From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

設楽洋さん

Saturday, July 25th, 2015

設楽洋さん

 

株式会社ビームス代表取締役

interview nobuhiko takagi photography tatsuya ozawa

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ビームスの社長、設楽洋さんのご登場です。言わずと知れた、ファッション界の重鎮でありますが、その明るいキャラクターで、業界では“タラちゃん”として、多くの人に慕われています。毎年、自身をモデルに仕立てた噴飯モノの年賀状を作ることでも知られており、これを年始の楽しみにしている人も多いでしょう。

ビームスという店が持つ、とびきりお洒落ながらも、どこか「ハッピー」な雰囲気は、この方のキャラクターによるところが大きいのだと思います。

 

チェックのスーツは、ビームスFのカスタムテーラービームスで作ったもの。

「突然ブラックウォッチのスリーピースが欲しくなって、いろいろ探してみたのですが、なかなか見つからなかったので、もう作っちゃえと(笑)」

 

シャツもカスタムテーラービームス。

「シャツもオーダーが多いですね。襟型や素材はいろいろですが、ボディは測ってもらっていて、いつも同じです」

 

ネクタイは、ドレイクス。

「今シーズンのトレンドカラーがグリーンなので、ブラックウォッチの緑を拾って、タイとチーフを揃えてみました」

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ゴールドのロレックスは、お父様の形見だとか。

「1960年代のものだと思います。ロンドンのアンティークマーケットで見つけて、私自身がプレゼントしたものです。それで、親父が亡くなった時に形見としてもらいました。時計はいっぱい持っていますが、これを着けることが一番多いですね」

 

ブレスレットはミラノの宝石店ミザーニでオーダーしたもの。

「この小ぶりな時計に似合うように作ってもらったんです」

 

名刺入れとして愛用しているのは、昔のキセルタバコケースなのだとか。

「昭和初期のものですね。着物のアンティーク屋で購入しました。紐の先に付いているのは、根付と言って、着物の帯に留めるものです。これをベルトに挟んで、ケース部分をポケットに入れて使っています」

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シューズは今年の4月にローマで買ったサントーニ。

「シューズはサントーニが多いですね。足型が自分に合うのです。靴はサイズよりもウィズで合わせます。そのほうがキレイに見えると思います。ドレスシューズは130足くらい持っています。スニーカーも好きで、50足くらいあります。シャープなものより、ぼてっとしたものが好みですね。もともとアメリカ靴が好きだったし、そのほうがキャラにも合うと思うので(笑)」

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設楽さんの根底あるのは、やはりアメリカン・スタイルなようです。

「僕が生まれたのは1951年ですが、まさにミッドセンチュリーのど真ん中なのです。戦後の日本で、初めてテレビでアメリカのドラマを見たり、洋楽を聞いたり、ジーパンを穿いたりした世代です。今日もアメリカの蚤の市で買った50年代のアンティークをラペルに付けているように、どこかにアメリカの要素を入れますね」

 

少年時代の憧れは、常にアメリカでした。

「60年代後半から70年代前半が自分の思春期でしたから、一番影響を受けました。その頃毎年、葉山の海の家で夏を過ごしていて、その店の閉店の音楽が、サンタナの“君に捧げるサンバ”だったのです。それを聞きながら、夕日を眺め、『この海の向こうに、アメリカがあるんだ!』と憧れていました。いま冷静に考えてみると、全然方角が違うんですけどね(笑)」

 

初めてアメリカに行ったのは、1973年のこと。

「一番最初の旅はLAでした。お金がないから、ヒッチハイクしたり、駅で泊まったり。大きなリュックを背負っていたので、当時は“カニ族”と呼ばれていました(笑)。UCLAの学生寮では、同じ部屋なのに、住む学生によって部屋の雰囲気が全然違うのに驚きました。スポーツをやっている奴はスポーツグッズだらけだし、音楽する奴はレコードやギターで飾る。そういうのを見て、『アメリカだなぁ』と目を丸くしていましたね」

 

ビームスをオープンさせたのは、1976年。

「イーグルスの“ホテルカリフォルニア”がヒットした年です。そういう訳で、オープン当時は、アメリカン・ライフショップでした」

 

その後の大躍進は、誰もが知るところで、ビームスはいつの時代も、トレンドセッターとなってきましたが、その根底には、常に設楽さんのアメリカへの憧憬があったようです。

「今でも、自分の部屋には、サンタナのLPが飾ってあります。サンタナを聞くと、砂浜で膝を抱えて、海に沈む夕日を見ていた自分を思い出すのです」

日本のセレクトショップ文化を牽引してきた重鎮は、生粋のロマンチストでもあるようです。