伊勢丹新宿メンズ館の「編集長」
田代径大さん
Saturday, January 25th, 2020
田代径大さん
三越伊勢丹 MD統括部マーケティング推進部
text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa
三越伊勢丹の田代径大さんのご登場です。田代さんは、つい先日まで、伊勢丹新宿メンズ館のオウンドメディア、ISETAN MEN’S netの編集長をされていました。オウンドメディアというのは、自社で持っているメディアのことで、これが普及すると、われわれのような外様メディアは商売上がったりなのですが、私の場合はそのへんは深く考えず、いち伊勢丹ファンとして、面白く拝見していました。
「あくまでも“自称”編集長でしたけれど(笑)。誰かが表に立ったほうが、イメージがついていいと思ったのです。お陰様でユーザー数は、順調に伸びています」
伊勢丹へ入社したのは、インターンがきっかけだったとか。
「ファッションが大好きだったので、大学3年生のときに伊勢丹でインターンをやったのです。一日研修を受けた後、いきなり売り場に立ちました。もちろん胸に“インターン”のバッジをつけてです。配属されたのは、リビングフロアでした。一瞬がっかりしたのですが、よくみるとクッション・カバーひとつとってもさまざまなものがある。これは面白いとクッション・カバーに夢中になりました。それから視野が広がって、ファッションだけでなく、インテリアなどさまざまなモノを扱う百貨店へ入りたいと思ったのです」
へーえ、伊勢丹にそういう制度があるとは知りませんでした。今度行ったら、インターンを探してみよう。
「入社してから3年間は、紳士靴売り場に立っていました。ジョン ロブやエドワード・グリーンなどを扱う高級靴ゾーンです。そこでわかったのは、靴のフィッティングには終わりがない、ということ。お客様から、買った靴が足に合っていないと言われ、悔しい思いもしました。そこで少しでも足のことがわかるよう骨格や歩き方の勉強をしました。今では、その方の履いている靴を見れば、大体のことがわかります」
試しに私の履いていたオールデンを見せると、
「うーん、ソールの外側が減っていますね。もしかして松尾さん、O脚気味ではないですか?」
はい、その通りです・・
スーツはサンカッケー。デザイナー、尾崎雄飛さんがクリエイトするブランドです。
「あまのじゃくなので、一見普通、でもどこか変わっている格好が好きなのです。このスーツも、素材やパターンはちゃんとしていますが、胸ポケットが横に開いていたり、ディテールが面白い。それから、デザイナーの尾崎さんとは友人でもあるのです。私は、個人的に知っている人が作った服を着るのが好きです。その方が作った人の思いまで着られるような気がして、気持ちいいのです」
あ、その気持ち、わかります。私も知り合いが作った服ばかりです。
シャツは、伊勢丹オリジナルのパターンオーダー。
「メンズ館の1階にあるオーダーシャツ・コーナーで扱っているものです。シャツはとにかく、サイズが大切ですから」
タイは、懐かしのアルニス。
「これは地元の古着屋で買いました。地元ですか? 立石です。立石はいいところですよ。“せんべろ”な店がたくさんあって、昼間からべろべろになれます(笑)」
立石、生まれてから一回も行ったことありません・・今度連れて行って下さい。
「私の行きつけは、“うめだ”というスナックです。ソファは赤いベルベッド製で天井にはミラーボールが回っています。もう昭和そのままです。ママは80歳代半ばくらいかなぁ(笑)」
メガネはナッキーメイド。
「デザイナーのナッキー(中川直記さん)とも飲みに行きますね。でもまだ新宿までで、立石に連れて行ったことありません」
時計はロンジンのアンティーク。
「1930〜40年代くらいでしょうか? 原宿のワンミニッツ・ギャラリーで入手しました。私は時計への興味が少ないのですが、この時計はサイズ感と形が好きなんです」
こだわりのシューズは、ヨーヘイ・フクダ。さすがです。
「フル・ビスポークしたものです。私の足のサイズは28.5〜29センチもあるのですが、この靴は私の足をコンパクトに見せてくれる。自分の足ではないみたい」
伊勢丹へは幼い頃から通っているので、もう何百回も行ったことがありますが、今日はじめて知ったことがあります。
「実は店内のBGMが、いろいろなことのサインになっています。例えば、外で雨が降り出すと、店内では『雨に唄えば』がかかります。これで販売員は、ショッピングバッグにビニールをかけたりできます。それからノー残業デーには、『となりのトトロ』がかかる。これは“トットトカエロー”という意味なのです(笑)」
ダジャレ、ですか・・・でも、面白いトリビアですね。
今年は、伊勢丹メンズだけでなく、三越伊勢丹のすべてを横断したウェブ・メディアを立ち上げる予定だそうです。今度はウチの本も取材してくださいね!
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