VITALE BARBERIS CANONICO × DRAKE’S 01
英伊のトレンドセッターが
手を組んだ理由
May 2020
世界の服飾トレンドを牽引する2ブランドが手がけたサプライジングなコラボコレクション。
その裏側を両社のキーマンが語る。
text hiromitsu kosone photography tomoyuki tsuruta
(左)Francesco Barberis Canonico/フランチェスコ・バルベリス・カノニコ
ヴィターレ バルベリス カノニコ クリエイティブディレクター
2008年に現職へ就任し、著名テーラーとのコラボなどさまざまな施策でVBCを大躍進させる。イギリスで教育を受けていることもあり、生地作りにも氏の英国趣味が反映されている。この日はお気に入りのドレイクスのタイでイベントに参席。あえてブランドタグをカメラに見せて、茶目っ気たっぷりに撮影に応じてくれた。
(右)Michael Hill/マイケル・ヒル
ドレイクス クリエイティブディレクター
ドレイクスはもともとマイケル・ドレイクとチャールズ・ヒルのふたりが始めたネックウェアメーカーを起源とするが、そのチャールズ・ヒルの息子にあたるのがマイケル・ヒル。2010年にドレイクスの舵取り役となる。伝統だけにとらわれないグローバルな感性を持ち、世界のバイヤーが絶賛するコレクションを毎季発表。
世界中のバイヤーが集まるピッティ会場で、“今、素晴らしいと思うブランドは?”と尋ねると、ほとんどの場合ドレイクスの名を耳にするだろう。そして、質問を“生地ブランド”に変えて尋ねれば、答えはヴィターレ バルベリス カノニコとなるはずだ。
そんな両社が去る1月にコラボレーション・プロジェクトを発表したとき、世界が注目したことはいうまでもない。そのグローバル・ローンチ・イベントがミラノで盛大に行われた際、両ブランドの首脳にコラボの裏側を訊くことができた。
―コラボレーションのきっかけは?
フランチェスコ ピッティなどの国際的なフェアで何度か顔を合わせるなかで、私から申し出ました。ドレイクスは私が長らく憧れ続けてきたブランドですから、今回のコラボが実現できたことはひときわ感慨深いものとなりましたね。
マイケル そう言っていただけて嬉しいですね。VBCはイタリア有数の老舗でありながら、現在において最も革新的なブランドです。今回のコラボは、ビエラのVBC本社を訪れて別注生地を企画することから始まりました。
フランチェスコ VBCは毎年、約5000種類もの生地を作っていますから、そのすべてをお見せするつもりでいたのですが(笑)、マイケルはすぐさま3つの生地を選んで、“これをベースにこうモディファイしたい”とリクエストしてくれました。彼がはじめから、非常にクリアなビジョンを持っていたことに驚かされましたね。
今回のコラボコレクション用に製作されたダブルネームのタグ。通常の別注に表記される“FOR”ではなく、“WITH”と書かれているあたりに特別を感じさせる。