東京を代表するファッショニスタは豪州人
イーサン・ニュートンさん
Wednesday, August 10th, 2016
イーサン・ニュートンさん
ブライスランズ オーナー
text kentaro matsuo photography natsuko okada
THE RAKEのブログでもおなじみ、カメラマンとしても活躍中、そして世界中のスナップサイトでも撮られまくっている、イーサン・ニュートンさんです。とびきりのファッションセンスと、一目見たら忘れられない風貌で、すっかり有名人となりました。
彼が東京・原宿に開いたショップ、ブライスランズは、東京のお洒落な人たちの間で、いま話題のスポットとなっています。ロンドンの傘、香港のシャツ、アメリカのベルト、東欧の靴・・・他店とは一線を画する独自の品揃えが、実に新鮮なのです。何を隠そう、私自身もここでばかり買い物をしています。
リネンのダブルスーツはブライスランズがダルクオーレに別注したもの。
「ウチのスーツの特徴は、シェイプが緩くて、丈が長くて、パンツの股上が深いということ。ゴージラインも低めです。トレンドはまったくケアしていません。1920~40年代くらいのスタイルですが、なにしろ私はコレが好きなのです」
この潔さが、この店の最大の魅力です。
シャツはブライスランズがアスコット・チャンに別注したもの。D.J.アンダーソンの200番手の生地を使っています。
タイは、ブライスランズ・オリジナル。ヴィンテージの生地をリメイクしたファブリックが使われています。
ポケットチーフは、シモノ・ゴダール。
「私はここのリネンのチーフしかしません」
金無垢の時計は、1940年代のロレックス・バブルバック。
リングは、自らのファミリーのシグネチャーリングです。外国の方がこういうものを身につけると、キマりますよねぇ(逆に日本人だとなんだかヘンです)。
ゴールドのフレームが美しいメガネは、50年代のシュロンのデッドストックです。
ベルトはアメリカのヴィンテージのシルバーバックルに、クロコダイル・レザーを合わせたもの。ブライスランズのオリジナルで、もうすぐ発売となるそうです。
シューズは、ルーマニアのサン クリスピン。ワンアイレットのカーフモデル。ブライスランズでは、サン クリスピンのオーダーを随時受けていて、私も先日一足作ったばかりです。
「この夏のテーマは“50年代にイタリアに旅行に行ったアメリカ人”ということ。つまりテイストはアメリカですが、作っているのは、イタリアの職人たちなのです」
そういうイーサンは、実はシドニー近郊に生まれたオーストラリア人です。1980年生まれというから、意外と若いですね(36歳!)
「裁縫が得意だった母の影響で、小さい頃からファッションは好きでした。ミリタリーやカウボーイ、スポーツといった、いわゆる“コスチューム”に興味があったのです。昔のハリウッド映画にも夢中になりました。『ファニーフェイス(パリの恋人)』、ヒッチコックの『ロープ』、ハンフリー・ボガートの『カサブランカ』、『マルタの鷹』など、どれも素晴らしいです。ティーンエイジャーになると、兄と一緒にデニム、ミリタリー、ワークといったアイテムをたくさん買い込みました」
そして20歳の時初来日し、あのエヴィスジーンズに入社します。
「エヴィスでは、アメリカン・クラシックについて学びました。ヴィンテージ501についての知識やどうやってジーンズを穿くかなど、本当に勉強になりました」
うーむ、オーストラリアの青年が、日本において、アメリカ文化を学ぶ・・・いやはや、これこそ“グローバル化”ということでしょう。
いったんオーストラリアに戻った後、香港でジ・アーモリーの立ち上げに参加、ラルフ ローレンのシニア ディレクターも務めました。そして今年、満を持して、自らのショップを東京に立ち上げたというわけです。
国境と文化の壁を軽々と超えて、独自のスタイルを追求するイーサンから、
ますます目が離せません。