From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

久井信吾さん

Sunday, July 10th, 2016

久井信吾さん

モンブラン コミュニケーション マネージャー

text kentaro matsuo phortography tatsuya ozawa

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 高級筆記具の雄として、また最近では、時計やレザーグッズでも注目すべきコレクションを発表していることで知られる、モンブランのPR、久井信吾さんのご登場です。日本社会では普通、会話の中で第三者を指す時は、「○○さん」(年下の場合は「○○君」など)の敬称を付けますが、久井さんの場合は、彼を知っている人すべてが、「久井さま」と呼んでいます。私も久井さまと言ってしまいます。

これはひとえに、彼が発している“超ノーブルなオーラ”のせいでしょう。彼の存在感は、まるで平安時代の公家、または中世の欧州貴族のようです。その凛とした立ち振る舞いは、俗人とは一線を画しています。これはかつて世界的デザイナー、森英恵先生の薫陶を、直接受けたせいかもしれません。

 

「ハナエモリにて、9年間広報を務めました。森先生はよく“美”について教えて下さいました。例えば『日本の夏には黒が似合う』とか。それからファッションに対する具体的なアドバイスもありました。『柄ものと無地ものを合わせる時は、柄ものの一色を拾って来なさい』や、『どんなにいいツィードでも、夜には着てはいけない』など、本当に勉強になりました。私の装いの根本には、クチュール的な感覚があると思います」

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スリーピース・スーツは、エディフィスのパターンオーダー。光沢のあるカノニコのモヘヤ混生地で仕立てられています。

「私が持っているスーツは、すべてスリーピースなのです。いつもフォーマルな気分でいたいですからね。それにタイがぶらぶらしないので、傷まなくてよいのです」

 

スモール・ラウンドカラーのクレリックシャツもエディフィス。

 

タイはシャルベ。

「年に数回はパリを訪れます。行った際にはシャルベの本店に、必ず立ち寄ることにしています」

 

チーフはイード&レイヴェンスクロフト。世界一古いと言われているテーラーです。

「サヴィルロウの路面店で、半ダースのセットを買いました」

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タイバーとカフリンクスは、お父様の形見だとか。

「父は特段、着道楽な人ではなかったのですが、やはり昔のものは手が込んでいますね。瑪瑙で出来たカボション型のカフスや、これだけ細かい彫りが施されたタイバーは、今では手に入らないでしょう」

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シューズはサントーニ。

「私はとても足が小さいのですが、サントーニには、小さいサイズも揃っているのです」

 

時計はもちろんモンブラン。2012年に発売された“モンブラン スタ ワールドタイム GMT オートマティック”。

「二つの時間を表示する機能が付いているので、海外出張に出かけたとき便利なのです」と。

 

鞄もモンブランで、“マイスターシュテュック クラシック”というモデル。

「私はバーガンディという色が好きなのです。今日も靴、鞄、ベルト、そしてタイバーとカフスをバーガンディでまとめてみました」

こういうところが“クチュール的”なのですね。

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「ファッションとは、人様に対するリスペクトを表すものだと思います。ですから、基本的にはきちんとしていたいのですが、あまり着飾るとそれが却って失礼になる時もある。例えば、私の母が入っていた介護施設に行く時は、タイバーやチーフは外すようにしていました。ホームの職員の方は、文字通り“なりふりかまわず”仕事をなさっている。そこにジャラジャラとアクセサリーを着けて行くのは、不謹慎だと思ったのです」

なるほど、装いに対する“品と格”が違いますね。

 

「床の間に飾られた、一輪の花のようにいたい」と仰る久井さんを、やはりどうしても「久井さま」と呼ばずにはいられません。