WHY YOU SHOULD FAVOUR LINEN
世界中でリネンが好まれる理由
June 2020
古代エジプトではリネンは富の象徴であり、ミイラはリネン布に包まれていた。
そしてこの春夏、リネンは再び大人気となり、ウールやコットン以上の地位を得ようとしている。
text joshua bozin
1929年の京都が舞台のハリウッド映画『SAYURI』(2005年)の中で渡辺謙演じる“会長”が披露したリネンスーツ姿は、当時の紳士たちにとって、リネンが春夏におけるマストアイテムだったことをうかがわせる。
リネンはユニークな自然素材だ。その軽快さから、スタイリッシュな夏の装いにぴったりだ。過去数年間において、例えばルビナッチ、ドレイクス、アンダーソン&シェパードなどのブランドのおかげで、リネンは普及し、愛好家のワードローブに追加されてきた。今やリネンは洒落者にとって、春夏の中心的素材になりつつある。アルスターコートや分厚いウールのニットを片付けるときは、ワードローブを考え直し、リネンベースのアイテムを追加しよう。
以下、リネンのアイテムの利点をあげてみた。
通気性~春夏でもレイヤードできる
リネンは非常に通気性が高いことが、暖かい時期に好まれる理由だ。この特徴は、その織りの性質に起因している。太い繊維を備えた丈夫な自然素材であるため、昔ながらの技術による、目の粗い織り方が可能だ。
その結果、他のほとんどの生地よりもはるかに通気性の高い衣服ができる。そして、通気性が高くなると、春夏でもレイヤードの着こなしが可能となる。例えば、リネンのジャケットは、春夏でもちょっとしたものの上に羽織るのにぴったりだ。
現代では、リネンはアウターからインナーまで、幅広いアイテムにおいて展開され、気軽に袖を通せる機会が増えた。しかし、紳士にとってのステープルであることは変わらない。独特の風合いとシワが着こなしに深みをもたらす。
順応性~こなれた印象に
リネンは、何十年にもわたりメンズウェア界で愛されてきた。何度も見直されているのには理由がある。順応性が高いのだ。シチュエーションやオケージョンにかかわらず、リネンはあなたが望む着こなしに順応する。仕事のために“スマートな”装いをしなければならない場合でも、フルスーツは避けたいときがあるものだ。
そういった場合、上質のスマートカジュアル・リネンシャツに、コットン・トラウザーズを合わせ、リネンウールのスポーツ・ジャケットを羽織れば完璧だ。または、暖かすぎず、寒すぎないミドルレイヤーとしてもいい。この場合、薄手のリネン製シャツジャケットよりも魅力的なものはない。