PANERAI Chief Marketing Officer Interview
パネライが挑む、進化の最前線
April 2025
Watches & Wonders Geneva 2025でパネライが意欲的な新作の数々を発表。チーフマーケティングオフィサー、アレッサンドロ・フィカレリ氏に話を伺う機会を得た。
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Alessandro Ficarelli/アレッサンドロ・フィカレリ
パネライ チーフマーケティングオフィサー
2000年、ローマのルイッス大学で経済学の学位を取得。2005年にリシュモングループに入社。2011年にパネライ プロダクト・ディレクターに就任。2021年より現職。マーケティング、プロダクト、コミュニケーション、ヘリテージ戦略を統括する役割を担う。彼のビジョンは、イタリアンスタイルとスイス技術を融合させたアイコニックな製品を生み出すことにあり、パネライの「ラボラトリオ・ディ・イデー」の中心的存在として活躍する。
Watches & Wonders Geneva 2025がいよいよ開幕し、各ブランドが最新作を発表する中、パネライが大きな注目を集めている。ブランドの哲学を色濃く反映し、アイデンティティを継承しながらも、技術革新や素材開発に注力し、ブランドの未来を示唆する進化や革新を提示した。
注目すべきトピックとしてはまず、パネライの核ともいえる象徴的なコレクション「ルミノール」の誕生75周年という節目に、新しい「ルミノール マリーナ」を発表したことが挙げられる。一目で認識できるアイコニックなスタイルは維持しつつ、パフォーマンスと快適性をアップデートさせ、現代的な洗練さを兼ね備えた。パネライのチーフマーケティングオフィサー、アレッサンドロ・フィカレリ氏はこう語る。
「75周年を迎えるにあたり、コレクションが持つ本質を再解釈し、現代のニーズに適応させることを意識しました。具体的には、人間工学に基づいたケースデザインや、ムーブメントの精度向上を実現しています。大きな進化としては、水深500メートル(50気圧)に強化された防水機能。これはこのコレクション史上初のスペックです。極限の条件下でも使用できる頑丈なツールウォッチを製造するパネライの伝統に基づいており、耐久性と信頼性をさらに高めるものです。また、鋼の強度を44%軽い重量で実現し、耐久性を損なうことなく優れた着用感を保証するグレード5チタンの採用も重要です。パネライがチタンを使用し始めたのは80年代で、その高い耐食性は機器が海水に触れる海軍用途に特に適していました。極限の状況に耐える堅牢なツールウォッチの開発のスピリットを持つパネライが、この素材を選択することは自然な流れで、その伝統は今も受け継がれています」
日付表示の拡大や、明るさを向上させたスーパールミノバ®X2を採用するなどアップデート。さらにシリーズ史上最大の50気圧(500メートル)防水を実現。ムーブメントは、3日間のパワーリザーブに、ストップセコンド機能を備えた新しい自動巻きP.980キャリバーを搭載。ケース厚も12%薄くなった。工具を使わずにストラップを簡単に交換できるPAMクリックリリースシステム™を初めて搭載し、スタイルチェンジを容易にした。このモデルはケースにグレード5チタンを使用。サンブラッシュ仕上げのオリーブグリーンダイヤルとの組み合わせが、パネライのミリタリールーツを表現している。「ルミノール マリーナ チタニオ」自動巻き、Tiケース、44mm。¥1,474,000(6月発売予定) Panerai
素材と機構におけるさらなる革新は、「ルミノール パーペチュアル カレンダー GMT プラチナテック™」に見られる。
「革新性と機能的デザインを融合させたパネライらしい新作です。パネライは、ハイエンドな複雑機構であっても実際の使いやすさを考慮して設計されるべきだと考えます。日常使いにふさわしい実用性が重要です」
ケース素材には通常のプラチナよりも40%硬いプラチナ合金「プラチナテック™」を採用。耐久性を向上させた。高度なパーペチュアル カレンダーとデュアルタイム機能を備えているが、直感的なディスプレイで視認性に優れる。特別な工具は不要で、リュウズのみで曜日、日付、月、閏年を前後に調整可能。高度な複雑時計ながらも実に機能的かつ実用的で、日常使いにふさわしい。ブルー サファイア ダイヤルは、深みがあり神秘的。モダンでテクニカルな美しさをもたらしている。「ルミノール パーペチュアル カレンダー GMT プラチナテック™」自動巻き、プラチナテック™ケース、44mm。¥12,870,000(予価/9月発売予定) Panerai
複雑時計といえば、パネライの技術開発への情熱を示すプラネタリウム時計「ジュピテリウム」の発売も発表され話題となっている。
「技術の進歩と精密機器のエンジニアリングに対するブランドの取り組みを体現した、並外れたタイムピースです。パネライの科学的革新と機能的デザインの伝統に沿って、天文学と計時に対するガリレオ・ガリレイの貢献を称えるために開発されました。最大の挑戦は、複数の天体の動きを同期させること。太陽、月、木星と、木星の4つの衛星が実際の天文周期を示すように回転します」
地球を天球の中心に置き、他の天体を回転させた状態で、太陽、月、木星の位置と、木星の4つの衛星の位置を示すプラネタリウム時計。星座を散りばめた天球が回転して、地球から観測された星の様子を表す。表示機械的精度と美的明瞭さの両方を追求して設計しており、パネライらしく高度な機能とデザインを融合。まさに芸術作品と呼べる域にまで昇華させた力作だ。パーペチュアルカレンダー、特許取得済みのレトログラード システム、そして40日間の驚異的なパワーリザーブが組み込まれており、1650もの部品(主にチタン製)で構成。重量は110kgにおよぶ。「ジュピテリウム」手巻き、75×86cm。¥330,000,000(予価) Panerai
パネライはこれら新作発表を通じて、ブランドの未来を示す戦略を明確にする。
「新しい素材や複雑機構を導入する一方で、ブランドの根幹にある要素も大切にしています。時代に適応しつつも、パネライらしさを損なわないことが重要です」
Watches & Wonders Geneva 2025で披露された新作はまさに、流行に迎合することなく、パネライらしい力強さと独自性を際立たせたラインナップとなった。
「今後は、新作時計がそれぞれのストーリーを最も上手く表現できる環境でデビューできるよう、発表の場についても多様なプラットフォームを模索します。2025年は、デザイン、アドベンチャー、テクノロジー等とのコラボレーションなど、一層多面的なアプローチを展開する予定です。直近では、パネライが公式タイムキーパーとして復帰を果たす世界有数のデザイン見本市、ミラノサローネ。ぜひ期待してください」
パネライ
TEL.0120-18-7110