Celebrate 70 years of Porsche
Toshiyuki Shimegi Special Interview
ポルシェ70周年記念 スペシャルインタビュー
名門のアイデンティティと未来
May 2018
スポーツカーの代名詞、ポルシェが70周年を迎えた。
そこで、ポルシェ ジャパン社長、七五三木敏幸氏に、
名門のアイデンティティと未来をうかがった。
text tatsuya kushima photography yoshiaki tsutsui
七五三木敏幸
ポルシェ ジャパン 代表取締役 社長
1958年、群馬県生まれ。一橋大卒業後、群馬銀行に入行して融資や窓口などを担当。クルマ好きが高じて89年にメルセデス・ベンツ日本に転職、自動車業界でのキャリアをスタートした。マーケティングなどを経験し、クライスラー日本社長を経て2014年2月から現職。
――今年はポルシェ70周年おめでとうございます。そしてお忙しいところありがとうございます。さっそくですが、70年生き続けてきたポルシェのアイデンティティからお話いただけますか?
「はい。この70周年のロゴに注目していただきたい。ここに1948年から2018年と数字が入っていますが、これがすべてを表しています。ポルシェにとっての70年、ポルシェのお客様にとっての70年をともに振り返ります。5月から国内でもイベントがはじまりますし、ドイツ本社でも70年という“時間”に焦点を当てたムービーを制作しています。お客様がポルシェのスポーツカーと共に過ごした時間、それぞれの時間がアイデンティティと言えるでしょう。
ですが、注目すべきは次の71年目、つまり2019年からです。これまでの70年間、ポルシェは決して多くの台数を世に送り出してはいません。ですが、逸話はどのカーメーカーよりも多いと思います。『ポルシェってこうだよね』とか、『こんなブランドだよね』といった通説ですね。でもそれにとどまらないのがポルシェなのです」
――今年が大きな節目だと。
「そうです。後から振り返るときっと2018年が大きな転換点だったと思うことでしょう。それくらいポルシェはいまチェレンジしています。皆さんの憧れだったり郷愁だったりするブランドを自分たちの手で変えようとしています」
――すごいチャレンジですね。70周年を大々的に祝おうというのはいつ決まったのですか?
「具体的な話は昨年ドイツ本社から聞きました。ですが、それまでに入念な計画がなされていたと思います。ポルシェという会社はとても慎重に物事を進める社風なのです。電動化もそうです。プラグインハイブリッドもじつはその先の電動化を見据えて進められていたと考えられます。じつに長いスパンですよね。2013年のプラグインハイブリッドが2015年のコンセプトカーミッションEに繋がるのです」