MRS RAKE LOVES PATEK PHILIPPE
現代女性の腕に優しく寄り添うチェストナットの深み:パテック フィリップ「年次カレンダー」
October 2025
1996年の誕生以来、パテック フィリップの象徴として受け継がれてきた「年次カレンダー」。使い勝手のよいこの機構が、新色となるチェストナットの色彩や、温かみのあるローズゴールドケースのエレガントな意匠とともに、現代女性の腕に優しく寄り添う。
text aki nogami
年次カレンダームーンフェイズ 4946R
2025年の最新作となる、直径38mmの年次カレンダー。 山東(シャンタン)の絹織物を思わせるチェストナット文字盤は、実に繊細でシック。ダイヤモンドセッティングを施さないことで、ポリッシュ仕上げのローズゴールドケースがその艶やかさをピュアに主張する。自動巻き、18KRGケース、38mm。¥8,770,000 Patek Philippe
パテック フィリップを代表する機構のひとつが、「年次カレンダー」である。腕時計のカレンダー機能は通常、31日に満たない月の場合に、手動での日付修正が必要となる。しかしこの年次カレンダーは、1年に1回、3月1日に調整することで、30日や31日などの月ごとに異なる日付を自動的に表示してくれる、実に便利なメカニズムだ。1996年にパテックフィリップが開発し、特許を取得した機構であり、その実用性の高さから、男女を問わず長らく愛されてきた。
年次カレンダーは日常使いしやすい機構であり、その機能的な意匠の美しさも大きな魅力。昨今、女性用機械式時計の需要は高まる一方であるが、パテック フィリップは2011年に、“レディス・ファースト”と銘打って、クロノグラフやミニット・リピーターなど、女性のためのコンプリケーションウォッチを発表した。この年次カレンダーにおいても、女性の心に訴えかけるためのエレガントな意匠を追求している。例えば童話のように星をちりばめた月齢表示は、幻想的な美しさを纏い、見る者の心を摑んで離さない。
絹織物のような質感がチェストナットカラーと相まって洗練された雰囲気を演出。
これまでもコンパクトな年次カレンダーモデルに採用されてきた「Cal.26-330 S QA LU」を搭載。
これまではマザーオブパールやダイヤモンドの輝き、そしてピンクやライトブルーなどの鮮やかなカラーリングで魅了してきたが、最新作は一転して、ローズゴールドの純粋な艶めきが見事な、チェストナットカラー文字盤のモデルが登場した。今年は同様にレディス向けコレクションの「Twenty~4」にもダイヤモンドセッティングのない初の永 久カレンダーが加わっている。あえてダイヤモンドを施さないという、レディスモデルでは珍しいスタイルが導き出したのは、新時代の“洗練”の形。時計業界ではここ数年、サイズアップをはじめとするジェンダーレス化の傾 向が見られるが、このモデルにおいては、宝石の輝きに頼らないことで際立たせたポリッシュ仕上げのゴールドと、山東絹仕上げと呼ばれる絹織物のように味わい深い文字盤、そしてカジュアルな遊び心を感じさせるデニム柄カーフスキンストラップ―すべてが現代的なバランスで集約されている。どこよりも早く複雑機構搭載のレディスモデルを展開し、現代を生きる女性たちの声に耳を傾けてきたパテック フィリップだからこその感性が光っている。
この最新の年次カレンダーは、女性からはもちろん、男性からも熱い視線を浴びているという。それこそがパテックフィリップが、単なるジェンダーレスというカテゴライズにはとどまらない、独自の芸術性を追求してきた証ではないか。
一見デニム素材のようだが、実はカーフスキンストラップとなっている。クリーム色のステッチがアクセントに。
ケースのゴールドはすべてポリッシュ仕上げ。厚さ11mmのケースが腕に心地よくなじむ。
「The Rake 日本版」Issue66より抜粋












