Shichiken Expression 2012
ミレーの名画をラベルに冠した熟成のスパークリング日本酒
September 2025
山梨・白州の地で創業した老舗酒蔵の七賢が、醸造家の“表現”を形にした熟成酒の限定コレクション「EXPRESSION」の新作を発表。19 世紀フランスの画家ジャン=フランソワ・ミレーの名画をラベルに冠した三部作の二作目で、自然とともに生きる七賢の哲学と深く共鳴する、日本酒の新たな可能性を追求する一本だ。
text chiharu honjo
山梨銘醸・七賢が白州の地から生み出した自由な表現の熟成スパークリング日本酒「EXPRESSION」は、造り手が持つ最大限の技術と経験を注ぎ込み、芸術と融合させたシリーズ。代々受け継がれてきた蔵の財産ともいえる純米大吟醸古酒をベースとしており、長期熟成ならではの奥深い複雑性と古酒を用いた唯一無二の味わいを実現している。
同シリーズは、山梨県立美術館が所蔵するジャン=フランソワ・ミレーの名画とコラボレーションした三部作で、第一作目は《種をまく人》をヴィンテージ ラベルに使用。時間の経過とともに表情が変わる味わいを、あくなき探究を続けるミレーの姿に重ねている。そして第一弾から三年半の時を経た今年、ミレーの名作《落ち穂拾い、夏》をラベルに纏った第二作「EXPRESSION 2012」が満を持して登場した。
新作の発表会場となった「ベージュ アラン・デュカス 東京」。今年総料理長に就任した上野 宗士氏による極上の料理とのペアリングも披露された。
ワイングラスに注ぐことで華やかな香りが立ち昇る。
山梨銘醸 代表取締役社長 北原対馬氏。
わずか2000本限定で生産された最新作は、“2012年に仕込まれ十余年にわたり低温熟成した酒”を再発酵させた特別なスパークリング日本酒。同年に醸造された純米大吟醸の古酒を貴醸酒の代わりに使用し、フレッシュで丸みのあるスタイルに仕上げることで、青リンゴやマスカット、新鮮なハーブを思わせる香りが広がる一本となった。繊細な舌触りとともに、しっかりとした後味、複雑で重層的なフィニッシュが印象的で、生き生きとした爽快感と清涼感が特長だ。
山梨銘醸 代表取締役社長 北原対馬氏は、「私たち酒造りで大切にしているのは、“自然に逆らわず、その力を信じる”という姿勢です。ミレーが描いた農民たちのように、自然の恵みと共に生きる覚悟が、一本の酒に宿ると信じています。新作は、七賢の伝統技術の粋と革新によってその年の空気、水、米、そして十余年の時間のすべてが凝縮された一本です。国内のみならず、海外においても確かな評価を得られると確信しており、自信と誇りをもって世に送り出します」と意気込みを語る。
「EXPRESSION 2012」に合わせて用意されたのは、アミューズブーシュ「富士の介のマリネ 夏野菜」。
「EXPRESSION 2006」は前菜「笛吹市産茄子のマリネとそのムース 蝦夷アワビと雲丹 海の香りのゼリー」とともに。
「EXPRESSION 2012」720ml ¥22,000
収穫を終えた畑に残された麦を拾う女性たちを描いた《落ち穂拾い、夏》は、オルセー美術館所蔵の《落ち穂拾い》の4年前に描かれ、豊かな恵みをもたらす自然の中で生きる人々をより強く感じることのできる作品。収穫というひとつの終わりと、そこからさらに生まれる尊厳ある営みが、自然とともに生きる七賢の哲学と呼応している。
白州の自然が育んだ清らかな水の個性を活かした、瓶内二次発酵によって生まれる繊細な泡と奥行きある味わいは、酒造りの伝統技術を継承する七賢ならではの豊かな表現として花開いた。シリーズ全体を通じて「自然と人の関係性」を描き、アートと酒の新たな関係を提示する最終作は、《夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い》をラベルに使用する予定。三部作の有終の美となる一本は、世界中の愛飲家の注目の的になるだろう。
山梨銘醸
山梨県北杜市白州町台ケ原2283
TEL.0551-35-2236














