日本におけるオールデンの父
血脇孝昌さん
Monday, July 25th, 2016
血脇孝昌さん
株式会社 ラコタ代表取締役社長
text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa
オールデンの輸入元で知られる、ラコタの代表取締役社長、血脇孝昌さんです。オールデンは私も大好きな靴で、コードバン製のプレーントゥ、チャッカブーツ、Vチップ、ローファーなどを持っています。
オールデンは不思議な靴です。アメリカらしい無骨なデザインを特徴としているにもかかわらず、なぜかイタリアのエレガントなスーツにも合うのです。ジーンズからクラシコイタリアまでコーディネイトできる、万能の一足といえます。
「もともと実家が浅草で靴の材料を扱っていたので、若い頃からありとあらゆる靴を履いていました。その中で、一番好きだったのがオールデンだったのです。アメリカの工場へ見学に行って、本社の社長と意気投合し、日本における輸入を手がけることになりました」
その後、雑誌Beginなどに紹介されたのが功を奏し、オールデンは一躍大人気ブランドになります。
「それ以来、早いもので25年間が経ちました・・・」
ネイビーのジャケットは、イザイアのビスポーク。
「イザイアを扱っているエスディーアイの藤枝さんは友人なので、たまに服を作ってもらっています」
藤枝さんは以前このブログにご登場頂きましたが、「ラコタの血脇さんは、明治学院の同輩」と仰っていましたっけ。
ニットタイはエルメス。5年ほど前にリリースされた、インディゴのシリーズです。
シャツはナポリのサルヴァトーレ・ピッコロ。アダム エ ロペ ワイルドライフ テーラーで買いました。
チーフもエルメスで、実はコットン製のハンカチだとか。
「これはもともとハンカチなのですが、チーフとして使っています。夏場は麻かコットンをすることが多いですね」
ピンクゴールドのペンはモンブラン。
「2014年1月3日に還暦を迎えた記念として、自分へのプレゼントとして買いました」
驚いたことに、血脇さんの誕生日は、私の両親の誕生日と同じでした(私の父と母は、なんと同じ誕生日に生まれたのです)
メガネは999.9。遠近両用のレンズを入れているそうです。かけ心地が抜群だとか。
パンツはMP di マッシモ・ピオンボ。
時計は1974年型ロレックス・サブマリーナ。いわゆる“赤サブ”です。
「20歳になった時にたまたま行ったパリで買いました。当時は10万円ちょっとくらいだったかな」
やれやれ、昔はロレックスは、本当に安かったんですよね。現在ではたぶん、10倍以上の値段がついています。
ブレスレットはクロムハーツ。
「マットな質感が気に入って買いました」と。
ベルトは、ラコタのオリジナル・ブランド、K.T.ルイストン。コードバン製です。
そして靴はもちろんオールデン。ブラックのコードバン製、同社を代表するプレーントゥ、9901です。
「オールデンは、全部で170~180足くらい持っています。その中でも好きなのはプレーントゥです。やはり定番に帰っていきますね。ローファーとか、チャッカブーツとか、ウィングチップとか。アメリカ風のクラシックなモデルが好きなのです」
目立たないところでは、ソックスもラコタのオリジナル。日本を代表するファクトリー、グレンクライドとのコラボ商品で、「クッション性が違います」と。
「25年はあっという間でした。でも自分の一番好きなブランドに携われて、私は幸せ者でしたね。ここに並べられているオールデンを見ると、今でも『いい靴だなぁ』と思ってしまうのです。25年経っても、全然飽きが来ません」
そう言って目を細める彼の表情は、まるで子ども達を見守る父親のよう。血脇さんは、やはり靴への愛に溢れた人でした。