THE FARM AT LE BRASSUS

ブランパンのマニュファクチュールを訪ねて – 柏屋総料理長・松尾英明氏

July 2024

ミシュラン三つ星レストラン「柏屋」総料理長、松尾英明氏がブランパンのル・ブラッシュにあるマニュファクチュールを訪れた。

 

 

Hideaki Matsuo/松尾 英明

1962年、大阪府生まれ。1992年、「柏屋」料理長に就任。2009年「ミシュランガイド京都・大阪 2010」で二つ星を獲得。翌年以後、14年連続で三つ星を獲得。また、2012年以降はブランパンもパートナーシップを結ぶ非営利組織ルレ・エ・シャトーに加盟。地域の活性化や持続可能な食への取り組みにも活動の幅を広げる。

 

 

 

 ミシュランガイドのグローバルパートナーや、著名な料理コンテストの公式タイムキーパーを務め、ブランドの広報誌『Lettres du Brassus 』では世界屈指のレストランを紹介するなど、美食の世界と深く関わってきたブランパン。そのきっかけは、1986年に“ワールド・ベスト・シェフ”を受賞したフレディ・ジラルデ氏に時計を贈呈したこと。それ以来、世界のスターシェフとのコラボレーションを果たし、彼らを支援しつつ、職人としての価値観を共有している。

 

 2022年12月、ブランパンは、2010年以降連続してミシュランの三つ星を獲得し続けている「柏屋」総料理長、松尾英明氏をブランドフレンドの輪に迎え入れた。松尾氏は、「革新こそ伝統」をモットーに掲げるブランパンと同様、日本料理の伝統を大切に守りつつも絶えず新たな創意を重ねてきた。現在は料理の技術指導だけではなく、食文化の継承や地域の活性化、持続可能な食への取り組みまで、幅広く尽力している人物だ。

 

 

1891年、ルイ-エリゼ・ピゲが、ジュウ渓谷に位置するル・ブラッシュの丘に建つ工場を購入。以後、ブランパンはここを「ファーム」と名付けて複雑なムーブメントの開発・製造に特化してきた。

 

 

 

 そんな松尾氏が、ル・ブラッシュにあるマニュファクチュール「ファーム」を見学した。グランド・コンプリケーションや美しいエナメル装飾が施された時計が生まれる過程と職人たちの技を堪能。細部にわたる心配りや、持ち主でさえ見えない内部にまで丁寧な手仕事を施していることを知った松尾氏は、職人として顧客が見ていないところで周到な準備や陰の努力を重ねる、料理人との共通点を見いだした。

 

「お客様が目にすることがないからといってあまり意味がないのではなくて、人が傾ける思いというものは確かに伝わっていくと思うんです。ブランパンの時計の細部にわたる心配りの深さは、この時計を手にするお客様に何か大きな感動として伝わるのだろうと思い共感しました」

 

 

マニュファクチュールでは、熟練の時計職人たちが「ヴィルレ」コレクションのグランド・コンプリケーションを手がけるほか、エナメル装飾などを担うアトリエが設置されている。

 

 

職人の技術に触れる松尾氏。

 

 

 

「ファーム」から生まれるヴィルレの最新作

 

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