The Echo Table at SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE

【次回は2024春】舞台は南紀白浜。食通が集う年2回のイベント「The Echo Table」とは

November 2023

生まれ変わった老舗ホテル「SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE」を舞台に開催される、豪華ゲストシェフを招いたコラボレーションイベントが話題だ。その名も「The Echo Table(ジ・エコー・テーブル)」。本記事ではこの9月に開催された第二回の様子をレポートしたい。

 

 

text yukina tokida

 

 

 

 

 東京から南紀白浜まで行くのに、どのくらいかかるかパッとイメージできるだろうか。筆者はこれまで南紀白浜を訪れたことがなかったため、漠然と「ちょっと遠そうだな」と思っていたのだが、実は羽田空港から飛行機でわずか1時間弱でアクセスできる。

 

 しかも驚くべきことに、街にはハワイアンなペインティングで彩られた建物や白浜のビーチがあり、まるでどこか異国のリゾート地に来たような気分にすらさせてくれる。アメリカのホノルル市と友好姉妹浜提携をしているため、ハワイに関連するイベントも定期的に開催されているほどだ。

 

 その一方で、時折漂ってくる硫黄の香りが、ここが関西屈指の温泉地であることを思い出させてくれるだろう。多くのサイクリストを魅了するサイクリングロードを擁しているだけでなく、パンダで有名なアドベンチャーワールドがあるのもこの地である。

 

 この南紀白浜で最近話題になっているのが、空港からクルマでおよそ10分の場所に建つホテル「SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE」だ。今年4月に大幅リニューアルを果たし、既存の広々とした温泉施設に加え、海を望むインフィニティプールやサウナハウス、さらには最新設備を備えたジムも新設し、ウェルビーイングを徹底追求した館へと進化を遂げたのだ。館内に誰でも自由に無料で使える足湯やラウンジを設けたことにより、地元の人々のコミュニティスペースとしても大切な役割を担っている。

 

 

上2点:「SAUNA HOUSE on」にはオーシャンビューの水風呂や露天風呂も完備。室内にワインセラーを備えているだけでなく、テラス(写真上)でバーベキューをすることもできる。最大8名で利用可能。

 

 

 

 そんな話題の同ホテルを舞台に、大規模リニューアル完了と時を同じく開始したイベントこそが、今回ご紹介したい「The Echo Table(ジ・エコー・テーブル)」だ。“五感を使って白浜を楽しんでほしい”という思いが込められたこのイベントの目玉は、異なるジャンルで活躍するふたりのシェフによるスペシャルコラボレーション。この地で育まれた旬の食材を用いた料理やデザート、そしてその一皿一皿にマッチした音楽やドリンクなど、すべてがこの2日間のためだけに作り上げられる。

 

 そして第二弾では、中国料理の巨匠である脇屋シェフと日本を代表するパティシエ鎧塚氏のコラボが実現。日本全国からゲストが集まった。 来春を目処に第三弾が予定されているが詳細は未定のため、本記事では第二弾の様子をレポートしたい。今回のテーマは『食養薬膳』。同テーマの元、料理、サウンド、アートが一体となり、他のどこでも実現できない唯一無二の一夜となった。

 

 

インフィニティプールの先に広がる水平線へと太陽が沈んでいく。

 

 

 

 イベント当日は9月下旬にもかかわらず夏の陽気だったこともあり、16時半から始まったアペリティフでサーブされたのは、氷を入れてカクテルのように楽しむ「ポメリー ロワイヤル ブルー・スカイ」。しっかり冷えた少し甘口のシャンパーニュが、気分を一気にリフレッシュしてくれた。

 

 アペリティフには、脇屋シェフ特製の3種フィンガーフードも登場。干しエビや金華ハム、エシャロットなどを贅沢に合わせた特製のXO醬を使用した「干し貝柱いっぱいXO醬ポテト」に、和歌山県産の無花果に豚肉と豆腐を合わせた「塩豚肉と白胡麻豆腐」、低温調理による柔らかい「鴨のロースト」とシェフの腕が光るラインナップに、ディナーへの期待は高まるばかり。

 

 

 

 

 白を基調としたメイン会場を彩っていたのは、フラワーショップ「bois de gui」によるアレンジメント。和歌山で育った唐辛子やハーブなどをはじめとする野菜や香草をはじめ、中華料理を表現したユニークな装飾が施されていた。今後も会場の装飾は同ショップが手がけるというから、ぜひ注目してみてほしい。

 

 会場で流れるBGMも、一皿一皿に合わせてペアリングされるというこだわりよう。南紀白浜で収集した海や風、水や鳥の囀りの環境音と、生演奏で奏でるやさしいメロディーのコンビネーションが、まるでこの地に抱かれているような心地よさを与えてくれた。

 

 

 

 

 乾杯の一杯は、料理とのマリアージュを考えて作られた「ポメリー アパナージュ ブラン・ド・ブラン」。果実味、ボリューム感、そしてミネラル感をバランスよく兼ね備えた、素晴らしいシャンパーニュだった。

 

 この日のハイライトであるディナーは、脇屋シェフ渾身の6品と鎧塚シェフによる特製デザート1品という構成。和歌山県産の熊野牛や卵、無花果や巨峰を用いた贅沢なフルコースとなった。

 

 会が始まると、料理中の脇屋シェフに代わって鎧塚シェフが一皿ずつ解説してくれるというコラボレーションイベントならではの演出も。普段知ることのできない、ふたりの素顔を垣間見られたような気がして、コラボイベントの醍醐味を存分に感じられた。

 

 

脇屋シェフのスペシャリティ「上海風フカヒレの煮込み」。1週間かけてじっくり戻したヨシキリザメのフカヒレを鳥ベースのスープでじっくり煮込んだもの。

 

 

豚骨のスープの中でじっくりと煮込んだフカヒレを温かいご飯の上に載せた「コラーゲンたっぷりフカヒレのお月見ご飯」。3時間醤油に漬け込んだ卵黄を添えて。

 

 

 

 パンにフカヒレを贅沢に挟んだフカヒレサンドや松茸とスッポンのスープをはじめ、シェフの代名詞とも言えるフカヒレ煮込みや中秋の名月に相応しい一品「コラーゲンたっぷりフカヒレのお月見ご飯」も登場し、食べれば食べるほど肌がプルプルになるような、そしてパワーがみなぎるようなメニューにゲストもみな歓喜していた。

 

 和歌山県産の無花果と巨峰を使用したデザート「無花果の赤ワイン煮 巨峰添え」は、鎧塚氏自身によるライブパフォーマンスとともに提供されるというサプライズも。糸のように軽やかで繊細な飴細工を作り上げる華麗な手捌きと、シェフの個性が光る巧みな話術が相まって会場の盛り上がりは最高潮に。しかも鎧塚シェフが作り上げた飴を脇屋シェフが丸く成形するというこの上なく贅沢な展開に、盛大な拍手と笑顔に包まれた会となった。

 

 

フォークを巧みに使い極細の糸のような飴を作り上げていく鎧塚シェフ(手前)と飴を丸く成形する脇屋シェフ(奥)。

 

 

「無花果の赤ワイン煮 巨峰添え」。ベースにカスタードクリーム、その上にカシス、ブドウ、赤ワインで煮込んだ無花果、蜂蜜のパルフェアイス、さらに赤ワインに漬けた無花果、そして飴細工を添えて完成。

 

 

 

 興奮冷めやらぬディナーの後は、バーでのカクテルタイム。12月に自身の店をオープン予定のバーテンダー小林紀(こばやし おさむ)氏がこの日のために考案した、ボタニカルとアルコールがともに響きあうようなマリアージュをテーマに考えられたオリジナルカクテルが振舞われた。

 

 なかでも、ジャパニーズクラフトジン「Roku」に、日本酒「紀土」のスパークリングと和歌山県産の柚子を合わせた「THE ECHOS」は、ゆずの香りの華やかさや酸味、ジンのキレと微かな甘み、そして隠し味として使用した日本海海水「感味」の塩味も合わさり、見事なバランスを生み出していた。

 

 

京都を拠点に活躍するバーテンダーの小林紀(こばやし おさむ)氏。

 

 

 

 気になる第三弾について、現段階で確定しているゲストシェフは、肉割烹「肉屋田中 銀座」の肉師たなかさとる氏。他の詳細情報は未定だが、今後随時公式インスタグラムで発表されるというからぜひチェックしてみてほしい。

 

 

SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE

和歌山県西牟婁郡白浜町1821

TEL. 0739-43-1000

www.keyterrace.co.jp/

<本連載の過去記事は以下より>

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