THE 21 THINGS YOU NEED TO KNOW ABOUT BLACK TIE

ブラックタイについて知っておくべき21のこと

January 2022

「ブラックタイ」を成功させるための21の知識を、カウントダウン形式で紹介する。

 

 

by christian barker

 

 

 

 

 イギリスでは「ディナースーツ」、アメリカでは「タキシード」、フランスでは「ル・スモーキング」と呼ばれている服=ブラックタイほど、男性の外見や自信を一変させる力を持つ装いはない。かのディーン・マーティンは、「普段着では、僕は何者でもない」と言った。「タキシードを着れば、スターだけどね」。

 

 ブラックタイを正しく着こなせば、普通の男であっても、フレッド・アステアやハンフリー・ボガート、フランク・シナトラのようなスターになれる。誰もがアーヴィング・バーリンの曲、『踊るリッツの夜』に出てくる“ミリオン・ダラー・トゥルーパー”のようになれるのだ。

 

 

21.

 イブニングウェアの起源は、男性が一日の大半を馬と過ごしていた昔に遡る。夜のディナーに馬の匂いを持ち込まないよう、着替えることが欠かせなかった。ちなみに、タキシードが必ずサイドベントかノーベントであるのは、センターベントが馬を連想させるためである。

 

 

20.

 私たちが知っている現代のタキシードは、1886年にニューヨークのタキシード・パークにあるタキシード・クラブで開催された舞踏会で、タバコ王のグリスウォルド・ロリラードとその友人たちが“テイルレス”のディナージャケットを着て、社交界に衝撃を与えたことに端を発する。

 

 

19.

 別の説もある。アメリカ人のジェームズ・ポッター・ブラウンは、あるパーティーに出席した際、プリンス・オブ・ウェールズ(後のエドワード7世)がサンドリンガムの領地で、“テイルレス”のイブニングコートを着ているのを目撃した。そこで、王子のテーラーであるサヴィル・ロウのヘンリープールに問い合わせて同じような服を誂えてもらい、タキシード・クラブで着用したところ、仲間たちもそれに倣ったというものだ。これがタキシードの興りと言われている。

 

 

 

 

18.

 誰にとっても必要であるタキシードは、購入すべきものであり、決して他人から借りてはいけない。服飾評論家G・ブルース・ボイヤーは言う。「借りている人と持っている人は必ず見分けがつくものだ」。購入すれば、それはこれまでに自身に行った投資の中で最も素晴らしいもののひとつになるだろう。

 

 

17.

 “クリエイティブ・ブラックタイ(ファンシー・タキシード)”は茶番であり、そのような行き過ぎた、誤った選択は絶対に避けなければならない。日没後にのみ開催されるイベントに出席する場合、19世紀後半からの礼儀作法をできるだけ忠実に守り、古典的な規準に沿った服装をすることをお勧めする。

 

 今は亡き著述家、グレン・オブライエンはこう語っていた。「ファッショナブルでありたいという気持ちはわかるが、それはフォーマルの本質ではない。伝統的な形式を守ることが肝要である。伝統的なものでなければ、それはフォーマルではない。クリエイティブなブラックタイは、何も言うことがない人が、何かを語るためにあるのだ。私はあえて、他の人と同じ装いをすることをお勧めする。すべての男性がまったく同じものを着ていたら、誰が目立つか? それは、内面の個性が光る男だ。また、パーティの主役はあくまで女性たちである。男性たちが同じ服装をしていれば、ジュエリーを身につけた女性がキラキラと輝く。これ以上の紳士的な行動はないだろう」。

 

 

16.

 多くの人は、ブラックタイ・テーラーリングは黒でなければならないと思っている。しかし、必ずしもそうではない。メンズウェアの専門家は、黒い布は人工的な照明の下では茶色がかって見えることが多いことを知っている。一方で、ミッドナイトブルーは目にも、(SNS時代の)レンズを通しても、真っ黒に見えるのだ。

 

 

 

 

15.

 ほとんどの会場は暖房が効いているため、重い素材のタキシードだとウィングカラーの襟元が暑くなってしまう。ブラックタイには9オンス程度の比較的軽い生地が適しているといえる。ハードフィニッシュのウーステッド、風通しの良いウールとキッドモヘアの混紡、バラシア織りなどだ。

 

 

14.

 ディナージャケットは、ピークかショールラペル(ノッチ付きは不可)でなければならない。ラペルは、上着の生地とできるだけ区別のつかない色のシルク(スムースサテンまたは触感のあるグログラン)で覆われているか、縁取りされていなければいけない。ボタンも同様にシルクで覆われているべきだ。

 

 

13.

 ジャケットのスタイルはシングル、ダブルブレステッドのどちらでも問題ない。シングルブレストの場合は、ウエストカバー(ウエストコートまたはカマーバンド)を着用しなければならない。シングルの場合は、1つボタン(2つボタンでもよいが、3つボタンは不可)で、ウエストラインがきれいに隠れるようなカットを選ぶ。ダブルの場合、ウエストカバーは必要ない。そのため、ダブルのタキシードはシングルのタキシードに比べて、ややフォーマル度が低いとされている。また、ラペルについては、ブートニエールを留めるため、後ろに糸のループが付いていなければならない。

 

 

 

 

12.

 カマーバンドではなくウエストコートを着用する場合は、ファッションリーダーであったウィンザー公爵が広めたバックレスタイプが涼しく、クールでいい。しかし、ブラックタイの大罪であるコートを脱ぐ行為は絶対に避けたい。クールとはほど遠い。

 

 

11.

 ジャケットのポケットにフラップはつけない。ラペルと同じシルクで縁部分をトリミングすることはできる。もちろん斜めのスランテッド・フラップポケットはありえない。それはカントリーサイドのためのディテールだ。

 

 

10.

 同上の理由で、トラウザーズの折り返しは決してつけない。ラペルに使われているのと同じシルクを、トラウザーズの外側の縫い目にも使う。ブレイシズで吊るされたボトムスは、より快適で、より滑らかな姿になる。

 

 

 

 

9.

 シャツは、コットン(平織り・ピケ)またはリネンで、肌が透けないように硬めのビブフロントも採用したもの。マルセラフロントが最もクリーンでプリーツも良いが、フリル付きは上級者のみが挑戦できる技だ。斬新なものではなく、シンプルなスタッズ(おすすめはプラチナとプレーンオニキス)が必要だ。襟はウィングまたはソフトターンダウンで。

 

 

8.

 そうそう、当然のことだが、シャツは間違いなく白でなければならない。

 

 

7.

 “ブラックタイ”と呼ばれるのには理由がある。唯一の適切なネックウェアは、滑らかなシルクやグログランで作られた無地の黒(またはミッドナイトブルー)のボウタイである。自分で結ぶタイプを選びたい。ボウタイの結び方は、少し不格好でもいい(むしろその方が出来合いに見えない)。服飾評論家のアラン・フラッサーは、「ボウタイの幅はあなたの顔の幅より狭く、しかし目尻より大きく」とアドバイスする。

 

 

 

 

6.

 現代のハリウッドのレッドカーペットで見かけるような、長い黒ネクタイは絶対に避けるべきだ。

 

 

5.

 昔のハリウッド・スタイルで見かけたような、夜半すぎに、首の周りに解いたボウタイをぶら下げるのは自由である。

 

 

4.

 上質なアイボリーのシルクスカーフは結構だ。

 

 

 

 

3.

 靴は、ひとつの例外(ダンディなベルベットのスリッパー)を除いて、黒のパテントレザーでなければならない。オペラパンプスが好まれがちだが、ダンスフロアでは実用的ではなく、ファンシーで女々しいと感じる人も多い。洗練されたレースアップのバルモラル・オックスフォードを選びたい。

 

 

2.

 ブラックタイの装いには時計を着けないほうがいいと言われている。もし着けるなら、スリムで洗練されたクラシックなもの(アリゲーターのストラップにローマ数字インデックスをあしらったものなど)にして、がっしりしたダイバーズウォッチは家に置いておこう。もっと理想的なのは、古いタイプのポケットウォッチをウエストコートにつないでおくことだ。

 

 

1.

 オフホワイトのディナージャケットにブラックのトラウザーズは、夏や熱帯地方ではいい選択かもしれない。ただし真っ白なタキシードはあまりおすすめできない。ラッパーのカニエ・ウェストならOK。でも、あなたはカニエ・ウェストではありませんよね?