POCKET GUIDE: Oliver Dannefalk
世界のファッショニスタに学べ:オリヴェル・ダンネファルク
June 2023
北欧のファッションシーンはこの男なしには語れない。シンプルで、クリアで、ミニマルなスタイルが最高にかっこいい、オリヴェル・ダンネファルク氏だ。
Oliver Dannefalk/オリヴェル・ダンネファルク
1987年、ストックホルム生まれ。インターナショナル・ハイスクールを2006年に卒業したあと、かねてより好きだった写真や絵画をはじめとするアートを英国ブライトンで学ぶ。19歳のときからラルフ ローレンで働き始め、それ以来さまざまな小売業に携わる。メンズウェアブランド「RUBATO(ルバート)」の共同設立者であり、プライベートでは1児の父親。
今回ご登場いただくのは、日本版副編集長の藤田雄宏が「北欧のとりわけスウェーデン人のクラシックスタイルの中で断トツにセンスを光らせている」と太鼓判を押すオリヴェル・ダンネファルク氏。ストックホルム在住の彼はRUBATO(ルバート)というブランドを手がけ、ミニマルで洗練されたウェアを生み出している。ブランド名は、音楽用語の「A Tempo Rubato(盗まれた時間)」に由来するものだ。
「『時間を盗む』『ソロを演奏する』という意味で、アーティストが自分のパートの中で自由にクリエイティブになることを指します。服を作る際もそうありたいと思い、この名をつけました」
ファッションへの興味は幼い頃から持っていたという。
「色や形、プロポーションに惹かれていました。おしゃれだった母の存在も大きいかもしれません。また、スケボーでもサッカーでもパーティでも、その場にふさわしい服装をすれば何でもうまくいくことをずっと感じていました」
重要視しているポイントについて聞くと「着心地のよさ」だと教えてくれた。
「一番大事なことですね。着心地に違和感があれば日常生活の妨げになりますし、必ず見た目にも現れてしまいます。着こなしについても、これ見よがしでない方が好きです。ジャケットがこのテーラーだから、パンツがこのブランドだから、というのではなく、『なぜだかわからないけど、いい感じだな』と思ってもらえるようなスタイルを目指しています」
ルバートのコレクションはもとより、彼の洗練された着こなしを見れば腑に落ちるだろう。着心地がよく快適で、あくまでもアンダーステイトメントなスタイルが気分なら、こんな彼のコーディネイトをお手本にしたい。
時計は日本のブランド、ヴァーグウォッチカンパニーのもの。メンズ誌『エスクァイア』のライターであるクリストファー・ベリー氏に紹介してもらったという。
「シルバーのブレスレットは、17歳のときに友達からプレゼントしてもらったものです」
毎日着けているふたつの指輪。「ゴールドの方は特に大切な指輪で、デザインの仕事をしていた祖母が、私のために名工に頼んで作ってもらったもので、ルビーがセットされています。もうひとつは、彼女がプレゼントしてくれたものです。シルバーのトリニティリングはスウェーデンでは見つからず、作ってもらおうと銀細工師を探していたところ、彼女が出張先のメキシコで見つけてきてくれました」
ダークグリーンが美しいカードケースはカルティエのもの。「35歳の誕生日に兄がプレゼントしてくれました」
「スマイソンのノートです。ロンドンに行ったとき、ノートを忘れてきたことに気づいて買いました。レストラン情報など、ちょっとしたメモをとるときはスマートフォンで済ませますが、クリエイティブな仕事をするとき、例えばスケッチをしたり、ルバートのアイデアを考えたりするときにノートを使います。わざわざノートとペンを取り出すと、気持ちが切り替えられて、より集中できる気がするんです」
ストックホルムにあった小さなタバコ店で数年前に自分用に購入したライター。「素晴らしい重量感で、持っていて気持ちよく使えます。本当はパイプライターなのですが、海外ではタバコを吸うとき、家ではキャンドルをつけるときなどいろいろなシチュエーションで使っています」
フィンランドを代表するデザイナーであるタピオ・ヴィルカラの「Lehti(葉の意)」ボウル。「ガラス、特にスカンジナビアのミッドセンチュリーガラスが好きで集めています。このボウルは、デザイン、工芸、触感の完璧なバランスを示す素晴らしい例です」
THE RAKE JAPAN EDITION issue 51