Marco Vidal, THE MERCHANT OF VENICE −Interview−

【ザ マーチャント オブ ヴェニス】“香りの都”からやってきた、魅惑のフレグランス

June 2024

嗅覚は五感の中でもとりわけ記憶と密接に関連しているといわれるが、「ザ マーチャント オブ ヴェニス」の香りを初めて体験したときの衝撃は今でも鮮明に思い出せる。ビギナーからフレグランス通まで魅了する魔法のような香り。その秘密を、創設者のマルコ・ヴィダルが明かす。

 

 

text hiromitsu kosone

photography natsuko okada

 

 

Marco Vidal/マルコ・ヴィダル

1981年生まれ。ヴェネツィアで120年以上にわたって香水の製造・販売を手がけてきた「MAVIVE」社の4代目。2014年にプライベートブランドとして「ザ マーチャント オブ ヴェニス」を立ち上げ、現在は世界約50カ国以上で展開を行っている。

 

 

 

 アンダーステイトメントを信条とするTHE RAKE読者の中には、香水を日常的に使わないという人も少なくないかもしれない。実をいうと筆者もその一人なのだが、「ザ マーチャント オブ ヴェニス」との出会いはそんな自分が変わるかもしれないと強く思わせるものだった。理由はシンプルで、とにかく香りが素晴らしいのだ。決して主張せず、それでいて思わず引き込まれてしまう。今までに体験してきたどんなものとも違う、全く新しいフレグランスだった。マルコによると、それはヴェネツィアに深く根ざす“香りの歴史”がもたらした神秘なのだという。

 

「マーチャント オブ ヴェニス」の誕生は、当社とヴェネツィア市民博物館財団が協力して2013年に設立したヴェニスの“香水博物館”に深く関わっています。ヴェネツィアは古くから、交易の国として盛えてきました。恵まれた水運の利を活かして“ムーダ”とよばれる海上の輸送システムを整備し、西洋と東洋をまたいで様々なものを伝えてきたのです。

 

 なかでも発達したのが、香辛料と香水の貿易でした。東洋からもたらされた様々な原料がヴェネツィアを通じてヨーロッパに広まり、同時に優れたムスキエリ(香水職人)やサオネリ(石鹸職人)たちが続々と台頭するようになったのです。ヴェネツィアの香水や化粧品は欧州各国の王宮で珍重される名産品となっていきました。そういうわけで、当地の香水文化は大変由緒あるものなのです。

 

 そんな歴史を総括し、現在と未来に伝えるために設立したのがパラッツォ・モチェニーゴの香水博物館でした。実際に様々な香りを嗅げる珍しいタイプの博物館ですので、ヴェネツィアにお越しの際はぜひ訪れてみてください。私はキュレーターとして尽力し、ヴェネツィアが育んだ香りの歴史を紐解いていきました。そのなかで、自然と『ザ マーチャント オブ ヴェニス』の構想が膨らんでいったのです。いうなればこれは、香りの都ヴェネツィアのレガシーを象徴するフレグランスブランドなのです」

 

 

 

 

 ところで近年のフレグランス業界では、“ニッチ”というキーワードが大きな潮流になっているという。逆説的に聞こえるが、ファッションと同様に香りもまた、独自性やパーソナライズといった価値に重きが置かれる時代になったのだ。ザ マーチャント オブ ヴェニスはそんなニッチ・フレグランスのなかでも、ひときわの成功を収めたブランドである。

 

「設立から10年間で、約50ヶ国への進出を果たしました。ひと昔前までの香水は、“アクセサリー”として見られる傾向が強かった。ゆえに有名ファッションブランドのフレグランスが長らく世を席巻してきたわけですが、近年はもっと本質的な価値を求める方が増えてきたのです。ザ マーチャント オブ ヴェニスは原料から最高品質にこだわり、ヴェネツィアに宿る香りの伝統に則った由緒あるレシピで作っています。クオリティ・コンシャスなTHE RAKE読者の皆様にもきっとご満足いただけるでしょう」

 

 

 

 

 では、THE RAKE読者に最もおすすめしたいアイテムは? そう訪ねると、マルコはすぐさま「まずお試しいただきたいのは『ノビル オモ』シリーズですね」と答えてくれた。

 

「ヴェネツィアのジェントルマンをイメージして生み出したフレグランスラインです。ボトルにはそれぞれ、当地の伝統的なテキスタイルをモチーフにした柄をあしらっています。実際お試しいただくと、同じシリーズながらそれぞれ異なった香りであることに気付くでしょう。紳士のさまざまなオケージョンに対応するため、あえて香りに幅を持たせているのです。TPOに応じて服を着替えるようなイメージで使い分けていただきたいですね」

 

 

「コロニア ヴェネツィアーナ」100㎖ ¥31,900

 

 

 

「こちらの『コロニア ヴェネツィアーナ』は、明るい色のリネンスーツを着こなすサマータイムにぴったりです。オレンジやベルガモットのフレッシュさとジンジャーの力強さ、アロマティックなセージ、ホワイトムスクやシダーウッドのエレガンスが際立つ、爽やかで活気に満ちた香りです」

 

 

 

「オットマン アンバー」100㎖ ¥31,900

 

 

 

「タキシードをまとって、エレガントに夜を楽しむようなシーンにぴったりなのが『オットマン アンバー』。ベルガモットによるシトラスの爽やかさからゼラニウムやプラムのフローラルの甘さ、パチョリとサンダルウッドへと香りが移っていきます。ウッディでオリエンタル、周囲を魅惑するようなフレグランスです」

 

 

「ヴェネツィアン ブルー」100㎖ ¥31,900

 

 

 

「日常のビジネスシーンにおすすめしたいのは『ヴェネツィアン ブルー』です。トップノート(つけた直後の香り)はリンゴやパイナップルの瑞々しさを感じさせ、そこからブラックペッパーのスパイシーさ、シラカバやパチュリのスモーキーさ、ムスクの甘さと印象が移り変わっていきます。清潔感がありつつさりげない個性も立った香りです」

 

 

「ダマスカス デザート」100㎖ ¥31,900

 

 

 

「こちらの『ダマスカス デザート』は、いうなればベルベッドで仕立てたスーツにマッチするフレグランス。ウォームで力強く、どこかボヘミアンな印象も感じさせます。このように、それぞれ明確なキャラクターを備えたフレグランスを装いやシーンに応じてコーディネイトするのは大変刺激的で楽しいこと。これと決めた香りを通すのもいいですが、使い分けることによって香水の新たな楽しみが開けることでしょう。

 

 どんな気分で一日を過ごしたいか、どんな自分を演出したいか。それはファッションだけでなく、フレグランス選びにおいても重要な視点です。エレガンスは確立されたスタイルによって支えられるもの。そのエッセンスとして、香水は大きな役割を果たしてくれるのです」

 

 ザ マーチャント オブ ヴェニスのコレクションは8月27日までの期間限定で、伊勢丹新宿店 本館1階 化粧品/フレグランスにて展開中。また三越伊勢丹化粧品オンラインストア「meeco」でも購入可能。その魅惑的な香りをぜひ直接体感してほしい。

 

 

東洋風のボトルが目を引く「ヴェネツィア&オリエント」シリーズ。ブルーティー(青茶)や玉露といった“お茶の香り”をモチーフにしたもので、繊細な香りが強い香りを使い慣れない男性や女性にもおすすめだ。100㎖。各¥42,900

 

 

“重ねづけして楽しむ”という革新的なフレグランス「アコルディ ディ プロフーモ」。計12種の香りをラインナップし、香りを重ねて自分だけの香りを作り出すことができる。フレグランスメゾンのジボダン社とのパートナーシップにより生まれたシリーズだ。30㎖。各¥13,200

 

 

 

お問い合わせ先

ヤマノ アンド アソシエイツ

TEL.03-3584-7019