PATEK PHILIPPE TWENTY~4

【パテック フィリップ「Twenty~4」】現代女性に24時間寄り添う

December 2023

女性のための優美な時計を生み出してきたパテック フィリップ。その歴史を受け継ぐ「Twenty~4」は、現代の女性に応えてくれる。

 

 

text tetsuo shinoda

photography jun udagawa

 

 

(左)Twenty~4 7300/1200

ローズゴールドのケース&ブレスレットで、いっそう上品かつ華やかなムードに。シルバーグレーのダイヤルは、縦方向と横方向のサテン仕上げを入れることで、山東絹のような豊かな風合いを演出している。搭載するムーブメントはCal.324 S C。ベゼルには160個(約0.77ct)のダイヤモンドをセッティングし、きらめきも楽しめるようにしている。自動巻き、18KRGケース、36mm。

(右)Twenty~4 4910/1200A

2020年にリニューアルし、12と6のインデックスがアラビア数字となった。ダイヤルには放射状に広がる筋目模様であるサンレイ仕上げが施され、光による美しい濃淡で表情を変える。ブレスレットは、ケースと美しくつながるよう綿密にデザインされており、よりアクセサリーのような感覚で着用することができる。ダイヤモンドは36個(約0.42ct)。クオーツ、SSケース、30×25.1mm。

 

 

 

 今でこそ、腕時計に熱中する男性は多いが、その歴史を紐解くと、腕時計は女性のために生まれたものだった。

 

 携帯できる時計は、16世紀頃から作られている。まずはペンダント型が誕生。それからデザインや機構が洗練され、懐中時計となった。紳士たちは懐中時計をベストなどのポケットに入れて持ち歩き、社交場でのコミュニケーションツールとして楽しんだ。その一方で女性は、洋服にポケットがないことが大半であったため、お抱え時計師に命じて時計を小型化し、ブローチや指輪、あるいは腰につける装飾品・シャトレーヌに組み込んで携帯することを楽しんだ。そのひとつとして生まれたブレスレット型の時計が、その後の“腕”時計になる。

 

 つまり腕時計の歴史は、時計をファッションとして楽しんだ貴婦人たちによって始まった。そしてジュネーブの名門パテック フィリップこそが、その嚆矢となったブランドである。

 

 そもそもパテック フィリップは、その長い歴史において常に女性から支持を集めてきた。1851年にロンドンで開催された万国博覧会では、英国のヴィクトリア女王がパテック フィリップのペンダントウォッチを見初め、購入している。そして1868年に製作された「P-49」は、パテック フィリップが製作した最初の腕時計であり、これがスイス初の腕時計でもある。その後も数々の美しい時計たちを、貴婦人のために製作してきた。

 

 1999年にデビューした「Twenty~4」は、パテック フィリップと女性との親密な関係性を受け継ぐコレクション。その名が示すように、活動的な女性を、24時間、あらゆる場面で輝かせるための時計として作られた。まず登場したのは角型ケースのモデル。ケースからブレスレットへとシームレスにつながるコンテンポラリーなデザインや、ステンレススティール素材にダイヤモンドをセッティングするという大胆さも支持され、すぐさま時代を代表するレディスウォッチとなった。このモデルはクオーツムーブメントを使用していたため、時計は止まらずに正確な時間を刻むことができた。そういった利便性も評価された理由だった。

 

 さらに2018年には、自動巻きムーブメントを搭載した丸型ケースの「Twenty~4 オートマチック」が誕生。これは自らの力を駆動源とし、前進していこうと願う現代の女性たちのためのタイムピース。36mm径というレディスウォッチとしてはやや大きなケースである。しかし、表情豊かなダイヤルの表現やダイヤモンドセッティングなどで華やかさを加味しており、ビジネスシーンからパーティ、あるいはプライベートまで、あらゆる場面で女性を輝かせてくれる。

 

 洗練された角型ケースの「Twenty~4」と、優雅さと力強さを併せ持つ丸型ケースの「Twenty~4 オートマチック」は、どちらも現代の女性に寄り添うタイムピース。それは女性のために生まれたパテック フィリップの腕時計の歴史の正当な後継者であり、女性を常に優美に飾るパートナーといえる。

 

 

 

パテック フィリップの歴史的レディス・タイムピース

1850-1851年:ヴィクトリア女王のペンダントウォッチ

ヴィクトリア女王が所有した「P-24」。ペンダントやブローチとして着用することができた。当時最先端の技術だったリュウズでの巻き上げと時刻合わせの機能がつき、ケースはイエローゴールド製。ケースバック側は、ラピスブルーの七宝やローズカットのダイヤモンドで可憐に装飾されている。

 

 

1868年:スイス初の腕時計

ブレスレットとしての時計ではなく、明確に腕に装着する時計として製作されたもの。小さなダイヤルにローズカットダイヤモンドをあしらったカバーが装着されている。イエローゴールド製のケースは、七宝やダイヤモンドで装飾されている。時計部分のサイズは縦13.2mm、横32.3mm、厚さ13.6mm。

 

 

1916年:5分ミニットリピーター

パテック フィリップ初のチャイミングウォッチも実は女性用だった。27.1mmという小さなケースの中に、時、クオーター(15分)、5分刻みの分を、音で知らせるという高度な技術を込めたことに驚かされる。写真のモデルはプラチナ仕様で、アメリカのD・O・ウィッカム夫人が発注したものである。