Gucci Osteria Tokyo Unveiled their New Chef
日本に魅せられた女性シェフ、銀座「グッチ オステリア トウキョウ」新料理長に就任
Friday, May 16th, 2025
日本料理に魅せられ、2017年に東京へと拠点を移した、イタリア人女性シェフのラファエラ・デ・ヴィータ。ミシュラン星を守り続ける「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」でスーシェフとして研鑽を積んだ彼女が、料理長に就任しました。ラファエラの料理には、イタリアと日本、それぞれの文化への敬意が繊細に織り込まれていました。
銀座・並木通りを歩いていると、ふと目に入る花畑を思わせるファサード。ヒグチユウコさんによるカラフルな作品が彩るこの入り口が、今回ご紹介する「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」の目印です。
2021年10月にグランドオープンした同店は、イタリアのフィレンツェ、米国のロサンゼルス・ビバリーヒルズに次ぐ、世界3店目のグッチ オステリアとなりました。2022年に『ミシュランガイド東京』の星を獲得し、その後も現在に至るまでその星を保ち続けています。
そんな同店の新しいヘッドシェフに就任したラファエラ・デ・ヴィータは、星を獲得した当時からこの店のスーシェフとして活躍してきた人物です。
南イタリア・フォッジャ出身の彼女は、イタリア各地のダイニングで経験を積み、豊かなガストロノミーの伝統や食材への理解を深め、ペスカーラの日本レストランでの経験をきっかけに、2017年に東京へと移住することとなります。そして語学学校等に通いながら、日本料理や文化への情熱をさらに高め、2022年から「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」に加わりました。
新しいヘッドシェフに就任したラファエラ・デ・ヴィータ。
そんな彼女の料理を実際に味わう機会に恵まれたので、今回はその際に登場した、象徴的なメニューのいくつかをご紹介します。
最初に紹介したいのは、彼女のシグネチャーともいえる「ブルスケッタの再構築〜華麗なる変身〜」。これは彼女が幼少期の頃から親しんできた故郷の味「ブルスケッタ」へのオマージュとなるひと皿です。新たなヘッドシェフとして第一歩を踏み出したラファエラの姿を重ねた「ホタテ」を、ブルスケッタを表現したソースとともにいただく、スープのようなひと品でした。
下写真をご覧いただくとお分かりになるように、トップの非常に繊細な緑色のチップス(米粉とオレガノを合わせたもの)が、アーティスティックな表現を最大限に引き立てるとともに、サクサク感をプラスし、さまざまな食感を演出してくれました。こちらはディナーのみでの提供です。
「ブルスケッタの再構築〜華麗なる変身〜」。
また彼女の名前がつけられた「ラファエラのパルミジャーナ」はホリデーシーズンにラファエラが家族といつも食べていたプーリアのお菓子「カルテッラーテ」からインスピレーションを得たひと皿。祖母からカルテッラーテと、母から学んだパルミジャーナのレシピをトマト、ナス、バジルからなる3つのクリームで再解釈し、ラファエラが好きだというローマ帝国のモザイク画風にアレンジされたものです。
食べる場所によって、また異なるソースを混ぜ合わせることによって味の変化を楽しむことができる、多層的な味わいが非常に感動的な一品でした。こちらはランチのみでの提供です。
「ラファエラのパルミジャーナ」。
デザートの「フィオル ディ フラゴラ」は、日本人の私でもなんだか懐かしいと思えるようなひと品でした。着想源は、ヘッドシェフが子どもの頃に食べていた「Fior di fragola」というイチゴのアイスキャンディー。イチゴをさまざまな食感にアレンジし、モッツァレラチーズのジェラートと組み合わせていました。ジェラートや焼いたイチゴのやさしい甘味と、フレッシュないちごの酸味が見事に調和した、軽やかなデザートでした。こちらはディナーのみでの提供です。
「フィオル ディ フラゴラ」。
繊細で緻密に構築された料理は、まさに芸術作品のようでした。一朝一夕には得られないような、彼女がこれまで歩んできた人生の中で培われてきた感性がふんだんに凝縮された料理は、そのお皿をみるだけでラファエラの作品だとわかるような、唯一無二のものばかり。これからの躍進に注目したい、若き女性シェフがまた一人誕生しました。
店内にはバーエリアやテラス席も。
グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ
東京都中央区銀座6-6-12
TEL. 03-6264-6606
E-mail: gucciosteria.jp@gucci.com
著者 トッキー(時田幸奈)/ Yukina Tokida
THE RAKE日本版のシニアエディター兼ウェブディレクター。