NISHIMURAYA, Kinosaki Onsen Vol.2
老舗旅館が手がける新施設
「さんぽう西村屋 本店」とは
June 2019
関西屈指の人気温泉地、城崎温泉の歴史を牽引してきた老舗旅館西村屋が、本館から目と鼻の先の場所に今年オープンさせた複合店舗が「さんぽう西村屋 本店」だ。「さんぽう」とは、この店舗の奥に鎮座し、城崎温泉を長らく守ってきた三宝神社の荒神様への感謝の心を込めると同時に、西村屋の経営精神である「三方良し」(=「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」)に由来する。
伝統的な和をベースとしつつ中央に大胆な吹き抜けを設けたモダンな空間で、和のおもてなしを感じさせる3つのセクションから構成されている。
中央の囲炉裏で地産食材が調理される様子を楽しみながら、季節に合わせた旬の料理を味わえる。
まずひとつ目は和食レストランの「さんぽうダイニング」。中央の囲炉裏を囲むようにカウンター席が並んでおり、客は目の前で料理人が調理する様子を目で見て、香りを感じ、調理の音を楽しむことができる。但馬地方の豊かな食材の数々は、料理長が実際に生産者のもとへ足を運び厳選したもの。神鍋高原の麓で300年もわさび栽培を行ってきた「北村わさび」や、有機農法に徹底した野菜づくりを行う「ナカツカサファーム」の野菜、「神鍋田村養鱒場」で安定した水質により養殖された臭みのないニジマス、38種類の種モミを一緒に蒔いた「三十八穀米」、日本古来の固有原種の「赤花蕎麦」を使用した自家製蕎麦など、どれもそのものの味わいを存分に楽しめる食材が揃う。この地方は、幸福を運ぶ鳥として知られる貴重なコウノトリの野生復帰を支えるため、2000年代から農薬の削減や水の管理を行う「コウノトリを育む農法」に積極的に取り組んでおり、安心できる食材の品質向上もめざましい。
各コース料理で提供される「季節の前菜三種盛り」。
津居山港から水揚げされる日本海の魚の幸を味わえるお造り。添えられるのは、昔ながらの手間のかかる栽培で育った「北村わさび」のわさび。
もちろん名物の但馬牛も味わえる。柔らかくあまりにも繊細な肉の旨味。この上ない贅沢を堪能されたし。
赤花蕎麦の実からできた蕎麦粉を用いて、料理長自らが蕎麦打ちし供される十割蕎麦。
ふたつ目は、吹き抜けを囲むようにゆったりとチェアが配置された空間で休息できる「さんぽうサロン」。2,000円の料金で、地酒やドリンク、地元の食材を使ったスナックのブッフェを楽しめる。同日で何度でも再入場が可能なので、外湯めぐりや街歩きの合間に利用するのに便利。城崎温泉が志賀直哉や島崎藤村、与謝野晶子といった文豪に愛されたことに由来し、サロンの一画にはレターラウンジも併設されている。大切な人へ向けて筆を執るのも粋だ。
2階の広々としたサロン空間は、外湯めぐりの合間の休憩として利用するのに便利。
そして3つ目が、自社で開発・製造したオリジナル食品や地元の魅力あふれる商品を販売する店舗「さんぽうギフト」。ダイニングで使用されている食器や、サロンで提供されるスナック、特産品などがここで購入することができる。いわゆる昔ながらの土産屋とは異なり、どの商品もセンスの良さが光る洗練されたギフトだ。
さんぽう西村屋 本店の入り口で営業されるギフトショップ「さんぽうギフト」にはセンスの良さが光る地元産の品々が揃う。
「さんぽう西村屋 本店」は但馬地方の名産や食文化を伝える発信地。3つの施設は、いずれも城崎温泉を訪れる誰もが利用できる。外湯巡りと合わせて、温泉地でのこれまでにない優雅な時間の過ごし方を楽しんでみては。
さんぽう西村屋 本店
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島463-2
TEL:0796-32-4680
「さんぽうダイニング」:
ランチ(土日限定)…11:00〜14:30 (L.O.13:30)
ディナー…18:00〜23:00 (L.O.21:30)
「さんぽうギフト」:10:00〜23:00
「さんぽうサロン」:10:00〜23:00
2,000円(税別)/大人1名(終日利用・再入場可能)
定休日:水曜日