BLANCPAIN “Air Command”

新アイコン誕生の予感

June 2022

photography shoichi kondo

 

 

パイロットにとって重要な、フライバッククロノグラフとカウントダウン式回転ベゼルを搭載。また、1950年代にみられたボックスタイプの風防を受け継ぐ。一方、時計産業ではほとんど使用されていないグレード23という最高級チタン素材の採用や、シリコン製ひげゼンマイを用いた自社製キャリバーF388Bの搭載など、現代の先端技術を融合させた点にも注目だ。「エアコマンド」自動巻き、42.5mm。Tiケース(左)¥2,167,000、18KRGケース(右)¥3,421,000 both by Blancpain(ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233)

 

 

 

 ブランパンといえば、ダイバーズウォッチの定義を確立した名作「フィフティ ファゾムス」や、クラシカルなドレスウォッチ「ヴィルレ」といったコレクションを思い浮かべる方が多いかもしれない。しかし実は、1950年代に軍用のパイロットウォッチを製作していたことがある。「エアコマンド」と名づけられたこのフライバッククロノグラフは、12本のみ試作され、アメリカでブランパンを販売していたアレン・V・トルネクを通じて米空軍のパイロットに提供されたという。最終的に何本製造されたかは明らかになっていないが、かなり少数であったことは間違いなく、その希少性によりオークションでは高額で落札されている。

 

 2019年、ブランパンは「エアコマンド」を、いずれの既存コレクションにも属さないスペシャルタイムピースとして500本限定で蘇らせた。その意匠はオリジナルをほぼ忠実に再現していたため、愛好家たちに大絶賛され、あっという間に完売となった。そして今年、「エアコマンド」はモダンなディープブルーのダイヤルと同色のカーフスキンストラップを携え、ついに通常生産モデルとして登場したのだ。新作は、18Kレッドゴールド製ケース、またはグレード23チタン製ケースの2バリエーション展開。ヴィンテージな顔立ちはそのままに、現代人に寄り添う機能的なモデルとなっている。

 

 ブランパンは、「エアコマンド」をコレクションとして拡大させていく方針を示しており、ブランドを象徴する新たな主軸のひとつに加えられる可能性がある。今後の動きに注目したいところだ。