PETER LINDBERGH INTERVIEW

ピーター・リンドバーグ:黒と白の事実

October 2019

 

 彼女たちは信じられないほどの自然な輝きを放っていたため、リンドバーグはメイクアップは最小限に留め、画像のレタッチも避けた。彼は、そこに真実がなければ、美しさもあり得ないと信じていた。

 

 リアリズムを追求したリンドバーグは、常識とは反対に、現実を“リアルに”写すカラーではなく、モノクロームに傾倒していった。

 

「モノクロの写真は現実の解釈だと思っていた。そこには少し芸術的要素が入ると考えていた。しかし今では、モノクロームこそが真実を写すと思っている」

 

 彼は、大恐慌時代のドキュメンタリー写真家たちが、私たちの写真に対する理解を変えたという。

 

「ドロシア・ランゲのような人々は、モノクロームを使って、当時のアメリカの問題を写真に収めた。写真は議会に持ち込まれ、それらに基づいて児童雇用法など、重要な法律が作られた。今では、私の頭の中では、モノクロームこそ真実と現実にリンクしていると思っている」

 

 

 リンドバーグは、デジタル革命が写真にもたらした機動力の向上によって、いろいろなものから解放されたと語った。

 

「写真を撮るために、5つの三脚と6つのスーツケースを持ってくる男は、プロフェッショナルっぽく見えるだろうか? まあ、彼は少し古臭いように見えるだろうね」と彼は言った。

 

「私はいつも、三脚の前で静止することを命じるのではなく、より偶然的に、よりカジュアルに撮影する方法を見つけようとしてきた。もう三脚なんて使わないよ」

 

 彼は撮影の準備を入念に整えるのが好きだったが、それは「何かが起こりうる空間を作ることが好きだったんだ」と彼は言った。画像を形作るときに最も重要なことは“自由”だとリンドバーグは言った。

 

「スクリプトに従って映像を撮ることはできなかった。撮影2日目からは、まったく別の場所にいてしまうだろう」

 

 

1 2 3