THE CRAFTMANSHIP OF ELEGANCE 01

生地のプロフェッショナルたちが語る、いま人気の生地の潮流とは

June 2023

text yuko fujita
photography setsuo sugiyama

 スーパー160’s、4プライ、綾織り、個人的に好みのスペックです(笑)。もともと3プライから6プライまで、弊社では20年ほど前のエドウィン・ウッドハウスでよく扱っていたんです。最近だとVBCで6プライがありますが、ただ基本的にどれも平織りなんですよね。ですので綾織りの4プライには触れる機会がなかったのですが、いい生地ですね!

小澁 最近って、ここまで綾目が立った生地ってあまりないですものね。

 どのブランドも無地の需要が圧倒的に高くて、それか超ファンシーな生地という、二極化の時代ですから。

鈴木 いい生地って柄がいらないんでしょうね。柄とケンカしちゃうんですよ、きっと。無地でもよさが出るものこそいい生地なんです(笑)。

小澁 確かに、いい生地は地味ですよね!あと、ジョン フォスターの「ウルトラファインスーパー200’s」はいちどお客様に仕立ててみたい生地です。数値のわりにマットな質感ですが、かなりデリケートな印象で、聞いたところによると昔ながらの製法で織られているそうです。

小澁氏 オススメの生地:JOHN FOSTER/Ultrafine Super 200’s

超極細のスーパー200’sによる極上の滑らかタッチ英国のウエスト・ヨークシャー州ブラッドフォード郊外クイーンズベリーにあるジョン フォスターの「ウルトラファイン スーパー200’s」は、目付け230/240g/m。当然ながら非常にデリケートな生地ではあるが、しっかり経緯双糸で非常に密に織り上げられており、そういった意味ではしっかり感のある生地だ。光沢は控えめ。スーパー200’sならではのドレープが小澁氏の仕立てとどう融合するのか、ぜひ見てみたい。

THE RAKE ペコラ銀座の佐藤さんとお話ししたときにスーパー200’sとかの生地でスーツを仕立てるお客様が何名かいらっしゃるとのことで、そのレベルの生地になるとかなり密に織られているから、スーパー150’sとかよりも逆に丈夫なんだという話もされていて。超高級ウールなので最新の注意を払って織りますしね。ちなみに小澁さんのお客さんで硬い生地を求める方っていないんですか?

小澁 それがいないんです。もちろん、フランネルやツイードは別ですけど、スーツだとドブクロスやラムズゴールデンベールや15.7シリーズなどが人気です。

鈴木 いいのか悪いのかわからないですけど、昨今は英国らしさとか、そういうのが薄れてきていますよね。イタリアからもいい打ち込みの生地がたくさん出てきていますしね! 話題のジェンダーレスではないですけど、服地もボーダーレスになってきているんでしょうね(笑)。

 古典主義的なブランドクオリティが今も残っているのはイギリスのよさでもあるんですけど、確かに大枠で見るとイギリスものがイタリアものに近づいている部分と、イタリアものがイギリスものに近づいている傾向がありますよね。VBCなんかはその典型ですけど、ビスポークを愛用されている方々の目が肥えてきて、どこどこ製というよりも、仕立て映えや着心地のよさで生地が選ばれる時代になってきているのを感じます。最近までとにかく厚いツイードが欲しいという声も一定数あったのですが、そういう声もほとんど聞かれなくなりました。

小澁 やせ我慢するのがカッコいいという時代ではなくなりましたよね。

THE RAKE 上質な生地を自然にサラリ着るのが今の時代のスマートな装いなのかなと。今日は昨今の生地の潮流を再確認できました。ありがとうございました!

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