6th Anniversary Special Dinner at SHIROUX, Halekulani Okinawa
【レポート】ハレクラニ沖縄のダイニング「シルー」監修シェフが交代!バトンタッチと開業6周年を祝うスペシャルディナー
Saturday, September 27th, 2025
ハレクラニ沖縄のダイニング「SHIROUX(シルー)」が開業6周年を迎え、コンサルティングシェフのバトンタッチを発表。7月には現シェフ・川手寛康氏と新任の坂本健氏が共演するスペシャルディナーが行われ、沖縄の食材を生かした唯一無二のコースが披露されました。
ハワイ語で「天国にふさわしい館」を意味する「ハレクラニ」。1883年にワイキキで、漁師を癒すためのビーチハウスとして誕生したこの老舗ホテルが、国外初となる開業地として選んだのが沖縄です。
2019年7月にオープンした同館は、開業当初よりハワイで脈々と受け継がれてきた心地よいサービスをこの日本でも提供し、多くのゲストを虜にし、リピーターからの愛も日を重ねるごとに増しています。
そんなこのホテルが開業から6年を迎えた今年、イノベーティブダイニング「SHIROUX(シルー:沖縄の言葉で白という意味)」のコンサルティングシェフの交代を11月に行うと発表。それに伴い、7月の周年イベントでは、新たなコンサルティングシェフとして就任するミシュラン一ツ星イタリアン「cenci (チェンチ)」の坂本健氏と、現コンサルティングシェフであるフレンチ「Florilège(フロリレージュ)」の川手寛康氏が饗宴する、豪華な一夜限りのコラボレーションディナーが開催されました。両氏の共演は、まさに記念すべき瞬間となりました。
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イタリアンとフレンチ、それぞれ異なるジャンルで高く評価されている両氏が、どのようなディナーコースを繰り広げるのか、開催前から参加者の期待は最高潮。人気のあまり、席は即完売となりました。
当日のディナーは、ひとつの料理をふたりで作り上げるのではなく、前菜や肉料理など、カテゴリーごとにあるひとつの食材をテーマに異なる2品が提供されるスタイルでした。
ディナーは坂本氏と川手氏の挨拶に始まり、コラムニストであり美食評論家の中村孝則氏による乾杯の挨拶とともにスタートしました。
ディナーのハイライトをいくつかご紹介したいと思います。前菜から驚きの連続でした。まず登場したのは、24ヶ月熟成のペルシュウ(パルマハム)を使った前菜。このペルシュウが非常に特別なもので、日本唯一のパルマハム職人の称号を持つ多田昌豊氏が自ら厳選し、当日のゲストに向けて最適な薄さで切り分け提供してくれたものでした。このペルシュウを生かしたふたつの料理は、まず坂本氏による料理は、というとうもろこしと葛で作ったあげもちに、とうもろこしのピューレやリコッタチーズなどをトッピングしたものでした。そこにペルシュウを自ら乗せて手掴みでいただくスタイル。
一方の川手氏による料理は、ジャガイモやグルクンで作った「クネル」にミツバやトリュフを合わせたやさしい「お椀」でした。そのなかでペルシュウをしゃぶしゃぶという非常に対照的なもので、料理人の技によって、ペルシュウの新たな魅力が引き出されていました。
次に非常に記憶に残っているのが、ゴーヤを使った料理。苦味の強いゴーヤをどのようにしてイタリアン、フレンチスタイルに仕上げられるのか、提供前から想像を膨らませていたわけですが、やはりどちらの料理も私の想像の遥か彼方をいくものでした。
まず川手シェフによる料理は、ナスのガレットやシート、ゴーヤをスライスし、ナスのニョッキや車海老などをレイヤーにし、仕上げにゴーヤから抽出したオイルをプラスするという川手氏ならではのスタイルが光る一品でした。苦味やナスのとろとろとした食感、宜野湾産車海老の旨み、すべてのバランスが最高でした。
そして坂本氏による一品は、なんとゴーヤと沖縄のキハダマグロやシークワーサーと合わせたもの。しかも塩揉みしたゴーヤとフリットにしたゴーヤの2種類を合わせ、さらには蒸した餅米を合わせるという、洋風なお寿司のようなこれまでにない独創的な美味しさで、思わずもう一皿欲しくなるほどでした。
さらに、アグー豚を使った料理がこれまた度肝を抜く美味しさでした。川手シェフは10数年ぶりに使用したというフォアグラのテリーヌと、豚の頭や手、バラ、内臓などを使った豚版バロンティーヌにマンゴーのゼリーや生姜のクリームなどで包み、脇にはカラシナのマリネや卵黄のソース、沖縄ならではのスパイス「ピバーチ」が添えられていました。
坂本氏は、今帰仁産のアグー豚に、レタスやきゅうり、落花生を合わせた料理を。沖縄で定番の塩漬けの豚をインスピレーション源に、糠でマリネした豚バラを蒸して薄くスライス。ピューレにしたジーマミー豆腐、きゅうり、魚醤や米麹などを合わせた旨みの強いオリジナルソースを合わせた一皿でした。
最後にご紹介するのは、坂本氏によるこれ以上ないほどに印象的だったパスタ。卵を使っていないタリヤンを、イラブーの出汁をベースに鶏出汁を少しプラスしたスープでいただく一品。仕上げにシチリアの甘いオリーブがかけられていました。付け合わせとして用意されていたトッピングも秀逸で、ミントやバジル、さらには他の料理で使用しなかった鴨のモモや心臓、砂肝をミンチにした肉味噌的コンディメントでした。これをプラスすると味が一変し、奥行きがさらに増しました。坂本氏の就任に向けて、期待をさらに高める一夜となりました。
就任にあたり坂本氏は、「この度、ハレクラニ沖縄の『シルー』のコンサルティングシェフとして就任することを大変光栄に存じます。沖縄の豊かな食材と文化を取り入れ、革新的で魅力的な料理を創り上げることを楽しみにしています。京都と沖縄には、地域の食材を活かしたユニークな食文化があり、シルーのカリナリーチームと共に新たな美食体験を提供する挑戦に心からワクワクしています。多くの方に楽しんでいただけることを心待ちにしております」と意気込みを語っています。
坂本氏の就任は11月1日から。10月30日までは川手シェフによるコースが提供されており、交代前に味わう貴重な機会となりそうです。
ハレクラニ沖縄
沖縄県国頭郡恩納村名嘉真1967-1
TEL. 098-953-8600
筆者 トッキー(時田幸奈)/ Yukina Tokida
THE RAKE日本版のシニアエディター兼ウェブディレクター。


















