McLaren Solus GT
バーチャルの世界がリアルに。超弩級
スーパーカー「マクラーレン ソラス GT」
September 2022
text KENTARO MATSUO
マクラーレン・オートモーティブは、人気ゲームソフト「グランツーリスモSPORT」に登場するコンセプトカーを現実のものとしたマクラーレン ソラス GTを発表した。ゲームの世界からそのまま飛び出してきたような衝撃的なマシンである。サーキット走行における一体感を極限まで追求しており、現実世界でリアルな興奮を味わうことができる。
シングルシートのクローズド・コクピットを採用したサーキット専用モデルで、そのドライビング・エクスペリエンスは、フォーミュラ1カーとほぼ同じらしい。
「マクラーレン ソラス GTは、バーチャルレースのために作られたコンセプトカーを現実化したマシンです。一般道の制約やレースのレギュレーションから完全に解き放たれています。マクラーレンのあらゆる専門性をフルに駆使して、現実のものとなりました。まさにマクラーレンのパイオニア精神を象徴しています」
そう胸を張るのは、マクラーレン・オートモーティブCEOミハエル・ライタースだ。
強烈なエクステリア・デザインは、バーチャルカーを驚くほど忠実に再現している。特に目を引くのは、中央のシングルシートを覆うスライド式のコクピットだ。キャノピーが前方へスライドし、現れた開口部から乗り込む。これは一般的な自動車のドアとはまったく異なり、むしろジェット戦闘機に搭乗するのに似ている。シートポジションは固定されており、ドライビングシートは個々の体型に合わせて型取りされ、25人のオーナーそれぞれに合わせてフィッティングされる。
ステアリング・ホイールも独特のデザインで、F1のように、ディスプレイと基本的な操作系が一体化されている。さまざまなボタンが並ぶさまは、まるでゲームのコントローラーのようだ。
エンジンは、独自の5.2リッターV10エンジンを搭載している。少数生産の削り出しコンポーネントを使用するため、最高回転数は10,000rpmを超え、究極のパフォーマンスを実現している。最高出力と最大トルクは840PSと650Nmを超える。1tを切るカーボン製ボディとの組み合わせを想像してみて欲しい。
サーキット専用モデルでは、伝統的なスペックはそれほど重要ではないが、0-100km/h加速の目標タイムは2.5秒、最高速は320km/hである。ここに強力なエアロダイナミクス性能が上乗せされ、究極のサーキットマシンと呼ぶにふさわしいパフォーマンスを発揮する。
マクラーレン ソラス GTは、わすか25 人のオーナーのために特注で製造され、すべてが既に売約済みだという。このマシンをドライブするということは、もはやバーチャルとリアルの境界を超える体験となるに違いない。