From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

おしゃれなカフェで、街まで変える
佐藤裕久さん

Tuesday, August 25th, 2015

佐藤裕久さん

バルニバービグループ代表取締役 CEO

interview kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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関西、関東を中心に、58店舗ものレストラン、カフェ、ショップを運営するバルニバービグループのトップ、佐藤裕久さんです。『1杯のカフェの力を信じますか?』、『日本一カフェで街を変える男』などの著作もあり、実際に人通りのなかった大阪・南船場が、ひときわお洒落な街に変貌したのは、佐藤さんが20年前に初めて作ったカフェによると言われています。

実はTHE RAKE JAPANのオフィスは東京・千駄ヶ谷にあるのですが、その千駄ヶ谷にも、バルニバービが経営する“グッドモーニングカフェ”があり、われわれの行きつけとなっています。特にオフィスを借りたばかりで、何もない状態だった頃は、毎晩のように出かけ、創刊の作戦を練ったものでした。間違いなく千駄ヶ谷で一番お洒落なカフェでありながら、とても居心地がいいのが、ついつい長居をしてしまう理由です。

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今日のスーツはオーダーで仕立てたもの。

「基本的に僕はトム フォードのスーツしか着ません。ラグビーをやっていましたので、胸板が厚いのですが、そういった自分の体型にも合うし、何よりシンプルで僕の年代の人たちは着やすいんじゃないかな。ただ、夏場に適したモデルが少ないので、これは夏用の薄手の生地を使って近いパターンで仕立ててもらいました」

 

シャツとタイとシューズも、トム フォード。

「このシャツは、一見白に見えますが、よく見るとごく薄いラベンダー色なのです。こういうものが売っているのが、トム フォードの魅力ですね。やはりラベンダー系のタイと、ライトグレイのスーツと合わせて、夏らしい爽やかな感じでまとめてみました」

 

メガネはグッチ。テンプルの部分にバンブーのモチーフが使われています。

ゴールドのカフリンクスは、パリのアンティーク店で見つけたもので、1950年代のサンローランです。

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「このカフリンクスは、コーヒー豆を象っているのです。カフェを仕事にしている私に、ぴったりだと思って買いました」

 

葉巻は佐藤さんのトレードマークで、月に100本は吸うそうです。手にしているのはボリバーというキューバ産。

「私はバーという空間が大好きなのです。リーガロイヤルの“リーチバー”や隅田川沿いのシガーバー“プリバード”など、特に『いいなぁ』と思います。しかし実は私は、お酒がまったく飲めないのです。そこで、バーでの時間を過ごすために、シガーは必需品なのです。ペリエだけでは、なんだか変ですからね」

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佐藤さんは“着倒れの街”と言われる京都のご出身で、小さい頃からお洒落にはこだわっていたそうです。

「私は最後のVAN世代です。小学校の頃から、ボタンダウンシャツを着て、フラノのジャケットを羽織り、パンツの尻ポケットから、ギンガムチェックのハンカチを何センチ覗かせるか、といったことばかり考えていました。小学生のくせに、VAN SHOPへ行って、貯めた小遣いで靴下やハンカチを買ったり、店員にノベルティのシールをねだったりしていましたね(笑)」

 

その後は、コムデギャルソンに「衝撃を受けた」り、ジョルジオ アルマーニに「やられたと思った」り。つまりは、佐藤さんの人生にとって、お洒落はずっと大切なものだったようです。そんな自分の感性を大切にする姿勢は、店作りにも生かされています。

 

「『どれだけ人が通行しているか』だとか、そういったことで店をオープンすることはありません。大切なことは、『本当に行きたい店かどうか』そして『どれだけ気持ちいいか』ということです」

 

今では、正社員とパートを合わせて、1000人弱の大所帯のボスとなった佐藤さんですが、そのスピリットは20年前とあまり変わっていないようです。

「気持ちいい店、自分が喜べ、お客さんが喜んでくれ、もちろん可愛いオネエちゃんに愛される、そんな店が結局長く続く良い店なんですよね」そして

「それを後進たちにも楽しんで、受け継いでもらえれば、言うことはない」とか。

 

このユルいけど、確固たる姿勢が、佐藤さんと彼が経営する店の最大の魅力でしょう。これからもランチで、ディナーで、お世話になりますね!