Me and My Dress Clothing by Beams

ビームスの若手スタッフが語る「私とドレスクロージング」

June 2023

成熟したクラシックスタイルはもちろん格好良いが、若いからこそ愉しめる装いもある。そこで今回は業界屈指の強いこだわりを持った、ビームスの若手スタッフ3人にフィーチャー。それぞれの着こなしとそのルーツについて教えてもらった。個性溢れるスタイルに注目だ。

 

 

by beams

 

 

 

ビームスF 新宿

虫島佑起氏(23歳)

 

ジャケット、タイ both by BEAMS F シャツ ¥29,700 Drake’s ラグビーシャツ、トラウザーズ、ベルト all by Polo Ralph Lauren シューズ J.M. Weston

 

 

 

「幼い頃から親の趣味でブレザーやシャツなど、トラディショナルなアイテムを着させてもらえる環境でした。当時は若さもあってか自分には少し堅苦しく感じ、嫌々着ていた思い出があります。と同時に、これまた親の影響で昔の映画やドラマを観るようになり、80年、90年代の所謂トレンディドラマにどハマり。登場人物のアイビー、プレッピーなスタイルがとても格好良く、魅力的に映ったんです。当時は日本で非常に流行したスタイルだったと思いますが、経験していない私にとっては新鮮そのもの。高校生になり、アルバイトができるようになってからは、すぐにアメリカントラディショナルなアイテムを扱うショップに通いつめ、実際に働きました。日々、重衣料に触れながら少ない手持ちのお金でドレスのアイテムを漁っていましたね。その頃から今のスタイルが形成されていったと思います」

 

 

 

 

「日々のコーディネートにテーマを必ず設けることが私のこだわりであり、信条です。例えば、『アイビーリーグの学生』や『ヨットマンの休日』、『寝坊したアメリカのプレップスクールの学生』など、どのようなイメージで、どういう雰囲気で装うのか。これを表現することが洋服の醍醐味であり、クラシックを重んじるドレススタイルならではの愉しみ方だと思っています。そんな今日は『80年代のシティボーイ』がテーマの一日。ネイビーブレザーに太めのチノパンを合わせ、ラガーシャツをレイヤードしたタイドアップで纏めました。足もとはもちろんコインローファー。このブレザーはビームスに入社して初めて購入したもので、釦がひとつ取れてしまった部分にヴィンテージの釦を付けた一着。ひとつだけ違う不揃いな感じもリアルで自然体なスタイルだと思い、個人的に気に入っています。まるで映画やドラマのワンシーンから出てきたような、キザでいかにもなコーディネートですが、それが好き。私のスタイルです」

 

 

 

ビームス ハウス 丸の内

知念俊太郎氏(28歳)

 

スーツ Custom Tailor BEAMS シャツ Guy Rover タイ Atelier F&B チーフ ¥6,380 Mungai シューズ ¥143,000 Enzo Bonafe

 

 

 

「スーツやジャケットを着ている人たちってなんか格好良いな。そう漠然と、学生の頃に感じたのが私のドレスクロージングへの想いの始まりです。高校生から教師を目指していたのですが、その気持ちがどうしても抑えられず、アルバイトとしてこの世界に飛び込みました。様々な洋服に触れ経験する中で、やっぱり心惹かれるのはクラシックなアイテムばかり。そうしてどんどん想いが強くなり、気がついたら今のスタイルが出来上がっていました。(笑)まさか生涯の仕事に選ぶなんて当初は思ってもいませんでしたが、後悔などは自信を持って、”ない”と言えます。それぐらい、今ドレスクロージングが楽しいんです」

 

 

 

 

「画一的な嗜好を持たず、様々なスタイルを取り入れること。これが私のこだわりです。地域性、時代感など、スタイルを構成する上で多くの要素が混在している中、限定した視野で物事を捉えてしまうことに私は勿体無さを感じます。折角ならたくさんの洋服、スタイルを愉しみたいですから。最近はベーシックだけどどこか余裕があってこなれている、そんなコーディネートを意識しており、今日の装いもそうです。〈カスタム テーラー ビームス〉で仕立てたグレーのスーツをソリッドのタイでシンプルに。4プライの生地は、ずっしりとしたウェイトがありながらも柔らかなドレープが上品で、どこか中庸な表情が魅力的です。ジャケットのラペル幅を広げ、返り位置を低く、パンツの膝幅と裾幅はワンサイズアップ。シルエットも今の気分を反映させました。ゆったりではなく、余裕がある紳士的な感覚、そんなイメージです。明日はきっとまた違ったテイストの洋服を着ていると思います。でもそれが”知念っていうスタイル”、そう感じてもらえることが今の私の洋服屋としての喜びであり、理想の形です」

 

 

 

ビームス ハウス メン 横浜

髙橋建哉氏(23歳)

 

スーツ Custom Tailor BEAMS ニット s.k. manor hill Ascot スカーフ Used シューズ Repetto ブローチ Vintage

 

 

 

「元々好きだった革靴がきっかけでドレスクロージングを知りました。自分が格好良いと思ったものを素直に、とりあえず取り入れてみる。そんな私にとって年齢など関係なく、クラシックな世界にどんどんと引き込まれていきました。それからすぐにセレクトショップの門を叩き、アルバイトとして学生時代は洋服に溢れた生活を。周りの先輩スタッフや、ちょうど近くにあったビームス ハウス メン 横浜のスタッフたちの装いに憧れを抱くとともに、ドレスクロージングへの想いが強くなり、ファッションの道を志しました」

 

 

 

 

「私は、フレキシブルでいることを日常から意識しています。直感や面白いと思ったことを大切にし、それらを積極的に自らのスタイルに取り入れてみる。時には上手くいかないことだってあるし、逆にズバリハマることもある。そんなトライアンドエラーを日々の装いで愉しむことが、私のスタイルです。今日は生地にこだわって仕立てたアースカラーのスーツを堅くなく気楽に捉え、着流すイメージ。花柄のアスコットタイやリブ付きのカットソー、ベージュピンクのダンスシューズ等、中性的なアイテムを組み合わせることで、スーツの持つ重厚感を敢えて柔らかく、軽快にコーディネートしました。アクセントとして付けたヴィンテージのブローチも、クラシックでいながらどことなく気楽で自由な、私らしい空気感が出せたかなと思います」

 

 

 

他の個性あふれるスタッフの着こなしはこちらより。