HOW TO WEAR WHITE TROUSERS

白いトラウザーズの着こなし方

May 2022

華やかな印象を与えることもあれば、やや軽薄な印象を与えることもある白のトラウザーズ。

しかし、何をどう合わせるかというガイドラインを学ぶことで、失敗は避けられる。

この夏、白トラウザーズで素晴らしいスポーツ・カジュアルを楽しもう。

 

 

by FREDDIE ANDERSON

 

 


タヒチでのバカンスへ向けて、ロサンゼルス国際空港を出発するブリジット・バルドーとギュンター・ザックス(1966年)。

 

 人類の歴史の中で、白は純潔の象徴とされてきた。古代エジプトやローマでは神に仕える女たちに着用され、ローマ法王は1566年以来、白を身に纏っている。イスラム教や日本の神道の巡礼者にも着用されている。しかし、一般大衆文化における白のトラウザーズとなると、その色が持っている本来のイメージから逸脱することがある。

 

 ミック・ジャガー、ギュンター・サックス、デヴィッド・ヘミングス、ジャック・デュトロンなどのスタイリッシュなアイコンたちは、白トラウザーズを快楽主義とロマンスの象徴へと変えた。

 

 

 

 

 まずは正しいフィット感を知ることが重要だ。バルキーなタイプは避け、脚に自然にフィットするものを選ぶようにしたい。テーパードタイプはよいが、あまり裾幅が狭いものは避けよう。トラウザーズの優雅さが失われるからだ。最近は微妙なフレアー・タイプも復活してきている。

 

 アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドは、1960年代のフランスを代表するファッショニスタで、いつも素晴らしい着こなしを披露していた。彼らはしばしば、フラットフロントでウエストラインがやや上に位置する白トラウザーズを穿いていた。

 

 

 

 

 

 中央ヨーロッパの血が混じっていたカメラマンでプレイボーイ、ギュンター・ザックスも、ドロンと同様、白いトラウザーズの着こなしを得意とした。ふたりとも、レトロなマルチストライプのコットンシャツを常にタックインして合わせていた。

 

 ロサンゼルス空港が撮られたザックスとブリジッド・バルドーの有名な写真がある。ここで彼はシャツのボタンを外して胸をさらけ出し、ネックレスを見えるようにしている。彼はこのスタイルに白いモカシンを合わせ、夕方になるとネイビーのブレザーを羽織っていた。

 

 白いトラウザーズはレイキッシュなリゾート地、リヴィエラでも愛された。これにパステルカラーのポロシャツかストライプのバスクシャツ、アンコン・ジャケットを合わせるのが、コート・ダジュールの典型的なスタイリングだ。リヴィエラの最も有名な亡命者、ウィンザー公爵は、ハイウエスト、ワイドレッグのダブルプリーツの入った白いトラウザーズに、華やかな色のポロシャツを合わせ、スプレッツァトゥーラ(さりげない着こなし)の真髄を披露している。

 

 

 

 

 白トラウザーズを上手く着こなすためのキーポイントは、フットウェア選びにある。光沢のあるドレスシューズとは相性が悪いのだ。また、チャッカブーツのようなごつい靴も避けた方がいい。一方で、マイケル・アントニオーニの映画『欲望』(1966年)でのデヴィッド・ヘミングスのように、細身の白いトラウザーズにキューバンヒール・ブーツを履けば、軽快なロックンロール・スタイルとなる。

 

 最もしっくりくるのは、モカシンやボートシューズだ。白いモカシンを合わせてホワイト・オン・ホワイトとすれば、実にクールな印象だ。さまざまな色のエスパドリーユもエレガントである。ベルジャン・ローファーもいいだろうが、タッセルローファーは避けた方が無難だ。

 

 いずれにせよ、白トラウザーズはクールで“デガジェ(寛いだ)”な雰囲気を醸し出すアイテムであることは間違いない。