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生涯着られる最強コートは
ベンタイル・コットン

Ventile Coat

Friday, August 3rd, 2018

英国空軍(ロイヤル・エア・フォース)のアウター用に開発されたベンタイル・コットン。

ミリタリー発祥のベンタイル・コットンを素材にしたコートが、存在感あるタフな男をつくり出す。

 

text katsumi yabe(UFFIZI MEDIA)  photography jun udagawa  styling akihiro shikata

 

 

 

優雅なスタイルでも、タフなルーツはミリタリーにある

 

 トレンチコートやフィールドジャケットなど、紳士が愛用するアウターはミリタリーウェアから派生したデザインが多い。伝統的な素材使いや機能的なディテールを残したうえ、現代のライフスタイルに合わせて進化させることで、より魅力の詰まったアイテムになるからだ。

 

 ベンタイル・コットンもミリタリーを起源とする素材だ。1943年、英国空軍のパイロットが着用するアウター用の素材として開発されたベンタイル・コットンは、繊維長の長いコットン原糸を超極細に紡績し、高密度に織り上げてつくられる。その結果、撥水性や防風性に加え、通気性にも優れた機能的な素材となる。

 

 

 

 

 アウターの素材といえば、ワックスやオイルドコットンのほうがよりメジャーだ。ベンタイル・コットンが広く知られていない理由は、稀少な綿糸を原材料とすることから、あまり量産できないためである。つまり、ベンタイル・コットンは、通好みの自然な上質感をアウターに投影する素材であり、コシのある生地感や適度なツヤを備え、ミリタリーアイテムをより優雅なスタイルにつくり上げるのだ。

 

 ミリタリーの要素を持ちながら、モダンな男らしさを表現できる最強のコートを見極めるには、素材がベンタイル・コットンであるかがポイントになる。

 

 

LID TAILOR

往年の英国紳士を彷彿とさせるクラシックなスーツを得意とするリッド テーラーが、待望のレディメイド・ブランドとなるエル・アイ・ディーを展開。これがそのトレンチコートだ。ベンタイル・コットンを使い、1980年代のディオールのモデルから着想を得た、ゆったりとしたシルエットを描くスタイル。エレガンスが漂う大人の雰囲気に加え、ガンフラップやチンウォーマーなど、細部も洒落ている。

 

ベンタイル・コットンのなかでもヘビーウエイトの素材を使用し、男らしく存在感のある佇まいを表現。胸元のボタンを開け、コートの襟を立て、ネイビーのコートに対して赤いスカーフで着こなしのアクセントを楽しむのも粋だ。

 

着脱可能なライニングは、英国ラヴァット社製のツイードを使用。春、秋、冬とさまざな季節で活躍しそうだ。ネイビーの他2色あり、全5サイズで展開。¥145,000 Lid Tailor

 

 

HACKETT LONDON

ハケット ロンドンの創設者で英国ファッションを知り尽くした“ミスター・クラシック”こと、ジェレミー・ハケット氏のワードローブを再現した「ジェレミーズワードローブ」の1着。正統的なバルカラーコートにベンタイル・コットンを使用。裏地は、白と青の鮮やかなストライプだ。¥170,000 Hackett London

 

 

 

ANATOMICA

1枚の生地を筒状にしたシングルラグランスリーブや風の侵入を防ぐチンウォーマー、貫通式のスロテッド・ポケットなどのディテールを備えた、古きよき時代のトレンチコートを思わせる1着。高密度に織り上げたベンタイル・コットンが、着るほどに身体になじむ感覚をじっくりと楽しめる。¥175,000 Anatomica