Interview - WILHELM SCHMID / A.LANGE & SÖHNE CEO

ドイツ古豪を成長させる手腕

May 2020

 ドイツ人はユーモアが少ないことで有名です。しかし、多くの人が好む生真面目な姿勢を持ち合わせており、それが私たちの時計にも表れています。

 

 ひとりの人間が会社を変えるとは思いません。チームと私が心がけているのは、現状に満足しないこと、よりグローバルになること、より多くの人々にとって有意義な存在となることです。

 

 

ヴィルヘルム・シュミット氏が熱い思いを抱くクラシックカー、1954年式フレイザーナッシュ・ル・マン・クーペ。

 

 

 私は社員たちを心から信じています。私ひとりで事業を切り盛りすることはできません。最高の結果を得るために、チームを頼りにしています。ですが、折に触れて物事の本質を究明したいとは思っています。うまくいっていないことに気づいたら、深く掘り下げて原因を見極めるよう努めるのです。

 

 理由は単純で、困難な状況の解決方法を編み出すには、その状況を理解する必要があるからです。私は仕切りたがり屋ではありませんし、社員の業務を一から十まで細かく管理したいとも思いません。そういったことは個人的に好きではありませんから。それに私は、非常に有能な素晴らしい社員たちに恵まれていると思っています。

 

 基本的に、収益性を伴う管理された成長が大切だと考えています。企業が健全であることが大前提ですが、状態を把握するうえで不可欠な指標となるのが、その企業の得ている利益だと思います。A.ランゲ&ゾーネは、自社の基本的価値観を実践し、決して立ち止まらないことで成長と利益を実現しています。

 

 

整備中のシュミット氏。

 

 

 私がクルマ好きでなくても、当社はコンクール・オブ・エレガンスのようなことをサポートしていただろうかと考えると、きっとしていたと思うのです。私は経験上、クルマの愛好家と時計愛好家の間に多くの共通点があることを知っています。

 

 究極のクラフツマンシップ、技術革新、比類なき伝統が、両者の重要な価値基準です。だからこそ、このA.ランゲ&ゾーネとコンクール・オブ・エレガンスの協力関係はピタリと噛み合うのです。

 

 

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