パレスホテルの凛とした雰囲気を醸し出す
渡部勝さん
Sunday, February 25th, 2018
渡部勝さん
パレスホテル東京 総支配人
text kentaro matsuo photography natsuko okada
総客室数290、全室45平米以上という偉容を誇る、パレスホテル東京の総支配人、渡部勝さんのご登場です。豊かな緑を持つ皇居外苑と東京駅を結ぶ線の真ん中に位置し、その住所は「丸の内1-1-1」、まさに東京を、そして日本を代表するホテルです。
「大卒で入社して以来30年間、パレスホテル一筋の“パレスマン”です。最初はベルボーイからのスタートでした。そういう下積みをすることによって、ホテルというものがわかるようになるのです」
なるほど、私も編集者としての下積みの多さでは人後に落ちませんが、問題は下積みのまま終わりそうなところです・・
「入社当時のパレスホテルは、それは華やかでしたね。当時より、丸の内には外資系の会社がたくさんあって、お客様の6割は外国の方でした。皆ビシッとトラっドなスーツを着ていらして、とにかく格好よかった。ハウスキーピング(室内清掃)を担当していた時期もあったので、お客様の靴をお預かりして、自ら磨いたこともありましたが、そのブランドは英国のチャーチだったりして、『本場のジェントルマンは、こういうものを履くのだな』と感心しました」
そういった経験から導き出されたのが、渡部さんのスタイルです。ホテルマンのドレスコードは、ことのほか厳しいと聞きますが、やはりさまざまな制約があるようです。
スーツはビームスのブリッラ ペル イル グストのもの。もう10年以上通っているそうです。
「私は仕事柄、一年のうち360日はスーツを着ます。そして、そのほとんどがネイビーかチャコールグレイのダークスーツです。ワンシーズンに1〜2着の割合いで、新しいスーツを買います。ブリッラのものは私の体型に合うので、パンツの裾丈以外、お直しをしなくてもいいところが気に入っています」
シャツはパレスホテル東京のアーケード内にショップを構えるシャツ専門店、タケナカシャツにてオーダーしたもの。
「パレスマンのシャツは、白以外はNGです。われわれは裏方ですので、お客様より目立ってはいけないのです」
ネイビーのソリッドタイは、ドレイクス。他にはブリューワーもよく締めるとか。
メガネはフォーナインズ。
時計はIWCの名作、ポルトギーゼ。
「ストラップがネイビーなところが、さり気なくていいですね」
カフリンクスは、出張先のロサンゼルスのニーマンマーカスで買ったもの。
「基本的には、アクセサリーは着けません。しかしカフリンクスは好きで、いろいろと持っています。シャツも必ずダブルカフスにしています」
シューズはジェイエム ウエストン。
「足が細いので、ウィズはCかD。日本だと、ぴったりと合うサイズを探すのが難しいのです」
甲高幅広の私からすると、羨ましいお悩みをお持ちです。
「いまでは私が総支配人となりましたので、パレスホテル東京のドレスコードは私自身が決められるのですが、昔ながらのしきたりを守っています」と。
渡部さんの装いを見ていると、本当にメンズ・ファッションというものは、「決められたルールのなかで、いかに細部を追求するか」にかかっているのだなぁ、と思います。ダークスーツ、白シャツ、紺タイ、黒靴だけで、十分にカッコいいスタイルが可能なのです。
「ファッションも、ホテルも、ディテールが大切だと思っています。細かい部分にこだわりを持っているつもりですし、お客様にそういったところに気付いて頂けると、とても嬉しいですね」
まさにホテルマンの鑑のような存在。パレスホテル東京が持つ、独特の“凛”とした雰囲気は、この方が醸し出しているのだと思いました。
パレスホテル東京
ロビーより、皇居外苑を望む。
所在地は、丸の内1-1-1。地下1階は、地下鉄大手町駅に直結。
東京駅からは徒歩8分。
2駅12路線が利用可能
http://www.palacehoteltokyo.com/