THE INTERVIEW: THE ARMOURY’S ALAN SEE

アーモリーの“アラン・シー”

Friday, October 4th, 2019

アラン・シーは、有名なクラシック・メンズウェアのストアであるアーモリーの共同設立者だ。

彼はモノのわかる顧客たちは、いまアジアのクラフツマンシップとスタイルを重視するようになってきているという。

 

text christian barker

 

 

———2010年にアーモリーをローンチしてから現在まで、アーモリーのメンズウェアに対するアプローチはどのように変わってきましたか?

 

「私たちは創業当時より少し肩の力を抜いて、より多くのアイデアを受け入れ、いろいろなテーラーのさまざまなスタイルを取り入れるようになってきたと思います。それでもまだクラシックの範疇ですが・・。スタートした当時は、私たちはアントニオ・リヴァラーノのようなテーラーから聞いたアドバイスを大切にしていました。そして読んでいたすべての本———アラン・フラッサー、ベルンハルト・レッツェルなどの著作に忠実でした。私たちはそういったことすべてを重要視し、それが私たちのショップのベースとなっていました。クラシック・メンズウェアのルールを、細かいところまでを順守していたのです。時が経ち、イタリアのテーラーについてより深く知るに連れて、よりファッションというものに親しめるようになり、よりパーソナルなスタイルを追求し始めました。よりリラックスして、自分たちがより快適だと思えるものを選ぶようになりました。私たちのショップと“ルール”へのアプローチは進化し、より柔軟になりました」

 

———過去10年間で、テーラードに対する男性の評価と理解は変わりましたか?

 

「多くの若い人がクラシック・スタイルに徐々に興味を持ち、この世界に入ってくるのはとても喜ばしいことです。彼らは必ずしも、すぐにフィレンツェに仕立て服を作りに行くわけではありません。しかし、少なくとも洋服というものを、クオリティの観点から考えるようになりました。多くの人が、クラシック・ファッションに目覚め、そういった格好をするようになっています。それは本当に素晴らしいことです。男性は一般に、他の人にどのように見えるかに注意を払います。それは非常に重要なことでしょう? 今日、男性はスーツを着た時どう見えるか、スーツがちゃんとフィットしているかどうかに気をつけていますが、かつては、デザイナーのタグさえついていれば、出来合いのものをそのまま受け入れていました」

 

 

———アーモリーはヨーロッパやアジアのさまざまなブランドや職人を扱っていますが、顧客は、イタリアやイギリスの製品と同じように、アジア製の商品をリスペクトしていますか? それとも、“アジア製”のものは、まだ一段下に見られていますか?

 

「アーモリーをよく知らない人たちの間では、ヨーロッパ製への憧れは、いまだ根強くあります。通りがかりのお客様が、何かを見つけて、それがイタリア製だとわかると、彼らはすぐにそれがいいものだと思い込みます。逆にアスコット・チャンのようなブランドとなると、その背景を知らない場合、おそらく彼らはブランドを理解できず、リスペクトも持たないでしょう。多くの消費者にとって、「メイド・イン・アジア」は、いまだに大きな工場で作られた、チープな大量生産品を意味します。現状人々は、アジアのクラフツマンシップについて学んでいるところです。しかし、彼らは学ぶことに対して前向きであり、聞くことに対してオープンです。私たちアーモリーは、お客様にそういったアジアの職人技について、お教えしているのです。彼らにアスコット・チャンとは何者か、過去60年間に何をしてきたのかを説明すると、彼らはそれを理解し、感嘆し、高価なものでも喜んで買ってくれます。“メイド・イン・ホンコン”については、まだまだお客様にわかっていただかなければならないことが多いのです。しかし、日本の製品に関しては、多くの人がすでに日本人のクラフトマンシップとディテールへのこだわりを知っており、尊敬しています」

 

———香港のブランドであるにもかかわらず、アーモリーのスタイルは非常にヨーロッパ的であり、東洋風の味付けしたことはありませんよね。将来、そういったことをする可能性はありますか?

 

「それはいい質問ですね。確かに、アーモリーは香港で生まれました。共同設立者のマーク・チョーと私は中国系です。私は“メイド・イン・ホンコン”が大好きで、“メイド・イン・チャイナ”が大好きです。私は中国の独自性、中国のスタイルを愛しています。しかしここ香港では、そういう人は少数派です。日本に行くと、伝統的な衣装を着て歩き回っている男たちを見ることができます。それは現代の環境で見ても、とても美しいものです。私は以前招待されたブラックタイのパーティで、中国の伝統的盛装服を着ました。これは、より多くの人が着るべき美しい衣装です。実際、私たちは結婚式の衣装をお選びになる方々に、中国伝統服のオプションを提供しようとしています。彼らは私たちにとって非常に大切なお客様です。その多くは、西洋のオプション=タキシードやモーニングコートを選択します。もちろん私たちは、それらの着方について、アドバイスをします。しかし中国人なので、中国の伝統服を着て、エレガントでクラシックに見える方法をお教えする必要があるとも思います。しかし、中国の伝統服を作ることが出来る職人は、本当に僅かなのです。仕立て服業界よりもさらに人がおらず、本当に死にかけている業界です。中国服を作る多くの職人たちは、すでに亡くなってしまいました。ですからオプションとしてご提供できるようにすることはとても大変ですが、私はそれをやり遂げたいと思っています。適切なパートナーを見つけ、正しい方法でビジネスをし、その伝統にふさわしい敬意を払う必要があると思うのです」

 

THE RAKE日本版の1周年パーティで、中国服に身を包んだアラン(中央)