JOHN LOBB Year Model 2022 “Henley”
前代未聞の超絶テク
November 2021
1996年から毎年発表されているジョンロブの聖クリスピンにちなんだ限定モデル。美しいデザインのみならず、その年その年に開発された新しい職人のテクニックを披露する場として注目されている。2022年モデルは、ホールカットとスキンステッチを組み合わせた超高難度の一足だ。ラストはパリのビスポーク・アトリエと共同開発した伸びやかな0118を使用。
ジョンロブが毎年発表しているイヤーモデルは、常にアップデートを続ける技術を披露する場として、すべての靴ファンに注目されている。そして今年のモデルHenleyでは、前代未聞の超絶技巧が供覧された。
目に入るのは、アッパー全周をぐるりと囲むように施されたスキンステッチである。これはツイストと呼ばれるテクニックで、革の表面から2本の糸を入れ、中で糸をねじって表面に出すのだ。糸は裏面には貫通していない。薄い革の中に糸を通すのは、もちろん至難の技だ。
通常はモカ部分などに使われる装飾だが、これをお得意のスパイラル状のホールカットで実現。サイドよりスタートして、トウとヒールカップを継ぎ目なしで回り、再び出発点へ戻っている。こんなに長いツイストは見たことがない。ひとつを縫い上げるのに2時間もかかるという。1針でも失敗したら、すべてがパァだ。
しかも縫いによる革の歪みを計算して1枚革のパターンを設計しなければならない。まったくどうやって製品化したのやら……。靴のことをよく知っている人ほどウーンと唸る、驚きの一足である。
カラーはブラック、オックスブラッド、ダークブラウン(写真)の3色展開。後者2色は新しく開発されたバーニッシュド・カーフ製で、モッピングと呼ばれる摩擦熱によって革を焦がしながら着色する技術が使われている。これによって一足一足が異なる表情を持つ。全世界限定500足。シリアルナンバー入り。¥396,000 John Lobb(ジョン ロブ ジャパン Tel.03-6267-6010)