POLTRONA FRAU “Vanity Fair”

この椅子が憧れである理由

Wednesday, September 30th, 2020

シンプルなフォルムの中に、百年の時を経て培われてきたイタリアのクラフツマンシップが詰まっている。バニティフェア、W940×D910×H990mm/ SH480mm¥829,000〜 Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ東京青山 Tel.03-3400-4321)

 

 

 もし世界のセレブリティ100人に「一番好きな椅子は?」と聞いたら、この一脚が1位になるに違いない。一世紀以上の歴史を誇る老舗、ポルトローナ・フラウの“バニティフェア”である。

 

 映画『ラストエンペラー』、『ボディガード』等でも使われ、昔から著名人に愛されてきた。発表されたのは1930年。NYにアールデコ建築の傑作、クライスラービルが建てられた年である。魅力的なのは、アイコニックなデザインだ。デコ調の明快な線で構成され、ディテールと呼べるのは、アームレストの小さなプリーツだけ。これ以上ないほどのシンプルさだ。

 

 しかし内部構造は凝りに凝っている。フレームは無垢のブナ材でできており、その上に48個もの二重スプリングが取り付けられている。座面にはベジタブルホースヘアーと羽毛が仕込まれ、背もたれとサイドには、275個の鋲が打たれている。素材には特別に鞣(なめ)された革Pelle Frau®が使われ、その手触りは素晴らしい。この椅子には、驚くほどのクラフツマンシップが詰め込まれている。だからこそ、違いがわかる人々に愛され続けてきたのだ。

 

 

左上:無垢のブナ材に強化スプリングがジュート紐によって固定されている。チェアとしてこれ以上の構造はない/右上;イタリアの画家ジョバンニ・ナンニによるイラスト『煙草を吸う女』/下:1930年当時のカタログに描かれたバニティフェア。