The Dreamy World of Queen Elizabeth Vol.2

妙趣に満ちたクイーン・エリザベスの世界

March 2023

text yuko fujita

 

 

 僕は今、全長294mある巨大なクイーン・エリザベスの中心、グランド・ロビーに立っている。3フロアの吹き抜けになっていて、正面には初代クイーン・エリザベスの巨大な寄木細工が飾られている。

 

 

グランド・ロビー。クイーン・エリザベスが描かれた正面の寄木細工は故リザベス2世の甥であるデイビッド・リンリー(第2代スノードン伯爵)の作品。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

 僕はもう、別世界にいるのだ。

 

 美しさに息を呑む。ここは本当に船内なのだろうか? ここでは、これから一体、どんな物語が始まるのだろう? もういい歳だというのに、ワクワクが止まらないではないか!

 

 僕が乗船しているクイーン・エリザベスは2010年に就航した3代目で、1930年代に建造され1940年にデビューした初代クイーン・エリザベスをオマージュした内装だという。アール・デコ調の雰囲気は、豪華絢爛というよりクラシックの妙趣に満ちた感じとでもいうべきか。長らく築いてきたヒストリーがないと、今日では決して生まれ得ない内装だな、などと考えながら、英国の名門キュナードの客船に乗船していることを改めて実感した。

 

 

グランド・ロビーを正面から。ワクワクを大いに掻き立ててくれる素晴らしい空間だ。乗船前、あれこれと想像を膨らませていたが、船内に入ってみると、まるで想像し得ない世界が待っていた。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

客室は4カテゴリー。

それぞれの専用ダイニングが用意されている

 

 こうなると、客室への期待もぐんぐん高まっていく。

 

 クイーン・エリザベスの客室は4つにカテゴライズされており、英国の伝統に則って、それぞれのカテゴリーに専用のメイン・ダイニングが設けられている。

 

 上のカテゴリーから紹介すると、メイン・ダイニング「クイーンズ・グリル」「プリンセス・グリル」を利用する客室クラスは「グリルクラス」と呼ばれ、「クイーンズ・グリル」を利用する客室はグランド スイート(約128㎡)、マスター スイート(約102㎡)、ペントハウス(約47㎡)、クイーンズ スイート(約45㎡)の4つがあり、それぞれに専属のバトラーがつく。「プリンセス・グリル」を利用する客室はプリンセス スイート(約31㎡、バルコニー付き)となっている。

 

 

「グランド スイート」のリビング。画像提供:キュナード・ライン

 

 

「グランド スイート」のベッドルーム。画像提供:キュナード・ライン

 

 

「マスター スイート」のリビング。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

 これらグリルクラスの宿泊ゲスト専用のレストランやラウンジが最上階のデッキ11&12にあり、クイーン・エリザベスでの旅を、さらに特別なものにしてくれる。

 

 

グリルクラスのゲストのみが利用できる「クイーンズ・グリル」。画像提供:キュナード・ライン

 

 

「クイーンズ・グリル」の隣にあるグリルクラスのゲスト専用のレストラン「プリンセス・グリル」。画像提供:キュナード・ライン

 

 

「ザ・グリルズ・テラス」も、グリルクラスのゲストのみが利用可能。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

 ちなみにクイーン・エリザベスをはじめとするキュナードのコーススケジュールが発表されると、多くの場合は上のクラスから順にすぐに埋まっていくという。

 

 またスタンダードな客室として、「ブリタニア・クラブ」「ブリタニア」というカテゴリがあり、それぞれメイン・ダイニングは「ブリタニア・クラブ」「ブリタニア・レストラン」となっている。

 

 

「ブリタニア・クラブ」を利用する客室。バルコニーも付いていて、ルームサービスでの朝食も可能だ。画像提供:キュナード・ライン

 

 

デッキ9にある「リド・レストラン」では、素晴らしいビュッフェ形式の朝食をとることができる。画像提供:キュナード・ライン

 

 

ダイニング「ブリタニア・クラブ」もまた、抜きんでた優雅さだ。画像提供:キュナード・ライン

 

 

そして、「ブリタニア・レストラン」。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

 専用ダイニングでの食事はクルーズ代金に含まれている(ワインなどアルコール、ドリンク類は別料金)。チップはブリタニアクラスのゲストは1日あたりUS$ 11.5ドル、グリルクラスのゲストは US$ 13.5ドルが船内会計に加算される仕組みだ。

 

 カフェやバー、パブも充実している。たくさんの種類の紅茶を揃えている「カフェ・カリンシア」、英国スタイルのパブ「ゴールデン・ライオン」、パノラマ展望のなかでドリンクを楽しめる「コモドアー・クラブ」、ワイン、ジンやスピリッツなどを楽しめる「ミッドシップス・バー」、シガー・ラウンジの「チャーチルズ」などがある。

 

 

たくさんの種類のビールほか、フィッシュ&チップスなどの料理も楽しめるパブ「ゴールデン・ライオン」。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

 船内での過ごし方だが、スパ、プール、フィットネス、ライブラリー、カードルーム、カジノ、シアターなど、エンターテインメント&アクティビティ系の施設が大充実している。さまざまなレッスンプログラム、コンサートや生演奏などもあり、楽しみたいことが山積みだ。

 

 

リド・プール。太陽の光を浴びながらのんびり寝そべって過ごすのなんて、もう最高! 奥にはシドニーのハーバーブリッジ。画像提供:キュナード・ライン

 

 

クリケットコートがあるのも、英国の客船ならではだ。パドルテニスや卓球なども楽しめる。画像提供:キュナード・ライン

 

 

ライブラリー。持参した本を帰りに寄付すると、蔵書に加わる。日本語の蔵書コーナーもあり。ここでゆっくり読書するのも贅沢な時間の過ごし方だ。画像提供:キュナード・ライン

 

 

スパでは広大な海を望みながらカップルセラピーも楽しめる。画像提供:キュナード・ライン

 

 

 

 今回はざっくりとクイーン・エリザベスの船内をご紹介したが、僕はクイーン・エリザベスで実際に何をして楽しみ、どんな食事をし、どんな服装で過ごしたのか、次回はそのへんについて触れてみたい。

 

 

Part3につづく