トッキーのラグジュアリー日記
Tocky's Luxury Escapes

THE RAKE 日本版 編集部員トッキーこと時田が出合った国内外のホテル、ダイニング、バーについて紹介します。

Jean-Georges at The Shinmonzen

【ミシュランガイド2025一つ星】京都のジャン-ジョルジュで若き女性シェフが魅せるモダンフレンチ

Sunday, April 27th, 2025

京都・新門前通のモダンフレンチレストラン「Jean-Georges at The Shinmonzen」が、2025年のミシュランガイドで一つ星を初獲得。料理を手がけるのは、ニューヨークの本店で経験を積んだ29歳の女性シェフ、ハナ・ユーン氏。その実力と感性が光る、2周年記念ディナーを体験してきました。

 

 

 

 

 旅先や日々の食事でレストランを選ぶとき、皆様は何を参考にしますか? Googleマップや口コミサイト、知人のおすすめなどさまざまだと思いますが、「ミシュランガイド」に信頼を置く方も多いでしょう。

 

 実際にレストランの方の声を聞いてみると、このガイドブックに載るとたくさんの反響があるといいます。そんなミシュランガイドブックの評価基準は至って明快で、以下のとおりです。

 

一つ星:そのカテゴリーで特に美味しい料理

二つ星:遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理

三つ星:そのために旅行する価値がある卓越した料理

 

 そんなミシュランガイドにおいて、2023年の開店からわずか2年の今年、初の一つ星を獲得したのが、「Jean-Georges at The Shinmonzen」です。

 

 

京都らしい和のテイストを感じさせるモダンな店内には、カウンター席とテーブル席があり、どの席からもキッチンが見えます。空間を彩るアートは、全てオーナーの個人コレクション。上写真左側の窓の外にはしずかな川が流れているため、暖かい季節にはテラスでの食事もおすすめです。

 

 

 

 同店の総料理長を務めるのは、韓国出身のハナ・ユーンさんです。ニューヨークの四つ星、ジャン-ジョルジュ・レストランで頭角をあらわし、2021年に副料理長に。2023年5月より、若干28歳にして、このJean-Georges at The Shinmonzenで総料理長を務めることとなりました。

 

 当時はまったく日本語も分からなかったとのことでしたが、当日は流暢な日本語でのスピーチを披露してくださり、2周年という節目にミシュランガイド一つ星を獲得したことについて次のようにコメントしていました。

 

「この度はこのような栄誉ある賞を受賞できたことを大変光栄に思います。いつも支えてくれるニューヨークのJean-Georgesチーム、京都のJean-Georgesチーム、そして何よりも数あるレストランの中からJean-Georges at The Shinmonzenを選んでお越しいただいているお客様に心から感謝申し上げます。これからも京都の食材の素晴らしさを当レストランの料理を通じて皆様にお届けできるよう、精進してまいります」

 

 

 

 

 では幸運にも参加する機会に恵まれた、2周年記念の特別ディナーでのハイライトをご紹介したいと思います。

 

 どの皿も驚きと感動に満ちていましたが、なかでも印象的だったのが2皿目に登場したグリーンアスパラガスとモリーユ茸の一皿は格別でした。ちょうどよい茹で加減でシャキっとしたアスパラガスに合わせられた、クリーミーなソースがしっかりと絡んだモリーユ茸のバランスに、食べ進める手は止まらず。同席したゲストの方々もみなさん唸っていました。

 

 

 

 

 メインの京丹波和牛の一皿は、牛肉に纏わせた胡椒をはじめとするスパイスと、味噌×マスタードのソースが絶妙にマッチしていました。世界中のシェフが注目し、さまざまな料理で活用している味噌ですが、ハナシェフによるソースも、味噌の味わいも感じられつつ、マスタード独特の酸味と見事に合わさり、ジューシーなお肉をさっぱりといただける、最高のコンビネーションでした。さらに、付け合わせのニンジンは最大限まで甘味が引き出されていたのと同時に、スライスした赤唐辛子(しっかり辛かったです)が合わせられており、辛味が甘味を引き立て、甘味が辛味を引き立てる、こちらも完成度の高い一品でした。

 

 

 

 

 ちょうど桜が咲き始めていた季節ということもあり、デザートには、甘味も程よい、桜の香り豊かな求肥のスイーツが登場。日本の和菓子を思わせるその見た目ながら、クリームやバター香るクッキーが用いられていて、味わいはしっかり洋菓子でした。最後の最後まで、抜かりのない料理の数々に、身も心も満たされました。

 

 そしてこの日、ハナシェフの料理にペアリングされたのは、プロヴァンスからついに日本初上陸したノンアルコールワイン「NOOH(ヌー)」(実はThe ShinmonzenとNOOHのワイナリー、シャトー・ラ・コスト、オーナーが同じなのです)。

 

 

 

 

 NOOHは一度ワインを造ったうえで、35〜40度の低温で丁寧にアルコールを飛ばしているため、ノンアルコールなのかと疑ってしまうほど本格的な味わいでした。アルコール0.0%なはずなのに、思わずほろ酔い気分に(もちろん気のせいです笑)。

 

 アルコール好きでも楽しめるノンアル飲料の選択肢が増えてきたことを実感し、“飲まない夜”も悪くないと感じた京都滞在でした。

 

 若きシェフとともに進化を続ける「Jean-Georges at The Shinmonzen」。今後の展開にも期待が高まります。

 

 

Jean-Georges at The Shinmonzen

京都市東山区新門前通西之町235

TEL. 075-600-2055

E-mail: jg@theshinmonzen.com

 

 

著者 トッキー(時田幸奈)/  Yukina Tokida

THE RAKE日本版のシニアエディター兼ウェブディレクター。国内外のラグジュアリーホテル、ダイニング、バーを中心に取材し、誌面およびオンラインで記事の執筆・編集を手がける。「トッキー」は、編集長からのニックネーム。