORBUSIER
建築への欲望:ル・コルビュジエ
May 2025
ボウタイ、丸メガネ、パイプの三点セットがコルビュジエのトレードマークだった。(1938年)。
ル・コルビュジエがモーセのように意見を二分する理由は、彼自身の創造者としての在り方というよりも、むしろ私たち鑑賞者側の視点や反応にあるのかもしれない。
ル・コルビュジエは、人々に生き方を変えることを求めた。この姿勢が、彼が嫌われる一因となったのだ。彼は、貧困層を都市の郊外へ追いやり、コンクリート製の巨大な集合住宅に閉じ込めたとする批判を受けている。
彼が提唱した「建築か革命か」という言葉は、厳格で実用的な建築こそが、階級闘争に基づく革命を回避するための唯一の方法であるという信念を象徴している。
大恐慌時代にマンハッタンを訪れた際、彼が高層ビルを「小さすぎる」、セントラルパークを「大きすぎる」と評したのは、都市が市民の力を強化する役割を十分に果たしていないことを嘆いての発言だった。
さらに、彼がムッソリーニに手紙を送り仕事を申し出たことや、ファシズム的、反ユダヤ的な見解を持っていたという噂は、彼の評価をさらに複雑にしている。
彼が手がけた300以上の設計のうち、完成したのはわずか78件だったのも、不思議ではない。
ル・コルビュジエの伝記『ル・コルビュジエ モダンを背負った男』の著者であるアンソニー・フリントは、あるインタビューでこう述べている。
「彼は未来を先取りしたモダン建築の先駆者だと思われていますが、1920年代に戻り、彼の本来の意図を考えてみると、彼は都市がその潜在能力を十分に発揮するための多くの問題に挑戦していたのです。この革新の精神は、21世紀の発展途上国の都市にも応用できるものです。現在、何百万、何千万もの人々が都市に流入し、その多くがスラムに住んでいる現状においては、なおさらです」
いずれにせよ、既成概念に挑む人がいなければ、文化的な停滞が待ち受けているのは明らかだ。彼の最も大きな失敗作でさえ、既存のものをただ模倣する作品よりも、人類の進歩の道において重要なマイルストーンであることは間違いない。







