YASUTO KAMOSHITA with PAUL STUART
鴨志田氏がディレクターを務めるポール・スチュアートは魅力的なアウターの宝庫だ
February 2022
鴨志田氏が2019年にポール・スチュアートの日本のディレクターに就任してから、その世界は最高にクールだ。
今季のアウターも最高に素敵じゃないか。
photography tatsuya ozawa
text yuko fujita
アングロアメリカンの
エッセンスを注入
鴨志田氏がディレクターとなって手がけているポール・スチュアートのコレクションラインは、ブリティッシュカントリースタイルのアングロアメリカンなアレンジの仕方がよりソフィスティケイトされ、新たなファンを急速に増やしている。温かみのあるメランジグレイにダブルウインドウぺーンが入ったセットアップスーツは、伊カセンティーノ社のツイーディなナッピングウールを使用。タッターソールチェックのタブカラーシャツ、アニマルプリントのタイを合わせたコーディネイトは、まさに今のポール・スチュアートを象徴する装いだ。
「本来のカントリースタイルはもう少しグリーンっぽかったり 然の色合いになると思うのですが、色を抑えてまとめました」
脇に置かれたムートンコートにも注目したい。「軽くて暖かくてどんな格好にも合いますし、着るだけで気分が上がりますし、1着はもっておきたいアイテムですよね。ポール・スチュアートのNYの本店には、ムートンコートがズラリと並んでいるんです」。
ジャケット¥132,000、トラウザーズ¥55,000、シャツ¥24,200、タイ¥16,500、チーフ 参考商品、ブーツ¥91,300、ソファに置かれたムートンコート¥385,000 all by Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763)
左 インバーティア社が手がけた英国製のダッフルコートは、鴨志田氏らしいグレージュの色合いが美しい。アーガイルニットにジョッパーズシルエットのサルエルトラウザーズという英国カントリーの組み合わせを、鴨志田氏のフィルターで 事に洗練させたスタイルだ。コート¥198,000、ニット¥59,400、トラウザーズ¥36,300、ブーツ¥88,000 all by Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763)
中:ポール・スチュアートでは今シーズン久々の登場となったヴァルスタータイプのショートブルゾン。「リブを少し誇張してややバルキーにさせ、梳毛のシャークスキンにしたことで、大人っぽい1着に仕上がりました。それと、久々にドニゴールツイードのボトムスが新鮮に映ります。朴訥としたその雰囲気が、今は逆カッコ良く見える時代なのかなと。色をトーン・オン・トーンでまとめると、洗練されたスタイリングになります」。ブルゾン¥99,000、トラウザーズ¥36,300、ストール¥19,800 all by Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763)
右:アメリカのポール・スチュアートで50年以上にわたってCEOを務めたクリフォード・グロット氏が開発したクリフォードコート。「1950年代からずっとあったロングセラーのコートですが、NYでも日本でもここ数年は作られていなかったんです。自分は古着で所有していて、それを復刻させたものです。写真中央のブルゾンと同素材で、こちらも大人にふさわしいラップコートに仕上がっています」。コート¥165,000、スーツ¥165,000、シャツ¥24,200、タイ¥16,500 all by Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763)
差し色のストールは無造作に
NYの本店でも長らく扱っていたヴァルスターのデザインを、鴨志田氏の感性で再構築。素材を梳毛のシャークスキンにしたり、リブを長くしたことで、とても洗練された1枚に。ドニゴールツイードのトラウザーズと合わせてグレイでまとめた装いに、アニマルモチーフのストールの差し色が映える。ここでもさりげなく結び目をずらし、無造作感を出している。
ベルトの結びは横に流す
ラグランスリーブのラップコートは、コンフォータブルが気分な今日では1サイズ大きめをゆったり羽織るのが肩のラインがきれいに出るのでオススメだ。特にウエストをベルトでギュッと絞ると、美しいドレープが強調されて、グラマラスに、エレガントに決まる。「ベルトを前で結ぶ際は、縦にではなく、横に流れるように絞るのが好きですね」と鴨志田氏。