POCKET GUIDE: GATSBY OF THE WEST END
世界のファッショニスタに学べ:ガイ・ベロット
September 2023
27歳でこんなにスタイリッシュなのは普通なのだろうか? 私は20代の頃を思い出すことさえできないが……若きファッショニスタ、ガイ・ベロットのスタイルをご紹介する。
text tom chamberlin
photography kim lang
ドレイクスのネイビーのジャージータイは、結び目のくぼみが絶妙で、服全体の美しい色調の調和を生み出している。スーツはミラノのサロン、サンテラズモチンクエでオーダーしたもの。「ミラノで、素晴らしいスーツを着た男性を見かけました。彼は私の時計について尋ね、私は彼のスーツについて尋ねました。すると彼は、角を曲がったところに小さなアトリエがあることを教えてくれ、私はすぐにその店を訪れたのです」。足元はシガーの刺繍が入ったボウヒル&エリオットのベルベットスリッパー。
ガイ・ベロットの名前を知る読者は少ないだろう。しかし、彼はある種の人々の間では、とても有名な存在だ。ロンドンのプライベート・メンバーズ・クラブ“ハートフォード・ストリート5”に彼の名を冠したカクテルがあったり、ロンドンのさまざまなストアが、彼のために葉巻の箱を用意していたり……。最近、行く先々でベロットの名前が登場するのだ。
弱冠27歳にしては珍しく、彼のスタイルは完璧なクラシックである。まるでメイフェア版の華麗なるギャツビーのようだ。控えめだが、味わい深い。どんなにラグジュアリーなものでも、彼の服装、家、ガレージと調和するように計算し尽くされている。今回のポケットガイドでは、ベロットの類いまれなるライフスタイルをご紹介する。
「イニシャル・モノグラムが入ったシガーカッターは、親しい友人がデザインしてくれたモノグラムを刻印したものです。このモノグラムがとても気に入ったので、デュポンのライターにも付けました。1920年代のギャツビーのような雰囲気がありますね」。シガーケースはゴヤール。ヒュミドールはエリーブルー×G.ロレンツィのコラボレーションで特別に作られたもの。
パテック フィリップのワールドタイム・フライバック・クロノグラフ 5935。「この時計は特別なものです。サーモンダイヤルは時代を超越したものだと思います。どんなものとも相性がいいんです」
俳優マイケル・ケインのコレクションからボナムズで購入したバックギャモン・テーブル。「レザーにはタバコの焼け跡があります。ケインと同じ盤でプレイし、いろいろと想像するのは、とても楽しいことです」
クリーム色のモーガン4/4。「私の最初のクルマです。いつも笑われるけど、このクルマを運転することほど楽しいことはありません。風を切って走っていると、自然と顔がほころびます」
マットモーターサイクルズのオートバイ。「乗りやすく、とても楽しいバイクです。朝起きると、これに乗って出かけたい気分になっている日もあります。シンプルですが、ロンドンにぴったりなのです」
パテック フィリップの年次カレンダー・トラベルタイム 5326。ヴィンテージのインスピレーションを取り入れたモダンなデザイン。文字盤はアンティーク・カメラの質感を模したという。「この時計のクールさには頭が上がりません」とベロットは言う。
ティファニーブルーの1966年型メルセデス・パゴダ。「このクルマは学生時代、パソコンのスクリーンセーバーにしていました。60年代のエレガンス、写真家スリム・アーロンズが活躍した時代の最高傑作だと思います」
THE RAKE JAPAN EDITION issue 53