THE FOUR TROUSER STYLES YOU NEED FOR WINTER
この冬に必要な4つのトラウザーズ・スタイル
October 2021
10月に入ると、いよいよ気温が下がり始める。ワードローブに厚手のトラウザーズを用意したい。
必須とされる、4つの基本スタイルを見てみよう。
by FREDDIE ANDERSON
ケーリー・グラントとランドルフ・スコット。
レッド、ブラウン、イエロー……紅葉した葉が落ち、風に吹かれて地面を舞う。この無数の色は、秋の到来だけでなく、トラウザーズの素材をフランネルやコーデュロイ、ウール、ツイードなどにシフトすべきことを示している。
トラウザーズのデザインとして覚えておくべき、代表的な4つのスタイルを紹介しよう。
FLAT-FRONTED<フラットフロント>
フロントにダーツのないフラットフロント構造は、シルエットをより滑らかでストレートなものにする。『007 ゴールドフィンガー』(1964年)でショーン・コネリーがグレンチェックとメランジグレイのスーツを着ていた時のように、腰回りをアピールすることができる。スリムな男性には最適だが、下腹の出た恰幅のいい男性にはあまり向いていない。
サイド・ポケットのほか、フロントLポケットやベルトレスでサイドストラップで留めるようなタイプもある。一般的にプリーツ入りよりスポーティな意匠とされ、コーデュロイやフランネルなどの素材と相性がいい。
しかしながら、トラウザーズのプリーツのあるなしは、ドレス度よりもトレンドに左右されることが多い。例えば、90年代中頃から2010年代中頃くらいまでは、ドレス業界ではノープリーツがポピュラーであった。
SINGLE-PLEATS<シングルプリーツ>
シングルプリーツのトラウザーズは、時代遅れとされたこともあるが、近年は若い人たちの間でもきちんとしたディテールを持つエレガントな仕立てが好まれるようになってきた。
プリーツには内側に倒したインプリーツと外側に倒したアウトプリーツがある。クラシックなのは前者で、スポーティなのは後者とされる。英国製は前者、イタリア製は後者が多い。
ボタンフロントの場合、インプリーツのほうが留めやすいかもしれない。アウトプリーツは余分な布が外へ流れるので、影が少なくすっきりとした印象となる。
DOUBLE-PLEATS<ダブルプリーツ>
クラシックなスタイルを好むサルトリアの信奉者たちにとっては、ダブルプリーツのトラウザーズこそ基本といえる。ポケットとフライの間にあるタックは、より多くのスペースと快適さを生み出す。
1930年代のハリウッドで、ゲイリー・クーパーやジョージ・ラフトが着用していたワイドレッグのダブルプリーツパンツを思い出してみてほしい。テーラーでスーツをオーダーした場合、トラウザーズのチョイスとしては、まずこのタイプがあがるだろう。
既製服としては長らく人気がなかったが、近年再び注目を集め、今では多くのトラウザーズ・メーカーの主力製品となっている。ベルトレスでサイドアジャスターやブレイシズで吊り下げるタイプも多い。
GURKHA<グルカ>
テクニカルでサルトリアル、そして実用的なグルカトラウザーズは、近年ミニルネッサンスを迎えており、その勢いはとどまるところを知らない。その特徴は深い股上とベルトストラップによるウエスト留め、ダブルプリーツなどだ。シルエットはワイドかつすっきりとしている。
グルカの名前は、ネパールにかつてあったゴルカ王国に由来している。1814年に6倍の兵力を持つ英国軍に対抗したグルカ軍は、最終的には負けたものの根強い抗戦を続けた。その結果、英国軍の中にグルカ兵の部隊が正式に作られ、制服としてグルカショーツが採用されたのだ。
ナポリのルビナッチを始め、多くのブランドがグルカトラウザーズを発表しており、今ではあらゆるシーズンに対応できるバリエーションが出回っている。