THE ASCENT OF A MAN
エベレスト登頂に最適な時計
August 2020
オーヴァーシーズ・デュアルタイム
2018年に発表されたデュアルタイムに、ステンレススティールケースとブラックダイヤルを組み合わせたモデルが登場。蛍光塗料を施した18Kゴールド製のインデックスや針により視認性は抜群だ。ブレスレットのほか、アリゲーターストラップ、ラバーストラップが付属。インターチェンジャブル方式により付け替えも簡単。自動巻き、SSケース、41mm。¥2,580,000 Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755)
“One of Not Many”のスローガンは当然ながら、265年も続くヴァシュロン・コンスタンタンの工房で製造される限られた本数の時計のこと、そしてこの言葉を体現する特別な人物のことを指しているわけだが、リチャーズ氏にとっては自己向上の勧告のようなものだという。
「自分に求められている以上のことができるよう頑張る、というだけです。あらゆる面において最高の自分でいられるよう、努力するチャンスを与えられました。“ One of Not Many ”は、そういう気持ちをかき立てる良い例だと思います。人間として生きる素晴らしい経験を、さらには人間の可能性を称賛するものなのです」
ヴァシュロン・コンスタンタンのスタイル・アンド・ヘリテージ・ディレクター、クリスチャン・セルモニ氏。
忍耐と苦労の間には微妙な違いがある。最後のエベレストのミッションではそこに失望も加わった。リチャーズ氏は、過酷な体験によって、努力の経験についての見方が研ぎ澄まされるようになるという。
「忍耐と苦労は、人間の経験をより総体的に見て正しく評価できるレンズを与えてくれます。実際、私にとって山に登ることや探検とは、あらゆる形態のアートであり、創造、活動なのです。このことが、オーヴァーシーズ・デュアルタイム・プロトタイプをはじめとする時計のデザインにダイレクトに表現されています。それらは寓話的で、互いを象徴しています。大冒険では不要なものを完全に削ぎ落とす必要があるのですが、それがこの時計のデザインに反映されていると思います。困難や、ときには失敗もなければ、何かを達成することの美しさを知ることはできないでしょう。ひとつの時計を作り上げることでも、冒険を成功させることでも、それは同じです」
リチャーズ氏はこう続ける。
「いつもひとつのことが、何かを思い出させてくれる気がします。ひとつのストーリーがもうひとつのストーリーを伝えてくれる。互いに毎分毎秒、密接に連携していると思います。互いに生み出し、生み出された創造物なのです。それは、人間に本来備わっている創造的な精神を反映しています」
ブランドのパーソナリティというのは大幅に画像修正された地下鉄の広告モデルを務めることにすぎないという印象を持っていたのは、いつの話だっただろうか。