Kanolly Resorts: Luxury Retreat in Hakuba

白馬に生まれた超ラグジュアリー・ホテル「カノリーリゾーツ」

January 2023

text KENTARO MATSUO

 

 

 

 

 富山県と長野県にまたがる白馬岳が世に知られるようになったのは、1894年に日本山岳界の父と呼ばれた英国人宣教師・ウォルター・ウェストンが初登頂を果たしてからだという。

 

 ウェストンは頂上から見た山々を、“絶壁は雪に覆われた岩棚やルンゼの連続となって、日本で見られる最もアルプス的な峡谷に落ち込んでいた”と評している。

 

 1923年には登山好きのバイブル『日本百名山』を著した作家・深田久弥もその頂に立ち、白馬岳(2,932m・日本百名山)、杓子岳(2,812m)、白馬鑓ヶ岳(2,903m)のいわゆる白馬三山の美しさを絶賛している。

 

 その後、1928年に八方尾根スキー場が開設され(ここは現在220ヘクタールもの面積を持つ国内屈指のゲレンデとなっている)、スキーリゾートとして発展した。98年には長野冬季オリンピックが開催され、山麓に設えられたジャンプ競技場では、日の丸飛行隊(岡部、斉藤、原田、船木各選手)の活躍により、ラージヒル団体おいて金メダルを獲得。感動のシーンが生まれ、白馬は世界的な注目を集めた。

 

 近年では、ニセコと並ぶ国際的なリゾート地として知れ渡り、国内外から多くの観光客が訪れている。目貫通りにはラグジュアリーなホテルや別荘が立ち並び、さまざまな飲食施設が腕を競い合っている。顧客の9割方が外国人のパブやカフェも珍しくない。とにかくインターナショナルな村なのだ。

 

 

 

 

 そんな白馬に2022年12月、「超」がつくほどのラグジュアリー・ホテルが生まれた。カノリーリゾーツ(Kanolly Resorts)である。雄大な自然をバックに、白馬三山を模した3つの合掌造り様式の屋根が並んでいる。1日1組だけが泊まることができるプライベートな空間だ。400㎡の3LDKスィートに、1000㎡のガーデンが併設されている。1泊の料金は60万円(朝食付き)である。定員は3グループ6名だが、最大10名まで宿泊可能だ。リビングや露天風呂などの共用部分と3つのゲストルームで構成されているので、複数の家族やカップルでの利用が多いという。

 

 この施設の食を総監修するのは精肉商の大手ヤザワミートだ。「焼肉 ジャンボ 白金」をはじめ、数多くのレストランを手掛けているので、ご存知の方も多いだろう。ヤザワミートとタッグを組むシンガポールに本社を構える「カノリーホテルズ」は世界各地のリゾートを訪れていたが、白馬村の印象が最も強く、8年ほど前から計画を立ち上げ、この度のオープンに漕ぎ着けた。

 

(もちろんヤザワミートの手によるものだから、ここの最大の魅力のひとつは上質の肉料理なのだが、それは別項「灼麓館(Sharockan)」を参照されたし)

 

 カノリーリゾーツはシンガポール発のラグジュアリー・ホテルブランドで、世界レベルの宿泊施設として仕上がっている。ターゲットは国内外の富裕層である。その全容を見ていこう。

 

 

 

 

 施設はふたつの宿泊棟とひとつのレストラン棟に分かれている。タッチ式のデジタルキーを操作し、重い木の扉を開けると、広々としたリビングスペースが広がっている。内装には贅を尽くした材料が使われている。天井は木製の太い梁で支えられ、壁には長野県特産の高級石材・鉄平石が張られている。各部屋には床暖房が完備され、激寒の時期でも室内はぬくぬくとしている。

 

 メインエントランスとは別に、ドライルームに直結したサブエントランスもあるので、冬期のスキー&スノボ帰りには重宝するだろう。ずぶ濡れになったスキー板やウエアを脱ぎ捨てて、すぐに乾かすことができる。

 

 家具は地元長野産の木材を使ったものが中心だが、アクセントとしてイタリア製のロングチェアや、ブラジルの作家が手掛けたレザーチェアなども置かれている。もうひとつのアクセントは、天井から吊るされたイタリアの照明作家ディエゴ・マーディガン氏によるライトである。そのデザインにスタッフが惚れ込み、ホテル各所に設置したという。また各部屋には写真家・渡辺洋一氏が撮影した、白馬の山々の写真が飾られている。

 

 

 

 

 2層のフロアは美しいカーブを描く螺旋階段で繋がれているが、エレベータも備えられているので、車椅子の方でも安心である。室内は徹底したバリアフリー構造となっている。

 

 リビングにはキッチンが併設され、自ら料理の腕を振るうことも可能だ。スウェーデン発ASKOのワインセラーをはじめ、バルミューダのトースター、バーミキュラの鍋など、国内外の名品が置かれている。カップボードを開けると、さまざまなシェイプを持つリーデルのクリスタル・グラスがずらりと並んでいた。知る人ぞ知る有田焼・カマチ陶舗の白皿も大小が揃っていた。

 

 大型モニターでは、皆でネットフリックスやAmazonプライム・ビデオを鑑賞することができる。ブルートゥース・スピーカーを介してお好みのBGMを流すことも可能だ。

 

 

 

 

 ゲストルームは3つある。一番大きな部屋は、90㎡の広さを誇る「白-SHIRO」である。ヘリンボーン状に張られたフローリングがラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。1870年創立の老舗、米シモンズのダブルベッドは、極上の寝心地を約束してくれる。広大なウォーキング・クローゼットが併設されているので、長期滞在にも不自由することはない。

 

 

 

 

 窓外にはバルコニーも設えられている。景色を楽しみながら、ゆっくりと読書を楽しんだり、ミニバーから酒を持ち出し、ちびちびやるのもいいだろう。お望みならば、ここで朝食を取ることもできるという。

 

 

 

 

 嬉しいのは各部屋にそれぞれ独立したバスルーム&パウダールームが備わっていることだ。他のゲストの目を気にすることなく、自分たちだけの時間を過ごすことができる。

 

 

 

 

「鑓-YARI」は、和風を基調としたゲストルームである。木製の床には職人の手による殴り彫りが施されている。こちらのベッドは1830年創立の高級寝具メーカー・京都IWATAによるものである。落ち着いた雰囲気の室内は、日本人のみならず海外からのゲストにも深い安らぎをもたらすだろう。

 

 

 

 

「鑓-YARI」のバスルームは、鳥と同じ目線で楽しむことをコンセプトとしている。窓外の景色を楽しみながらの入浴は、格別なひとときとなるだろう。

 

 

 

 

「杓-SHAKU」は、1階に位置するゲストルームである。ウッドを多用したモダンな意匠である。窓の外に広がる1,000㎡のガーデンビューを独り占めすることができる。どの部屋も周りからは完全に目隠しされているので、プライバシーの心配は無用だ。

 

 

 

 

 館内には35㎡の独立した露天風呂も備わっている。メインドアをロックすることができるので、他のゲストと鉢合わせになることはない。空気が澄み切った白馬ならではの、満天の星空を眺めながら湯につかることができる。ミニバーで酒を冷やしておいて雪見酒と洒落込むのもいい。広々としたパウダールームには、ASKO製のドラム式洗濯・乾燥機が設置してある。これも長期滞在を見込んでのことだろう。

 

 

 

 

 露天風呂に張られているのは、本物の温泉だ。近隣の名湯・白馬姫川温泉より移送されたものだという。循環濾過・保温装置により、24時間いつでも入浴することができる。風呂好きには、特に嬉しいファシリティである。

 

 朝食は和風で、「信州の赤魚 白馬名物“くるみ味噌”の炭焼き」、「“善光寺冬菜”と黒毛和牛の肉団子のお椀」、「白馬で出会ったおばぁちゃんのお漬物」など、地元の食材を生かした繊細で心温まるものだった。

 

 

 

アクティヴィティの宝庫

白馬の大自然を楽しむ

 

 

 

 白馬周辺のアクティヴィティは豊富だ。冬期ならば、やはりスキーやスノーボードだろう。前述の八方尾根スキー場をはじめ、Hakuba47スキー場、エイブル白馬五竜スキー場など、多くのゲレンデがスキーヤーを待っている。白馬の雪質は最高で、まさにパウダースノーそのもの。これに惹かれて、海外からも多くのゲストが訪れる。フィールドへのアクセスは、ホテルの送迎サービスを利用しよう。

 

 またカノリーリゾーツのゲストは、オプションとしてスキー場のファーストトラック・サービスを利用することもできる。これは通常の営業時間より前にリフトに乗ることができ、ゲレンデを独り占めにできるという特権だ。誰も滑っていない新雪の上に、自分だけのシュプールを描くことができるのだ。

 

 夏期ならば、ホテルから30分程度のところに、日向山高原ゴルフコースがあり、北アルプスの山麓の豊かな自然に囲まれながらプレーを楽しむことができる。

 

 

 

 

 白馬周辺には初心者でも気軽に楽しめるトレッキングコースが多い。リフトやゴンドラを乗り継いでいくので、高低差が少ないのだ。神秘の池、八方池から望む北アルプスの山々は、まさに絶景である。高山植物が豊富なことでも知られ、その種類は800種以上とも言われている。

 

 日本三大雪渓のひとつに数えられ、真夏でも0℃で万年雪が全長3.5km、幅100m、標高差600mに及ぶ白馬大雪渓は、中級者以上なら一度は訪ねたいポイントだ。

 

 また10月中旬〜11月上旬には、白馬三段紅葉を見ることができる。これは山の上から、雪、広葉樹、針葉樹の層が重なり、山が白・赤・緑の三色に染まるというもの。一度は目にしてみたい美景である。

 

 

 

 

 休閑期のスキー場では、パラグライダーが盛んだ。五竜や八方尾根では、リフトを使って山上まで上り、そこから滑空して空中散歩を楽しむことができる。上空から眺める北アルプスの山々は、例えようもない美しさだろう。インストラクターとのタンデム飛行なら、初心者でも問題なく飛ぶことができる。

 

 

 

 

 近隣の青木湖は前述ウェストンが「絵のように美しい」と評した湖である。ここではカヤックやSUPのレンタルサービスがある。波のない湖ならば、海よりも簡単に操ることができるだろう。

 

 また北アルプスの清流の中、シャワーピクニックを体験することもできる。これはウェットスーツ、ヘルメット、ライフジャケットに身を包み、川の中をザブザブと進むアクティヴィティだ。子供でも参加できるので、家族皆で楽しむことができる。

 

 以上のアクティヴィティは、ホテルに頼めばすべてアレンジしてもらうことが可能だ。

 

 

 

 

 カノリーリゾーツでは、ゲストの要望に応じた、あらゆるプランに対応することを目指している(すべてオプション価格)。予めメールやLINEで希望を伝えておけば、旅程のアレンジをしてくれる。メールやLINEは多言語に対応しているという。希望すれば白馬を熟知したバトラー(執事)をつけて、すべての目的地へエスコートしてもらうことさえ可能だ。

 

 白馬現地へのアクセスは、都内からだとクルマなら関越自動車道経由、新幹線なら長野駅からバスとなる。長野駅からリムジンによる送迎サービスを頼むこともできる。さらに都内(新木場)から白馬まで、ヘリコプターでひとっ飛びするプランも用意されている。所要時間はたったの78分だ。プライベート・ジェットで松本空港へ降り立ち、そこからリムジンで白馬へ向かう手もある。白馬はアクセスが悪いというイメージを払拭するため、さまざまなルートを提案しているという。

 

 カノリーリゾーツは、まさに「国際級」という言葉が相応しいワンランク上のリゾートホテルだ。オープン直後より、国内外の富裕層から、問い合わせが殺到しているらしい。分かる人には分かるのだ。1泊60万円の価値が、この場所には確かにあるのである。

 

 

※併設するレストラン「灼麓館(Sharockan)」については、こちらを参照のこと

 

 

カノリーリゾーツ(Kanolly Resorts)

住所:長野県北安曇郡白馬村北城1278-23

TEL.0261-85-0550

Email:info@kanolly.com

https://kanolly.com/